2012年08月06日

『巨人族の逆襲』第19回:その1

ネタバレ注意!
このレポートは「シルヴァー・クロークス戦記 巨人族の逆襲」を遊んだものです。
まだ遊んでない方はこの先はお読みにならないほうがよいと思われます。

























 次元の狭間を越えた衝撃で、意識が戻った。
 この世のものならぬ寒さが薄れると共に、感覚も戻ってきた。
 私たちは蒼い肌の魔神カーシムの操る船で、氷の次元界を後に、“この世”の北端の村フロットサムへと帰還するところだった。

 「ふむ、魂なら間違いなく自由にしてやるとも。なんだったらその肉の檻からもな」
 聞きようによらなくても物騒な物言いを耳にして寝台の上に起き直ると、オーケストラがにこりとも笑わぬ顔で、居心地悪そうに身をすくめる氷巨人を、おそらくはからかっていた。私たちは氷巨人と戦っていたはずだ。なぜそれがここに同道しているのだ。
 考えても思い出せなかったのでオーケストラに尋ねると、オーケストラは私には答えず氷巨人にむかって
 「やはりお前はこの船にいるべきものではないようだ」
 と言い放った。巨人はただでさえ青ざめた顔からさらに血の気の引いた、紙のように白い顔をして、「ここには義の心を持った男はおらんのか」と喚いた。あいにくその部屋にいる男性は氷巨人のほかにはパラディグーム卿ばかりで、あとは私とオーケストラ、それに“この世のすべてのお宝を開放して回っている”という盗賊娘マイア――氷の次元界で出会ってともに行くことにしたのだ――だけだったので、3人で口をそろえて私たちが男に見えるのかと問い返した。巨人は慌てふためき、パラディグーム卿はというと私たちをたしなめるでもなく大変に気の毒そうな顔で巨人を眺めていた。

 それにしても記憶がはっきりしない。
 氷の次元界への船旅は、本来学究の徒たる私の繊細な身体には荷が勝ちすぎたらしい。寒さと船酔いですっかり体調を崩した私は、一日の殆どを船室の寝台で過ごし、仲間たちが出撃するというときにだけ起き出して、寒さ避けのまじないをかけたり魔法の馬を呼び出してやったりし、たまに足元のふらつかぬときがあれば共に出かけて巨人を討つという、至極みっともない体たらくをさらしていたのだ。

 氷の次元界から吹き付ける、身を切るどころか魂まで砕くような風が間遠になるにつれ、ようやく私の意識も定かになってきた。である以上は思い出せる限りのことを記しておこう。



 
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2012年08月05日

『巨人族の逆襲』第19回:前口上

 ……大変に間が開きました。

 レポートは書いてないけど遊んでたと言えばいえるし、私自身は第11回から7回分のうち半分ぐらいは冬から春にかけての寒さで体調を崩し、実は参加できていなかったりするし。
 というわけで、氷巨人との戦いののっけでマイキャラのミルタが「寒さと船酔いで回復力が2回ぶん削られて、温かいところでゆっくり休むまで回復しないよ」と言われたと思ったら、中の人の回復力がリアルになくなって遊べなくなったとか、恐るべきPL-PC連動を披露してしまったとかなんとか。

 ともあれ、季節が夏になって、氷巨人の話が一段落したところでようやく私の体調も回復。PCはというと、動けなくなる直前に15Lvになったのが、まだ15Lv呪文を使いもしないうちに私がダウンし、そして復帰してみると16Lvになっているという有様。本日ようやく15Lv呪文をご披露してきました。メンタル・メイルストロム、そんなわけで初めて見たけど酷い呪文でした。でも一番酷いのはマジック・ミサイルでした。

 レポートお休みしている間に起こったことは、今回の最初に「私は寒さと船酔いで朦朧としていたのでろくに覚えてはいないのだが」と言い訳しつつもミルタが説明する予定。
posted by たきのはら at 02:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 巨人族オンセ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月30日

『巨人族の逆襲』第11回:その5

ネタバレ注意!
このレポートは「シルヴァー・クロークス戦記 巨人族の逆襲」を遊んだものです。
まだ遊んでない方はこの先はお読みにならないほうがよいと思われます。


























(ミルタ)
 ウルリクがすたすたと海の上を歩いて奇妙な技を使い(そうとしか言いようがない。ウルリクは、これは魔法でない修行の結果だ、ああ、最後に氷山をひと突きで消し去ったのは魔法の道具の力だとこともなげに言っていたが)、幻の馬にまたがったドワーフが大戦斧を振りかぶって突貫すると、やがて舟の中の巨人は1体が落ちて2体になり、残る2体のうち1体がザンギエフに胸板をざっくり裂かれて絶命し、残る1体は慌てて氷の海に落ちた仲間を舟に拾い上げ、逃げ出した。

 が、その舟からは相変わらず炎の泉がこんこんと湧き続け、舟底は見るまにたよりなく薄くなっていく。とうとう巨人たちは降伏した。橋を渡ろうとして落ちた2体は、先程のジンの戦士――名はカシームと言った――が風に巻き込んで一歩も動かさず、この連中も結局降伏した。

 なに、私たちの技で殴り殺されるか、村人たちの拳や銛で殺されるかの違いだったが。
 片手に余る数の巨人にはさすがにあわてふためいたとはいえ、この極寒の地で生き抜く屈強の男たちである、村を襲われ、家を壊されて黙っている訳がない。

 「ああ、1人は生かしておきなさい。話をきかないといけない」

 パラディグーム卿が言ったので、1体だけは喉元でなく手足の腱を切り裂かれるだけに留まったが。

 命だけは助けてやった巨人から話を聞き出し、さて、この先の思案をしようというところで、カシームが言った。

 「巨人たちから村を守っていただいたのは感謝に耐えない。が、そのついでにもう一度、骨折ってはもらえないだろうか。この氷雪の地で住む家を壊されてしまっては、村の住民の大半は生きてはゆけぬ。掘っ立て小屋なりとも建てねばならんから、どうかそれを手伝ってはもらえないだろうか」

 もちろん引き受けぬ理由もない。それに、島に渡るなら船が要り用になるだろう、陸の者が船で海に出たなら船を怖そうとする敵が必ずやいるだろうと、修繕の儀式は用意してきている。海に乗り出す前に使うとは思わなかったが。

 そこで、まず乗り手のいなくなった三艘の舟をあらためると、まるで宝船でも着いたかと思うほどの財宝が積み込まれていた。巨人たちの手ごわさに、作戦を誤ったかと思っていた者も一気にこここそ征くべき道であるとの思いを強くした。しかし私たちが取る前に、まず村人たちの家を建て直す儀式の材料とせねばならない。

 秘術の徒でない者たちには傍にいてもらっても助けにはならないので、儀式がすっかり終わり、崩れた家が元通りどころか新品になるまで、仲間四人はカシームのイグルーでお茶を呼ばれていてもらった。

 見る間に新品になる家に村人たちは驚き喜び、私のことを仙女さまとまで呼ぶので少しばかり気をよくしていると、岬の突端で物見が呼ばわった。

 「津波だ!」

 幸い村の修繕が一段落したところだったので、報せが早かったこともあり、10フィートほどのちいさな津波のための死者はなかった。単に私がもういちど、修繕を一からやり直さねばならなくなっただけのことだ。

