2007年06月12日

その2:穴の向こう・扉の向こう

ネタバレ注意!!以下のレポートは、ゲームジャパン6月号掲載の『さやか嬢の初DM体験記』で紹介された潮見さやか嬢DMによる「雨をもたらすもの」を遊んだものです。なお、本シナリオはCDS:PEに投稿される予定と聞き及びました。
――ので、ひょっとしたら、それを遊んでみたいかも! という方は、お読みにならないほうがよいかもです。







 ゴブリンねぇ、とカーティスがつぶやいた。そういえばこの街から半日ばかり南に離れた場所には崩れかけた遺跡があって、そこにはゴブリン族が住み着いていたのだが、これが不思議なことに不可侵条約でも結んだわけでもあるまいに、いっこうに人間の町には近づいてこない。まぁ、来たが最後おそらく壊滅させられるのは向こうなので、相応に賢い一団ということなのだろうが、ひょっとして、奴らが……

 「なぁ、この雨だったよなぁ」
 立ち木がずぼりと引っこ抜ける程度にやわらかくなった地面を見ながらカーティスはつぶやいた。
 「南の遺跡が沈んで、奴らこっちに逃げ込んできたってことじゃねえの?」
 ハルミラが何も言わずにかしゃんとハルバードの柄を鳴らした。ドワーフであるハルミラにしてみれば、にっくきゴブリンどもは遺跡と一緒に水没するのこそが正しいあり方なのだった。

 ともかく、扉の向こうにゴブリンどもがいる以上、そこに真正面から乗り込むのはうまくない。だいたい、扉は開けられた様子がないのだし、だとしたら連中が使った通路から入り込むのが得策というものだろう……というわけで前庭の外に続いている足跡をぞろぞろとつけていくと。

 「……あー」
 ヴェロニカがあきれ果てた調子でつぶやいた。
 「なんとまぁ、正統派な」
 中庭に人一人が無理すれば通れないこともない程度の穴が開いていた。つまり、扉が開かないから床下を掘りぬいて、床の石畳を持ち上げて侵入した、と。
 「こんなせまっくるしい穴の中だと、ろくに身動きとれないわねえ」
 「私もね」
 ちらりとヴェロニカが飛ばした視線の先で、ハルミラが不機嫌そうに合いの手を入れる。

 「では仕方ない、ゴブリンたちが正統派の進入経路を使ったのなら、ワシらも正統派で行くしかなかろ」
 フィニガンが言って、結局扉から行くことになった。なに、こちらは鍵を持っている。鍵がぶち壊されていない限り、こちらの注意によほどの運が味方すれば、ひっそり忍び込めないこともあるまい。
 「で、ゴブリンたちだが、どうするよ」
 カーティスが言った。誰かが答える前にハルミラがハルバードをかしゃんと鳴らした。
 「……あー、まぁ、事情を聞かなきゃならんなぁ」
 ハルバードの音など聴こえなかったように、フィニガンがのんびりといった。
 「まぁその、とりあえず、話を聞くことを試みてだな、無理だったら適宜どうにかして、つまるところこちらの安全と、あと中にいるかもしれないお嬢さんの安全が第一でだな、その上でゴブリンたちに不運なことがおきてしまったらしかたないということで」
 「そうだね、コウムシッコウボウガイって奴ね」
 ヴェロニカは手短に答えると、鍵を確かめて扉の前に戻った。

 ――それじゃ、静かにしてて……
 手でそんなしぐさをしながら鍵を回しかけ、その手を止めてヴェロニカは隣をにらみつけた。
 気を利かして扉の脇に位置取りするつもりだったらしいフィニガンが回り込んだはずみに庭を踏み抜き、悲鳴をあげたのだ。

 「気色悪いねぇ、『きゃっ』だってさ、ヲッサンのくせに」
 ハルミラもフィニガンを睨み付けていた。理由は微妙に違うようだったが。
 
posted by たきのはら at 19:22| Comment(0) | TrackBack(0) | The Third Team | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

その1:雨上がりの学校にて。

ネタバレ注意!!以下のレポートは、ゲームジャパン6月号掲載の『さやか嬢の初DM体験記』で紹介された潮見さやか嬢DMによる「雨をもたらすもの」を遊んだものです。なお、本シナリオはCDS:PEに投稿される予定と聞き及びました。
――ので、ひょっとしたら、それを遊んでみたいかも! という方は、お読みにならないほうがよいかもです。







 三日間降り続いた雨は上がって、空は抜けるような青空。足元のこっぴどいぬかるみを気にしなければ絶好の散歩日和。丘の辺に露満ちて、揚げ雲雀名乗りいで、蝸牛枝に這い――が、世はすべて事もなしとは行かない模様。
 
 明らかに就学適齢期ではなさそうな4人組が、雨上がりの学校の前で思案顔で立ち尽くしている。目の前には学校の表玄関――と、そこへいたる小さな前庭。で、低い柵の向こうに引っこ抜かれてそのへんに散乱した生垣(だったはずの木)とどろどろになった前庭、そして締め切られた表玄関にべたべたとついた泥だらけの手形。

 「んー、こりゃ、確かに怪しいわ」
 「お子たちも逃げ帰ってくるってもんだね」
 「あー、だが、中に人がいるって話じゃないか、なんとかせにゃ」
 「……(まぁどうでもいいんだけどね、人間のことだし)」

 口々に言ったり言わなかったりしているのは、カーティス、ヴェロニカ、フィニガン、それにハルミラ。四人とも、ここ、湖の町レクトスの警備担当チームに所属している。三日間降り続いた雨の後の道路の整備に駆り出されるところに急用が入って、ここまでやってきたというわけ。