 そのまま壊しておくわけにもいかないので、修繕をやりなおしていると、背後でカシームがこんなことを言うのが聞こえた。

 ――どうやら次元の裂け目がまたできたらしい。この沖合に、元素の渾沌との境目が薄くなっているところがある。そして時々、そこが避けて向こう側のものが転がり落ちてくるのだ。津波ということは、きっと大岩でも落ちてきたものだろう……

 つまり責は巨人共と手を組む元素の連中にあるというわけか。
 ならば、ひとの仕事を仕上がりと同時にぶち壊した報いはうけてもらおうか。



このシーンのうらがわ。
posted by たきのはら at 10:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 巨人族オンセ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『巨人族の逆襲』第11回:その4

ネタバレ注意!
このレポートは「シルヴァー・クロークス戦記 巨人族の逆襲」を遊んだものです。
まだ遊んでない方はこの先はお読みにならないほうがよいと思われます




























(ミルタ)
 さて、どうしたものか、と、私は考えていた。
 こちらの岸に付けてきた太鼓持ちとその従者には、壮絶な打ち合いの合間を塗っては魔法の矢を叩き込んではいるが、しかし、さて。

 と思ったとき、すぐ脇でめりめりと大きな音がした。
 橋のたもとでまるで腹でも痛くなったかのようにおめき叫ぶザンギエフめがけて、目に付く限りの家をすっかり叩き壊してしまった巨人共が橋を押しわたってきたのだ。いや、押し渡ろうとしたというべきか。
 一人目の巨人が橋の中ほどまで来て、そして二人目の巨人が橋に足をかけたところで、どうやら古くなっていたらしい橋は、いきなり落ちたのだ。だから巨人をこの橋に踏み込ませようと、ザンギエフは必死の演技をしていたというわけか。賢い戦術というのはなにかはばかられたが、少なくとも橋の上にいたはずの巨人共は、水に落ちたり近くの氷山によじ登ったりと、これはもう戦闘どころではない。

 霜巨人は船乗りだというのに泳ぎができないというわけか、水におちなかった3人はすぐさま岸に取って返し、岸に半ば乗り上げていた舟を海に蹴込むと、凄まじい勢いで私たちのいる岸を目指してきたものである。

 太鼓持ちや従者も気になったが、突然私はよいことを思いついた。
 あとは頼むとわざわざ言うまでもなく、パラディグーム卿は従者巨人を他所へ一歩も退かせず殴り合っている。逡巡しているうちに、目の前で太鼓持ちは死んだ。あとはこの舟の巨人共だ。

 ひと足、ふた足馬を進めると、わたしはおもむろに呪文を唱えた。南の島から漕ぎ寄せてくる巨人共の氷の舟の底から、突然紅蓮の炎が吹き上がった。みるみる溶けてゆく舟から逃げ出そうとする巨人たち。逃げ出そうとするのを再び魔法で縛った。巨人たちは、溶けてゆく舟の中で、岸から10フィートも離れていないところで幻を見ながら死んでゆく運命なのだった。




(オーケストラ)
敵が東西に分かれてきたのが不幸中の幸いだった。

呪術師と護衛は西に、斧使いと戦士は東に船をつけて略奪を
開始する。

護衛の雪嵐は食らったが、バラディグーム卿が護衛を
引き寄せてくれた隙に呪術師は陥した。

護衛も力戦するがミルタの氷避けの魔法でダメージが
激減される。というか減らされてなければどうなっていたか。

東の巨人どもは慌てて西側へ渡ろうとするが重みで橋が落ちる。
一人は脇の氷山を飛び石に伝ってわたろうとし、後の
三人は船で漕ぎ出す。

ここでまたもミルタがやってくれた。
「船に炎の泉を掛けます。氷の船だから溶けますよね?
乗員には船の中心に引き寄せられる幻術を掛けます。
逃げられると思わないように。」

次にウルリクが海の上をすたすた歩き出した。
(この怪人のやることについては、わたしは
なにがあっても驚かないことにしている。)
途中で一度身震いすると近くの敵すべてが殺気に射すくめられ、
足が鈍った。まさにバジリスクの凝視のようだった。
船の動きはますます鈍った。(驚かないぞ。)
「火に弱くなれ」と唱えるや、拳に炎を浮かべて手近の巨人を殴ると、
巨人はその場で大火傷を負った。(驚くものか。)
最後に、背負っていた金のシャベルを取り出し、
氷山を一突きすると見る間に氷山がきれいさっぱり
消え失せた。上に乗っていた巨人は当然氷海に落ちてあっぷ
あっぷしている。(悔しい…、でも…、ビクンビクン。)

ひとしきり不思議な空気が流れたところで
(ウルリクのみなにくわぬ顔で腕組みして愉快愉快と
いっている)、ザンギが恒例の突貫タイムを開始した。
巨人の船に飛び移っての三連撃。だが敵もさるもの、一回では
墜ちない。大斧と火傷で重傷になりながらも重い重い一撃を加える。
そのときザンギの頬に、にやりとそれはそれは凄絶に嬉しげな笑みが
浮かんだ。

…北への準備の際に新調した真新しい籠手を道中それはいとしそうに
さすっていたものである。「これは殴り返しの籠手といってな。
敵に殴られたらその場で殴り返すことができるのじゃ。まっこと、
恨みを永遠に忘れることなき我がドワーフ族にふさわしき籠手じゃ。
これさえあれば記憶の弱まったじいさんドワーフでもうっかり
復讐をし忘れることはないぞ!」

即座に返された四撃めに、巨人の戦士は沈み、斧使いらはその力を
振るうことなく降伏の憂き目となった。
posted by たきのはら at 03:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 巨人族オンセ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『巨人族の逆襲』第11回:その3

ネタバレ注意!
このレポートは「シルヴァー・クロークス戦記 巨人族の逆襲」を遊んだものです。
まだ遊んでない方はこの先はお読みにならないほうがよいと思われます。

























(ミルタ)
 全員に守りの呪を施しておいてから、私は騎乗したまま村の広場に出た。南側の橋の向こうの島部に、氷の舟が2艘つっこみ、霜巨人が5体飛び降り、そして子どもが面白いおもちゃにとびつきでもするように、村の家にとりついて揺さぶるのだ。
 どうやら連中はこのフロットサムを蹂躙して単に楽しんでいるもののようだ。

 さっきパラディグーム卿の声に応えて出てきたジン……背の高さと成りは巨人ほどもあるが、巨人共のように不快にねじれながら巨大化した様子はない……は、しばらくここを頼んだ、俺は村人たちを逃したらすぐ戻ってきて助太刀すると言いおき、文字通り風を巻いて走っていってしまった。

 さて、どちらに対して魔法の罠をしかけたものかと馬首をめぐらす。パラディグーム卿とウルリクは島の東の岸に立ち、ちょうどこちらに突っ込んできた氷の船を迎え撃っている。乗っているのはひときわ立派な髭を編み、太鼓と笛を手にした巨人。それに大斧を担いだ厳ついうえにも厳つい巨人の戦士。南の島の衆には申し訳ないけれど、まずはこちらかしら。「この太鼓持ち野郎、偉そうな面しおって」「でも、あれがこの一団の頭だと思うわ」ウルリクとオーケストラの会話が切れ切れに聞こえる。手ごわそうだが、私は近くにはどうせ寄れぬ。正体がはっきりするまで、遠間で電撃でも魔法の矢でも撃っておこうと、馬を小屋の影にうまくかくして立たせてやりながら、私はひっそりと考えた。




(オーケストラ)

戦士2人と斧使い2人は東に回る。呪い師は戦士一人を護衛に
西に着けようとする。並外れた膂力で船の動きは早いが
こちらも騎乗の身。一瞬で展開する。

ザンギエフが橋の袂に陣取り、天高く斧を掲げた蜻蛉の構えをとり、
目を戦意に爛々と輝かせ、大声で呼ばわった。

「おおーなんと恐ろしげな巨人じゃあー!!ぶるぶるー!!」

なにをやっとるのだろう、あの樽は。
どうやら怯えた振りをして敵をおびき寄せようとしているらしかった。

「…わしの方がもっとおそろしいぞぉ」
小声でぼそっと付け足してやった。

東の巨人どもはピクニック気分で家々を撃ち壊し、狩りを楽しもうと
している。西側に呪い師が船をつけた。
呪い師に先制のきつい一発を食らい、続けて戦士の呼ぶ雪嵐に
ウルリクの体力が半分持っていかれた。

…強い。
ここでザンギエフがぼそっと漏らした。
「そりゃあ霜巨人どもの種族は炎巨人や大地巨人の種族より
ずっとずっと強いからのお。」
「っ!!」

はい。これが答えです。地震と燎原と氷河は同格ではありません。
燎原は地震よりずっと強く、氷河はその燎原よりさらに強いのでした。

そういうことは北へと向かう前に言っていただけると嬉しかったですね、
この樽頭め!

posted by たきのはら at 02:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 巨人族オンセ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『巨人族の逆襲』第11回:その2

ネタバレ注意!
このレポートは「シルヴァー・クロークス戦記 巨人族の逆襲」を遊んだものです。
まだ遊んでない方はこの先はお読みにならないほうがよいと思われます。


























(オーケストラ)
北への準備は瞬く間に進み、ミルタは山ほど儀式と薬を買い込み、
共有資金から出そうかとの申し出を「あらいいわよこれくらい、おほほほほ」と
嫌に機嫌よく断り(後半は幻聴だった気もするが)、ファントム・スティードまで用意して、
一日後には我らは極寒の町、北のフロストサムに立っていた。

フロストサムは氷雪に閉ざされた港町で長い橋で東の島部と
西の大陸部に分かれている。イグルーやユグーの間は凍土でおおわれ、
東の島部への橋の横には大きな氷山がいくつも浮かぶ。
ファントムスティードの幻の蹄でなければこの雪や凍土を
越えて走るのは困難だったろう。
聞くところによれば、フロストスパイアにある元素界との門を潜って
時おり巨人や精霊に襲われる。その度に避難や撃退を繰り返し、
それでもここに住むものもいるのだ。

そして、我らが到着したその折しも。大きな丸木船二艘に乗った
フロストジャイアントの一団が、沖合いから村を襲撃しようと
していた。



(ミルタ)
 アージェントを発ってしまえば、行先は辺境の漁村。その先には宝の山があろうとはいえ、そのあとどれだけ物要りになるか知れたものではない。詰められるだけ根を詰めて儀式書に儀式を書き写し、儀式を執行するための道具をあれこれと買いあさった。魔法の物入れ袋があって大変に助かった。幻の馬の儀式はもちろん、自前の足で水の上を歩く儀式、フロットサムまでならまだしも、目的の島フロストスパイアへは船で渡ることになろうから、万が一船に傷がついたときの用心に修繕の儀式……私の財布はまたたくまに軽くなった。

 揃えられるだけのものを揃え、それから幻の馬を呼び出す儀式を執り行なう。魔法は思い通りうまく行き、最初に言い切ったのと同じ、水の上までも素晴らしい速度で軽々と駆ける馬が五頭、魔方陣から躍りだした。それから一同を集め、冷気や熱気に耐える儀式を施す。それから馬に飛び乗って馬首を北へ向けると、私たちは風より速く走りだした。

 目に映る景色がやがて色を失い、白と青と灰色の雪原に変わる頃にも、まだ1日も経ってはいない。
 私たちは騎乗したまま、北の辺境フロットサムの村境に立っていた。

 目の前の村は、武器を手に闇雲に走り回るもの、怯えて逃げようとするもどうしていいかわからずにいるもので、鶏籠をぶちまけたような騒ぎ。それもそのはず、はるか沖合から黒い波を蹴立て、三艘の丸木舟がやってくる。遠いので一瞬見誤りかけるが、尋常の船の5倍、10倍はあろうかという代物、そしてそれぞれに霜巨人が乗り組んでいる。雄叫びを上げる巨人の、寄木細工かと見えた舟は、おお、よくよく見ればなんということか、巨大な氷山から削り出した氷塊の舟ではないか。

 「オーケストラ、あれはどんな生き物ですか」
 「見ての通り、霜の巨人」
 「冷気を吹き出して戦う……ので、いいのよね」
 「炎でないことは確かね」

 微かに唇を引き上げると、私はそこにいた全員に、冷気からの守りを施した。




(オーケストラ)
さて月光よ。実は先の手紙でお前に
告げたことに一ヶ所誤りがありました。
さあどこでしょう。答えは文中で。

ためらいなく動いたのはバラディグーム卿だった。
即座に村の中央広場に立つと日焼けした顔に笑みをたたえ
大声でこう呼ばわったのだ。

「皆の衆よ。われらは巨人を討つ遍歴の騎士でござる。
ここはわれらに先陣を切ることをお許し願えまいか」

その行動には一瞬の迷いもなく、ああこの初老の騎士は
その放浪の中で同じことを何回も何十回も繰り返したのだろうと
思われた。

声に答えて一人の武装した村人が走り出た。だがその肌は青く回りには
風が巻く。これは人ではなくジンの戦士なのだった。

「お言葉に甘える。村のものは山へ。東側の橋の向こうに
誰か知らせに行け。」

押し寄せたフロストジャイアントたちの一団は戦士3人と
双斧の軽戦士2人、それから太鼓を打つ呪い師。
寺院で詰め込めるだけ詰め込んだ我が自然知識が唸りを
上げる。

フロストジャイアントの戦士は雪嵐を呼べる。殴られると痛い。
斧を持っているのはレンジャーだ。両方の斧で殴る。
間違って急所に入るとととてもとても痛い。
呪い師は嵐を呼ぶ。相手を押しやり、動けなくし、
霜にさらに弱くする。

…記録の書き手がドワーフだったせいでいまひとつピンと来んが
難敵と言うことはわかる。


このシーンのうらがわ。
posted by たきのはら at 02:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 巨人族オンセ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『巨人族の逆襲』第11回:その1

ネタバレ注意!
このレポートは「シルヴァー・クロークス戦記 巨人族の逆襲」を遊んだものです。
まだ遊んでない方はこの先はお読みにならないほうがよいと思われます。


























(ミルタ)
 さて。
 とにもかくにも生きて戻ってきた。巨人共の作戦書とやらも隅から隅まで読み通した。
 では、どうするか。

 私たちの人数は限られているが、為すべきことは多い。我々が出陣するときは必ずうち2名ほどをアージェントの護りに残しては行くが、そして丘巨人の陣を切り崩した以上、当座の戦況は落ち着いていようが、とても安心できるものではない。塞の護りをかためることを考えるのも私たちの仕事である。

 守り手の頭数を増やすとなれば、夢見がちな虎娘トリアンの、おそらくは現実的であったろう一族郎党をなんとか呼び戻せば随分と安心だろう。それとも、軍勢を結集させつつある巨人どもを片端から討って、攻撃は最大の防御を地で行くべきか。
 ぶつぶつとつぶやきながら考え込んでいるところに、何かを暗唱するようなオーケストラの声が天啓のごとく響いた。
――そのフロストスパイアと呼ばれる島には、財宝と魔具が積まれていると言います……



(オーケストラ)
月光よ月光。

戦いを終えて一息ついた後、お前に届かない手紙を
書くのが習慣になってしまったよ。

わたしはいま極寒の地のイグルーの中で
この手紙を書きながら激しく後悔している。
わたしが余計なことを言わなければ…。
そもそもどうしてこうなった?