 「急用」を持ち込んできたのは、ここの学校――といっても、街の子供たちに読み書き算術の一般教養、そして素養のあるものには魔法の基礎の基礎を教えたりもする、というもの――の卒業生、ジェシーだった。
 春休みのアルバイトに学校の掃除を請け負っていて、三日に一度通っていたのだけれど、ここ数日は雨が酷かったので行かなかった、で、今日行ってみれば、なんだか様子がおかしい。怖くて入れないから行って様子を見てきてほしいの。
 鍵と見取り図はこれ。玄関の大戸の鍵がひとつ、琥珀の鍵がひとつ、ルビーの鍵がひとつ。琥珀の鍵は掃除のときに廊下や図書室の扉を開け閉めするのに使ってて、ルビーの鍵は本当は先生しか入っちゃいけないところに続いてるんだけど、万が一のときのために預かってた。でも私は使ったことはないわ。

 ……というので、学校内の地図と鍵を持ってやってきたはいいものの、来たら先述のとおりの惨状。しかも、学校の中にはジェシーの先輩のシーラという娘さんが――これは大変勉強熱心で、しかも魔法も使えるという才媛らしいが――いるのだという。シーラはよくこの学校に来て勉強をしていて、今回も雨の降り出す前から学校に泊り込んでいたというのだ。

 「やれやれ、ともあれ突っ立って見てても埒はあかないよね。ちょっと待ってて」
 そういうとヴェロニカは前庭に踏み込んだ。が、二、三歩歩くとあわてて飛びのいた。足元だった場所がぼこりと崩れて穴が開いた。庭木が引っこ抜かれた部分がぬかるみで半ば覆われて、自然の罠になっているのだ。
 肩をすくめて――それからヴェロニカは眉をひそめた。
 足音を忍ばせて扉に近づく。扉周りは酷い有様だった。べたべたの手形――どうやらゴブリンのものらしい――と、たたき折られた庭木――どうやらドアを力任せにぶん殴ったら折れたものらしい――それに、叩き壊された呼び鈴。が、ヴェロニカはかまわず扉に耳を当てる。

 ヴェロニカは戻ってくると鼻の頭にしわをよせて言った。
 「ゴブリンよ。中でなにやら楽しそうにしてるわ。『おお、なんと素晴らしいナントカカントカ』だってさ」
 
 
posted by たきのはら at 18:06| Comment(1) | TrackBack(0) | The Third Team | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

1st Stage『雨をもたらすもの』前口上

 The Third Team。
 先週の日曜日はとあるプロジェクトの1st Stageの仕上げ段階に参加させていただいてまいりました。

 初めてDMをやってみよう、という潮見さやか嬢が計画したのは、「同じシナリオを微調整しながら3回遊んでみる」というプロジェクト。力の1号技の2号じゃないけれど、ガチとかエロとかさんざん言われている方々の洗礼を潜り抜け、シナリオとマスタリングをブラッシュアップし、で、最後に私たち、Third Teamの番、という按配。ちなみに某橘さんはここにはおいでになりません。

 てなわけで、えーと。
 普通に遊んでまいりました。すごく普通に、楽しく。初DMとかなんとかまったく無関係な感じで。

 クリティカル1回、hp満タンから1ラウンドでhp2まで、てのが1回(……四足獣はだから駄目だって……)、でもどうやら人死には出ずに済みましたとか主にネタ満載でしたとか、3チーム通してここまで阿呆な話になったのはウチ以外あるまいとか。

 ちなみに面子はこんな感じ。

 ハルミラ
 ドワーフの娘さん。成人したばっかりだとの事。昔、悪い人間に両親をさらわれて以来、人間が大嫌いなレンジャー1/バーバリアン1。気に入らないことがあると据わった目でそっぽを向いてドワーフ語でぼそっとつぶやいたり、なんとなくハルバードの柄ををかっしょんかっしょん地面にうちつけてみたり。ちなみにヒゲは生えてません。(PL:P太郎さん)

 ヴェロニカ
 人間の娘さん。18歳。ローグ2。スラム育ちでそのまま行けば相応の人生が待っているはずだったところを、たまたま冒険者のものを取ろうとして捕まり、そのままついて歩いているうちに更生したという過去を持つ。微妙に世の中ナナメに見ているところがあったりなかったり。あと、謎の街知識を持っていたりとか。(PL:腐爺さん)

 カーティス 
 人間のお兄さん。19歳。「自分の身は自分で守る」モンク1/ウィザード1。右手にワンド左手に巻物、攻撃はほぼ体術(と、アイテム由来のシールド)でかわし、物理ダメージは膝と肘でたたき出すオールラウンダー。ちなみに使い魔はトードで名前はサイモン教授。でも涙滴型の馬車(……ってどんなんだ^^;;;)を乗り回したりはしません。(PL:備前屋さん)

 フィニガン
 人間のヲッサン。25歳だけど口調と行動パターンがどうにもヲッサンなクレリック2。口減らしのため神殿に放り込まれた微妙な感じの苦労人育ち。困っている人を見ると放っておけず、ついでにおてんとさまの下、命あるものはみな相応の生存権があると堅く信じていたりします。いや、べつに髪型はモヒカンじゃないですけど(PL:たきのはら)

 ……てな感じの四人組。
 既に何度か――少なくとも2レベルになるまでの冒険行をともにしてきているという状況で……
posted by たきのはら at 16:29| Comment(4) | TrackBack(0) | The Third Team | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。