話はアースタイタンを倒した後に遡る。
敵の城塞の作戦室で我らはいくつかの地図と
作戦書を見つけて持ち帰った。
そこには巨人達のこれまでの侵攻計画と戦術目標が
記されていた。

1)アースタイタン、地震の部隊は西域の堅塞を落とし、
トリアンらの里を遅い魔術師は封印の鎖を奪取する。

2)フロストタイタン、氷河の部隊は北の地、フロストサムを
襲う。

3)ファイアタイタン、燎原の部隊は山岳地帯に部隊を集結、
人工の多い西域の町々を襲う。

4)フロストジャイアントの族長が密命を帯びてフロストサムの
沖のフロストスパイア島に向かっている。

我らは真剣に討議した。
まずアースジャイアントどもの首魁は潰した。被害が大きいのは
やはりファイアジャイアントどもだ。北の町は、悪いが大勢には
影響なかろう。ただ別行動をとるフロストジャイアントの族長が
気になる…。

「その島についてなにか知らないかしらオーケストラ」
ミルタの言にわたしは深くは考えず、記憶にあるままを口にした…。
「鬼の哭く海フロストスパイア。そこには元素界との門がある。
かつてフロストジャイアントの族長ハルガードは片目の神グルームシュを
襲撃にいって遂には返り討ちに会うまで、そこを拠点に
あらゆる財宝と魔具を積み上げたという。」

その瞬間、これまでの議論は吹っ飛んだ。
ウルリクが急に身を起こして「分かった。そこだ。」といった。
ミルタが「我らが力を増してのち敵に向かうことこそが
多くの人々のためです」と目をぎらぎらさせながら似合わぬことを
述べた。バラディグーム卿までもが「よい武具を得てよい敵にあたるのは
よいことでござろう」と乗り気であり、ザンギエフに至っては「囚われの
財宝を解放するのはドワーフの義務!」と大炎上して「この島に至るには
フロストサムを通らねばならぬ。北の巨人どもの意図も挫いて一石二鳥じゃあ。
炎の巨人どもは兵力を集結している最中だからそれからでも間に合うわい。」
といつになく理路整然と吠えたてた。

普段は自ら外付け脳みそと呼ぶガーリン師に考えの一切を任しているくせに
財宝が絡むと急に頭が回り弁も立つだなこの肉達磨は、とそのときは思った。

本当に。頭が回るのは財宝のことだけかあ、と、後に北の地で絶叫することなど知る由もない。




(ミルタ)

というわけで、私たちは急遽、北の村フロットサムに向かうことにした。
それまでは、まずトリアンの親兄弟を訪ねてという話をしていたのだが、こうとなってはそれは二の次となった。トリアンの親兄弟を説得して、一度は捨てた塞の護りにつかせようというのだから、まずトリアンを使いとして立てればよい。彼女がきっと一族の心を動かしてくれるだろう。

 「それでもし説得がうまくいかなかったとなれば、だ。それこそこの北への出撃が重要となってくる。巨人共の溜め込んだ財宝がこの手にあれば、それ、気持ちで人はなんとかならなくとも、財宝を積めば協力してくれるということもあろう。つまりはまず北に行ってしかるべきものをしかるべきようにすることこそ肝要」

 おめき声を上げて敵に突貫するのと同程度に、いや、あるいはそれ以上に熱心に、ザンギエフはまくしたてた。この男はこんなにも弁が立つのか、見かけによらぬものだと私はずいぶん感心した。

 で、感心して征くことにした以上は、準備万端、整えねばならぬ。
 聞けば、北の地フロットサムは氷のごとき風の吹きすさぶ海沿いの村だという。寒気に耐え、水に耐え得る装備を固めねばならぬ。そしてそもそも霜巨人どもがその村を通過する前に、その地に到達して待ち構えておらねばならぬ。
 
 「ミルタ殿ミルタ殿。それがし思うに騎士物語の仙女は寒気に耐えるまじないを知っておるものでござった。しかるべき儀式を手に入れることはでき申すまいか」
 パラディグーム卿が言った。とても仙女などと言えた柄ではないが、私はにっこりと笑って言った。

 「でき申すどころの話ではありません。魔法を習うものなら最初に覚える儀式がありますわ。魔法で作り出されたものでさえなければ、燃え盛る炎、凍てつく氷雪の中にあっても春のうららかな野にあるがごとしといったものです。それから馬も用意いたします。どんな荒地も軽々と駆け、水の上さえ堅固な大地を行くが如しという幻の名馬。さあ、フロットサムにいらっしゃるのはどなた」



このレポートのうらがわ。
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『巨人族の逆襲』第11回:前口上

 ふう、ようやく追いついた。
 というわけで第11回、遊んできました。

 ここのところずーっとレポートがお休みになっちゃったのは、まあオンセダブルヘッダーとか普通にしてたから……というのもありますが、もうひとつ、D&Dエンカウンターズのシナリオ翻訳、そしてせっかくだからフォローアップのお手伝いもしよう! ということでそちらに時間が行ってたというのもありまして。

 D&Dエンカウンターズ、毎週水曜日の夕刻2時間、店舗のプレイスペースを借りて1セッション1遭遇でミニ・キャンペーンを遊ぼう、というアメリカ生まれの企画。いや、これまでもシナリオ翻訳のお手伝いはしてたんですが(http://takinohara.seesaa.net/article/242062397.html)、この度、主催側各位の尽力により、ついに本国と同時開催に漕ぎ着けまして♪

 ……そうすると本国の方で、週に1回あらすじとか次回予告とか出るから、せっかくだからそれも訳して紹介しようとかいろいろやってるうちに時間が過ぎて。ってか、時差やらなにやらでこちらが先行しているところに、感謝祭だクリスマスだとアメリカの休暇の多いここしばらくは「ああ、まだ更新されないなー、されないなー」といってWotCのサイトをしつこく見てる時間のほうが長かったかもしれない。

 ともあれ、こちらが遅れていた間も、楽しいことはいろいろ進行しておりました。
 ちなみに現在進行中のエンカウンターズは、D&Dでありながらシェイクスピア風妖精物語。なかなか面白いので、気になる方はこれからでも是非遊びにいらしてくださいな。

 ……と、ひとしきり宣伝したところでレポートに^^;;;
posted by たきのはら at 01:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 巨人族オンセ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『巨人族の逆襲』第10回:その2

ネタバレ注意!
このレポートは「シルヴァー・クロークス戦記 巨人族の逆襲」を遊んだものです。
まだ遊んでない方はこの先はお読みにならないほうがよいと思われます。



























巨人の戦頭はよく戦ったが、所詮は率いる部下あっての力。
手下を屠られ、仲間と分断されては我らに敵うはずもない。
血祭りにあげた我らに大地の巨人どもの殺到する地響きが響き渡る。

ここで、巨人達が、自ら開いた床穴でなく、尋常の通路を伝って
襲おうとしたのが幸いした。

登る間に上から狙われるのを厭うたのかもしれぬし、
戦頭がやられては合流する必要もなしと考えたかもしれない。
(彼らがどれほどものを考えるのかは見た目では分からぬのだが。)

ただ、通路の入り口にわが魔法使いミルタが見事に意地の悪い罠をしかけた。

思うに、相手にとって嫌らしい罠を嫌らしいタイミングで嫌らしく掛ける
その巧みさというか嫌らしさにおいては、この仲間は西域でも屈指の
存在なのではなかろうか。

わたしはこの件について、わが仲間ミルタに心からの賛辞を惜しまない。


大地の巨人どもは入り口にかけられた魔法でスッ転んだ。巨大な図体が
挟まっていると、さらに大きなアースタイタンは出る隙がない。
”追跡者”と呼ばれる岩生物どものように地面に同化して進む能力がないのが
幸いだった。
さらにその上から、あのエラドリンの小娘は、敵をその場所に縛る呪文や
問答無用で動けなくなる呪文を、嬉しそうに笑いながら重ねがけするのだった。

思え、月光、身の丈10フィート、15フィートの巨人どもが揃いも揃って
身の丈5フィート足らずの小娘に翻弄される様を。

我らは智恵を以て戦う。だが知恵の力も侮れぬものだと思い知らされたぞ。


しかもなお、我らは苦戦した。大地の巨人は巌のように固く(当たり前だ)、
岩生物どもは地面に潜ったり現れたり神出鬼没の上に、出入りの際に
盛大に瓦礫を飛ばして我らを傷つけるのだ。
そしてアースタイタンは扉の向こうから腕だけを出して殴ってくるが、
その拳は当たりどころが悪ければわたしでさえ2発で死ねるのを、
一度に両の拳で殴ってくるのだ。
足踏みをすれば地震が起きて立ってはいられぬし、
まさに伝説に聞く怪物だった。

思うに、我らが「来た、見た、勝った」などと嘯いていられたのは、
相手がチームとして機能しないように、先に襲いかかり、
相手のチームを崩すように動いていたからなのだ。
今回の相手は兵士が兵士として盾になり、遊撃は遊撃として
縦横無尽に出入りしてダメージを与え、チームとして機能していた。
長引く戦いに、わたしは持てる回復手段をほぼ使いきった。
唯一、暴れ役が十全に暴れられないようにミルタが地形を利用して
押さえたのが勝敗を分けた。

放浪の騎士パラディグーム卿が「水に落ちた犬、大いに打つべし!」
と叫ぶと敵は弱って理不尽に何度も打たれ、筋肉短駆のザンギエフが
おめき声と共に会心の戦斧を打ち込み、最後にアシュレイが
電撃駱駝固めからの三連撃をアースタイタンに極めると、
巨大な岩塊は折れ砕けて、今度こそ動かぬ岩山と化した。


「勝敗にたらればはない。立っていた者の勝ちだ。」
我らはそう習ったな、月光よ。
しかして、こうも習ったはずだ。
「立っていた者には、なぜ立っていることができたのか、考える権利がある。
 伏している者は、なぜ伏すことになったか、考える義務がある。
 しかし命を落とした者には、そのどちらもない。」と。

此度の相手は本当に強かった。敵の注文に乗って戦っていれば
全滅は必至だった。中央の間の罠で落ちたのが逆であったなら。
タイタンが全力で一人だけを殴っていたら。


月光よ。

敵の首魁にはこの地震と呼ばれるアースタイタンと同格の
燎原、氷河と呼ばれる始源の巨人がまだ二体もいる。

だけどわたしは生きて、いつかお前に会いたいのだ。
慢心を捨て、新たな力を探すよ。

どうかお前も、生き延びていておくれ。
敵としてでもいいから。

月光よ。

このシーンのうらがわ。
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『巨人族の逆襲』第10回:その1

ネタバレ注意!
このレポートは「シルヴァー・クロークス戦記 巨人族の逆襲」を遊んだものです。
まだ遊んでない方はこの先はお読みにならないほうがよいと思われます。

























 生き延びた。
 私がこうやって手記を書いているということは、すなわち生き延びたのだ。
 丘巨人の陣の奥底で、巨人族を率いる始原の巨人共のひとり、地震と呼ばれるその“もの”を討って。
 ……とはいえ、私自身は今回の出陣ではかすり傷をいくつか負うたばかりだったのだが、しかし、あの場で私の身に巨人どもの拳が及んでいたとあれば、それはすなわち誰一人生きて人の子の住む地には戻れなくなっているということに等しい。
 それほどの、敵であった。

 ともあれ、この先は、我らが戦司祭、オーケストラに筆を譲ろう。

*****☆*****☆*****☆*****☆*****☆*****☆*****☆*****


月光よ月光。

お前はタイタンというものを見たことがあるか。

私は見た。西域の堅塞にほど近い敵の城塞の奥底で。

そしてその己の体より大きく硬い拳をこの身に受けた。
私はそれと戦い、いま、生き延びてこの手紙を書いている。
だがどうしてかそれが不思議でならない。

偶然の天秤がわずかに傾けば、この身はここになかったかもしれないのだ…。

いまなお我が体をして震わしむるその存在について記すとしよう。

先の戦いの後、我らは城塞の奥へと進んだ。途中のことは省こう。
所詮、我らは、拠って守るより押し入って破る方がその身に合うというだけのこと。
押し入り、打ち倒し、捕虜の口から次の間の敵を聞く。
我らはこれを手際よく繰り返した。

中央の間にいるのは、丘巨人の戦頭とのことだった。
我らはちと拍子抜けし、さらなる探索を思った。
そこに気の緩みがあったのだろう。私は部屋に押し入ったとき、
一瞥しての罠のチェックを怠った。
汝が慧眼の前にはあらゆる隠し戸は自ら開く、とドワーフさえも讃えた
このわたしとしたことがだ。


雑魚を簡単に退け、巨人の戦頭に詰め寄ったそのとき。
戦頭の細工で床が崩れ落ち、深さ50フィートの奈落が足元に開いた。
わたしはわが神の加護ですんでのところで免れたが、
帝国の人造兵士・雷のアシュレイが穴に落ちた。

その地の底で、アシュレイは見た。大地の巨人の兵士と奇怪な岩の
生物に囲まれて巨大な岩塊が生あるものの如く蠢くのを。
それがアースタイタン、”地震”と呼ばれる始源の巨人であった。

アシュレイは帝国の産み出した兵士の精髄、奇怪というもおろかな
変態的戦闘生物であるので、巨人の戦頭がわたしを殴った瞬間に
「機会攻撃!」と叫んで地下50フィートから自動的に飛び出して
戦頭に殴りかかったが、落ちたのがこの奇怪生物でなければ、
我らは敵のホームグラウンドたる穴蔵に降りての不利な戦いを
強いられたであろう。
(帝国兵士には審美的基準も適用されるらしく、アシュレイは見た目には
 厳しくも可憐な女戦士のように見えるのだが、もちろんわが慧眼は
 そんな外見に騙されて本質を見失ったりはしないのである。)


このシーンのうらがわ。
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2011年12月29日

『巨人族の逆襲』第10回:前口上

 今回まで、遊んでるうちに間が空いちゃったシリーズなのですが……
 とりあえず、遊んできました第10回。

 今回、私は1時間ほど遅れの途中参加。というわけで、第1遭遇は(前回のパラディグーム卿と同じく)戦闘の現場になったのとは別の場所の見張り番でたまたま殴り合いをしなかった扱いに。

 で、なんで遅れたかというと、オンセのはしごだったのです。
 19:00〜23:00まで、森の中の童話みたいな村で、悪いフェイたちとの戦い。
 23:00ちょっと過ぎからは西域の堅砦近くの岩山の中で巨人族と殴り合い。
 椅子から一歩も動かずに。
 そして2セッションめが終わったら10歩も歩かずにお布団の中に♪

 セッションを遊ぶとなると1日がかり、帰りは終電に間に合わせようと走って走って……なんて頃から考えると、いい時代になったもんです。

 とはいえ、2セッション+その合間に翻訳とかしてるとさすがに終わったあとはどっと疲れて、そしてレポートアップが今頃とかなっちゃうんですが。昔はその後平気で明け方までレポート書きくらいできたんだけどなぁ……w
posted by たきのはら at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 巨人族オンセ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『巨人族の逆襲』第9回

ネタバレ注意!
このレポートは「シルヴァー・クロークス戦記 巨人族の逆襲」を遊んだものです。
まだ遊んでない方はこの先はお読みにならないほうがよいと思われます。


























 (語り手は再び代わってミルタである。なお、先程のエルフの司祭とこちらのエラドリンの魔術師は、互いに言いたいような出放題を言っているが、それぞれは相手の手記の内容を知らない)

 さて。
 大蜥蜴をぴくりとも動かさずに斬って捨て、丘巨人の兵士たちをうめき声ひとつ上げさせずに物言わぬ肉の山とし、血の臭いに驚いて垂れ幕の向こうから駆け出してきた巨人の呪い師の振り上げた拳がうち下ろされる前に斧を浴びせ倒し、ひとしきり周囲を改めてから私たちは次にどう進むべきか考えた。

 部屋の三方に扉がある。一番大きい両開きの扉には鍵がかかっている。
 オーケストラとザンギエフが扉の向こうの音をうかがい、両開きの扉の後ろに巨人共がうろついていると告げた。それとごぼごぼと何かの沸き立つ音。いかにも剣呑だ。が、なるべく多くの巨人共を切り崩したい私たちにとってはこの扉の向こうこそ進むべき道。

 「どれ、わしが」
 ザンギエフが言い、扉めがけて大戦斧を振りかぶったとき、私はふと気づいてドワーフ殿を止めた。

 「どなたか、他の二つの扉を塞いでくださいませ。ああ、その部屋の隅の火鉢、それがいい。万が一扉の向こうに何者かがいて押し入ってきても、足止めはしてくれるでしょう」
 「なに、立てこもるのか、しかし」
 「まさか」

 言って、私は微かに笑い、魔法の背負袋のなかから巻物を1本、そして光り輝く魔法結晶(レシディウム)を取り出した。いずれも絶対図書館の死霊術師のもとより貰い受けてきたもの。壁抜けの儀式を執行し、巨人共の虚をつくつもり。

 「扉が見張られていようというときに、扉からわざわざ行くほど親切でなくともよいでしょう。壁に通路を開きます。どこから出れば一番驚いていただけるかしら」

 ああ、そいつは賢い、とアシュレイが言い、ザンギエフとオーケストラの2人も武器を構えた。パラディグーム卿は火鉢を扉の前に移し終えてしまうと、槍を構えて殿を務める。私が声低く儀式の文言を唱え終えると、大扉の向こうとこちらを隔てる壁に、ちょうど人ひとりが通れるくらいの穴が音も無く開いた。

 ザンギエフがまっさきに穴に飛び込む。続いてアシュレイ、オーケストラ。私は壁のこちら側にとどまる。パラディグーム卿も壁をくぐりかけ、そしてやはり留まる。火鉢で抑えた扉が開いて巨人共が押し入ってきたなら、私ひとりではひとたまりもない。

 壁の裂け目越しに、巨大な体が身じろぐのが見えた。そしてその奥にごぼごぼと煮えたぎる炎の池。それからすっとんきょうな悲鳴が上がる。
 無理もない、扉が開くならともかく、壁が裂けるなどあの図体ばかりの連中は考えたこともあるまい。ザンギエフが目の前の巨人に飛びかかり、いきなり脳天に大戦斧を叩きつけた。アシュレイの雷の剣が唸る。巨人のほとんどはもはや見慣れた丘巨人だが、巨大な岩塊が人の形をとったがごときあれは、あれが大地の巨人というものか。ああ、わしも行ったものかとパラディグーム卿が覗き込むが、何、危なげなく巨人共は叩きのめされていく。私も壁越しに魔法の矢を叩き込む。

 と。

 「危ない、その炉の中は」
 オーケストラが鋭く警告の叫びを挙げた。
 「ただの火の池ではない。火精が潜んでいます。火の力も毒の力も届かぬ炎の精霊、近づけば肉は焦げ、骨は弾けるという」
 「たかが炎に強いだけだろう。見かけによらず雷にも耐え抜くとなればコトだが。オーケストラ、祈ってくれ」
 身の丈を超す大剣を無造作に振り上げ、身軽く炎の池の淵に飛び乗るアシュレイ。通常の間合いで肉薄するなら、我が身を焼くか相手を斬るかとの命のやりとりともなろうが、吹き上げる熱風を裂いて大剣の切っ先が火精の芯を切り裂き、刃を振るうアシュレイは熱気の届かぬはるか先。

 魔法で捻じ曲げた壁の構造が、ゆっくりともとに戻り始める前に、勝負は決した。
 山のような骸がごろごろと転がる部屋に、私、そしてパラディグーム卿は足を踏み入れた。
 卿の背後で、ゆっくりと壁が閉じた。


このシーンのうらがわ。
posted by たきのはら at 23:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 巨人族オンセ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『巨人族の逆襲』第9回:前口上とデルヴについて

てなわけで、遊んでからだいぶ間が空いちゃったシリーズ、しばらく続きます。
第9回、遊んできました。

実際に遊んだのは2011年10月29日。前回から1ヶ月近く経っています。本来なら2週に1度遊ぼう、というはずだったのですが、DMの都合がつかなかったり、PL複数の出張が重なっていたり……

でも、間が空いてしまうのはもったいない。

というわけで、レポートには書いていませんが、私たち、実は結構遊んでいます。幸いDM出来る人は他にもいるので(というか、オンセの会自体、最初は現オーケストラPLが“オンセやろう!”と言って始まったものだったりします)、D16氏がNGなとき、定期開催日ではないけどそれなりに遊びたい人がいるときは、別DMにてオンセ。

とはいえ、巨人族シナリオはPLが触るわけにはいかないので、

「巨人族の信仰から世界を守る西域の堅塞にも短い夜が訪れる。
 今宵の見張りを○○(その日いなかった人)に任せ、横になった君たちは、ふと自分たちが見知らぬ場所にいるのに気がついた……」

まあ、もうこれでわかる、夢オチ設定で、デルヴを遊ぶのです。
場合によっては、デルヴで新キャラの性能や他のキャラとの相性を確かめたり、逆に“ちょっとこれやってみたかったんだー”というキャラを作って遊んでみたり。

やっぱり、間が空くと何かと寂しいし、遊べると思ってとっといた時間がもったいないですもんね。

……というわけで、デルヴを遊びつつ集まれる日を待って、1ヵ月目にしてようやく第9回です。
posted by たきのはら at 22:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 巨人族オンセ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月26日

『巨人族の逆襲』第8回:その2

ネタバレ注意!
このレポートは「シルヴァー・クロークス戦記 巨人族の逆襲」を遊んだものです。
まだ遊んでない方はこの先はお読みにならないほうがよいと思われます。
























煙突を下った先にはとんでもないものがいた。レイジ・ドレイク、これは読んで字のごとく
嚇怒する竜種の大蜥蜴である。怒ると宙を飛んで4つの手足を8つに使い、あわれな犠牲を
めちゃくちゃに殴りかつ切り刻む。私も見るのははじめてだ。

大変に恐れた我々は5人のうでを10に使って竜が跳ねる前に残骸にした。

まずドワーフの筋肉達磨、ザンギエフが獣のようにおめくと大斧を奴の鱗に叩き込んだ。
旧帝国防衛の生体改造兵士の生き残り、アシュレイの姿が紫電のように煌めくと剣に宿った
雷が一瞬のうちにまさしく三度竜の鱗を焼いた。
放浪の騎士パラディグーム卿が槍を振るって敵を引き付け合図をすると一度は下りた
ザンギエフの斧が再び上がってするりとそこに付け込む。

そしてもちろん私も、祈りを以て彼らを支える。

ザンギの教導師、平和の使者なるドワーフの勇者ガーリン殿から手解きを受けた悔恨の祈りで
ある。この祈りによる叱責を受けた敵は自ら行いを恥じ、受ける痛みは倍化し、意識は混迷に
陥るという、畜生に効くのが不思議なばかりの強力な祈りである。
あわれ蜥蜴は一跳ねもせぬ間に動かぬ骸となり、我々は行き掛けの駄賃とばかり丘巨人2体と
投石兵、妖術師を片付けた。
ミルタの雷が巨人を撃ち、我が凶星占いの助力とパラディグーム卿の支援を得て、
ザンギの、巌のように筋肉のみっちり詰まった肉弾がピンボールのごとく跳ね回った後に、
立っている敵の姿はなかった。

電撃戦とはかくありたいものよ、とわたしがほれぼれと思ったそのときである。

不思議な感覚が体を満たし、わたしは我が信仰の道の主の存在をかつてなく近く感じた。
そしてわたしには分かった。寺院を出て後、戦いの中、ガーリン殿の手解きで身に付けた
かの悔恨の呪文は、私の進むべき道ではない。いつのまにかその祈りは忘却の彼方へと去り、
我が嵐の神の信徒の進むべき道として嵐の咆哮の祈りが自然と心に浮かんだ。
そして悔恨の祈りを当てるために修練した正確さの感覚が失せ、代わりに雷の痛みを倍加する
祈りの技が身に付いていた。

わたしは知らず涙を流していた。神性が一介の修行者に介入し、道の過りを正されたのだ。
私に神はいまだ見えない。しかし神には私が見えている。

月光よ月光、お前なら分かるか。

我らの道は単なる技術ではない。師から弟子へ伝えられる技以外に、ある確かなる存在が、
我らを見守っているのだ。わたしはそれを証された。来るもの、去るものは限りなく絶え間ないが、
お前がまだわたしと同じ祈りを祈る限り、我らは同じ神に抱かれる同胞なのだ。
たとえ道を違えても。

月光よ月光。わたしがお前を憎んでいないことは知っているだろう。

あのときのわたしは牙を向いた相手を撃つ。それだけの自動的な存在だった。
そしてお前も、わたしを憎んでいないことを知っている。そう思っていた、愚かなことに。
そうだ、お前はわたしを憎んではいなかった。わたしがお前を蘇らせるまでは。

お前がいずれ叛くことは分かっていた。
娘一人、この心握門の扉を叩くにはそれなりの縁があり目的がある。
人生に果たすべき目的を抱えた瞳が、智恵を以て力に対抗する武門を、決意を以て潜ったのだ。

お前の私たちへの敬愛と友情は本物だった。ただお前の目的に邪魔となった以上、
排除することにした、それだけのこと。
ためらわなかった訳でもない、でも決断した、それも知っていたよ、わたしたちは。
だからわたしたちはその決断を尊重し、ただ全力で挑戦に応じればよかった。

最後にお前は二つだけ聞いたな。
なぜわたしを蘇らせたのかと。次になぜわたしだけ蘇らせたのかと。
わたしは正直に答えた。お前はなにもいわず振り返らずに去っていった。


あのとき、お前を蘇生させろとわたしに説いたのはインフィニティだ。
わたしは無駄になるのではと危惧していた。
お前は配下を全滅させて一人おめおめと生き長らえる女でないと。
インフィニティはいった。お姉さま、あなたは月光姉様の宿願を軽く見てらっしゃいますと。
その通り、お前は死なせた仲間を置いて一人去っていった。
そのときはインフィニティの洞察が優ったと思った。

違う、違うのだ。

お前はのうのうと生きていたくはなかったはずだ。だが蘇った以上、宿願を置いて
自決するわけにはいかない。お前の使命は自決を許さず、お前の高潔さは一人生き長らえた
恥を責め続ける。お前はわたしを怨んだはずだ。あれがお前が宿願から解放される
唯一のチャンスだったかもしれないのだ。
許しておくれ月光、わたしは愚かだった。

あの後お前の話は一切聞かない。だから、お前がいまどうしているかは知らない。
宿願を果たしていまは穏やかに暮らしているか、叶わぬ願いに向けてなおも屍山血河を
築いているか。
前者であれかしと願う。だがもし後者だとしたら。
次に巡り会うことがあれば、お前の敵としてであれ、味方としてであれ、今度こそお前の宿願を
終わらせてあげる手伝いをしよう。
それがわたしの、お前に対する償いだ。

月光よ月光。

いま懐かしく思い出す。お前と、インフィニティと三人で駆けた日々を。
お前が入門した日の思い詰めた瞳を。修行中の、皮肉に笑う口許を。
唇を噛み締めて去った日の後ろ姿を。

月光よ。出す宛もないこの手紙、もし始源の巨人の砦から生きてもどれたら、どうしようか。

この身が巨人の砦で果てれば、字の読めぬ巨人共のこと、この書付は鼻紙にでもなるだろう。
生きて戻っても、お前の消息は知れない。同門の巡礼にでも託そうか、もし月光という名の娘が、
いまでも我が心握門の戦司祭の中にあれば、この手紙を渡してくれと。
それともわれら三人の修行した、あの寺院の書庫にでもそっと忍び込ませようか。
宿願を果たしたお前が、いつか懐かしく訪れることを夢見て。

月光よ。


このレポートのうらがわ
posted by たきのはら at 23:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 巨人族オンセ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『巨人族の逆襲』第8回:その1

ネタバレ注意!
このレポートは「シルヴァー・クロークス戦記 巨人族の逆襲」を遊んだものです。
まだ遊んでない方はこの先はお読みにならないほうがよいと思われます。


























 さて。
 守ってばかりいても巨人どもは後から後から湧いてくる。討って出て数マイル先の岩山に構えた丘巨人の陣を切り崩して欲しい、そうすれば戦局はひとまず落ち着くだろうとオバナーは言った。それで、準備を整えて出かけることにした。

 武器や防具を整え、様々な道具を整え。まず、魔法の地図を2枚――1枚はまだ見ぬ大地の大まかな姿を一面に描き出し、もう1枚は一度この目で見た地の有様を事細かに映し出す。それを1冊に綴り、いくらでも物の入る魔法の鞄も抱えて――何しろ行先は巨人どもの本拠地だ。今後の軍資金を回収するにも随分と良かろう。

 そうして私たちは出かけた。
 では、ここからしばらく、我らが従軍司祭、コード宗麗治派心握門のオーケストラに筆を譲ろう。
 
*****☆*****☆*****☆*****☆*****☆*****☆*****☆*****

月光よ月光。伝えたいことがあるのだ。聞いておくれ。

我に叛き、一度はこの手でぶち殺したお前だが、インフィニティを失い、
寺院を出て久しい私にはこの興奮を伝えるべき相手をお前しか思い付かない。
どうせお前の手に渡ることなどない手紙だ、許しておくれ。


順を追って話そう。

私は今、世界の果て、忘れられた堅塞にいる。

そこは元素界の侵入を防ぐ現界の砦で、かつて銀のマントを羽織った英雄たちが
世界を守り通し、数々の英雄譚の生まれた地という。
しかしいまはわずかにウォーフォージドのポンコツと夢見がちな虎娘の二人だけが、
伝説の残滓を語り継ぐ夢の跡にすぎない。はずだった。

「勝った後に気を付けろ。勝った方は忘れても敗けた方は忘れはしない。」
我が寺院で、お前も共に習ったろう。
追い返した方は終わったつもりでいても追い返された方は諦めてはいなかった。
まして寿命などない元素界のやつらだ。
世界はいつしか忘れてしまったが、奴等は延々と襲い続けて、砦は延々と守り続ける
定めにあり、我々はその助けをしなければならないのだった。
そしていま巨人どもと精霊どもがこの世界を蹂躙しているのは、我々がそのことを忘れた報いだ。

私はいまは西域の堅塞に程近い別の砦にいる。有り体にいってやつらの首魁の一人、
地震と呼ばれる始源の巨人の眠る敵の城塞の入り口だ。
西域の堅塞を預かるウォーフォージドは体は確かにポンコツだが(なにせ前回の襲撃から
数百年を生きてる)頭はしっかりしており、我々は敵の襲撃を何度か退けた後、
次の防御にはより確実な手段を取ることにした。
つまり敵の前線基地を襲撃し、糧食を焼き払う。さすれば精霊はともかく大喰らいの
巨人たちを長く留めておくことはできないだろう。

敵の首魁の一人がこの地にいるとは最初は知らなかった。
敵の砦に向かう忍び歩きの途上、我々は巨人たちの巡検隊に出会った。
無論我々は彼らを粉砕した。そこで知ったのだ、地震その人がこの砦に来ていることを。
我らは勇躍した。(一部は巡検隊の持っていた金と戦利品に勇躍した。)


巨人の城塞には、エラドリンの女魔法使い、ミルタが道を開いた。
目の前の空間と煙突の中をいきなり繋げたのだ。彼女が当面の研究資金に困ってないのは
世の治安のためによいことだなと思った。
(ふと、彼女が研究資金に困らないのは、魔法を使わない理由ではなく、使った結果である
可能性が頭を過ったのは内緒だ。正義感のつよい娘だが、魔法使いが自身の研究に向かう
ときの倫理は、普段の人間性とは切り離して考える必要があることを、わたしは学んでいる。)


このシーンのうらがわ
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2011年09月26日

『巨人族の逆襲』第8回:前口上と時短について

 というわけで『巨人族の逆襲』第8回、遊んできました。
 
 家族がいるのに休日昼間をまるまる潰すわけにはいかない……ということで、土曜夜に始めたオンセですが、実は前回(というか第7回と今回の間に遊んだデルヴ)で、とうとう遊び仲間のご家族からクレームがついてしまいました。

 ……そりゃ、お子さんの運動会の前夜に夜中2時近くまで遊んでればね……
 どうしましょう、まずいようなら切り上げますよって言ったのに、ご本人が「この敵まで倒したら」とか言うんだもん……

 と、人のせいにするのはみっともない。でも、TRPGてのは途中で打ち切りたくなくなっちゃう遊びだし、興が乗ってくればつい「きりのいいところまで」となりがち。プレイスペースを借りて遊んでて閉店/終了時間になるとか物理的に遊べなくなるならともかく、なんとか引き延ばせそうだとつい引き延ばしてしまったり……

 いや、これはまずいだろう。
 だいたい、生活に支障をきたさないように細くとも長く遊び続けられるように“隙間時間で”オンセする会なのに、これじゃダメダメだ。

 というわけで、みんなして時短のためのあれこれを徹底することにしました。

PL側で気をつけるところ:
1.チャットパレットを充実させる
(現在はどどんとふ使用でセッションしてるんですが、チャットパレットをきちんと準備しておけば、クリックひとつで“何をするか”“どういうことがおきるか”がチャット欄に書き込めるので便利。書きこまれていれば聞き間違いとかもないし処理ミスも防げるしね)

2.他人の手番にやることを決める
(オフラインセッションでも重要だけど、オンラインだと周囲の状況がわかりにくい&脇で相談とかしにくいぶん、余計重要)

3.ステータス管理役を一元化する
(一元化というよりは、敵のHPを明示する役とか、敵のステータスを明示する役とか、自分のPCのHPやステータスに影響があったらすぐに反映させるとか、とにかく全員がセッション運営のための作業を分担して、DMがひとりでモンスターのステータス管理で手いっぱいになったりとかしないようにする)

4.Skypeの調子を整える
(セッション前に調整しておく。セッション始めてから“あれ、なんか今日、調子悪い?”とかなると、そこだけで1時間とかふっとぶので)

5.事前に相談できることは事前に
(買い物の相談とかは事前に掲示板である程度進めておいて、セッション開始時に確認&最終決定。ついでにPT資産の管理とかも一元化して明示しておくとわかりやすい)

6.いっぱいダメージを出す
(なのでDMはアイテムをいっぱい出すように)

DMからの提案:

a.時間になったら戦闘を切り上げる
(終了予定時刻30分前になっても戦闘が終わっていない場合、勝ちが見えているならその戦闘は勝利したことにして、全員回復力を1減らす。勝ちが見えていないなら、その戦闘は辛勝したことにして、全員回復力を3減らす)

b.防御値公開
(敵の能力が判明したときには、防御値も後悔する→攻撃がヒットしたかどうかDMに聞く手間が省け、すぐにダメージダイスが振れる)

……6はともかくとして、1〜5をそれなりに気をつけ、bを実行した結果、買い物の相談の確認、状況説明込みのロールプレイパート、技能チャレンジひとつ、戦闘遭遇ふたつ、もちろんあれこれ妄言も山ほど……で、aの戦闘切り上げ処理が行なわれることもなく、セッション終了後の記録等の処理まで済ませて22:30〜25:30の3時間。

うん、やればできるもんです。
というわけで、ご家族から苦情が出るメンバーを出すことなく今後もずっとプレイできますように……^^;;;

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2011年09月24日

『巨人族の逆襲』第7回:その2

ネタバレ注意!
このレポートは「シルヴァー・クロークス戦記 巨人族の逆襲」を遊んだものです。
まだ遊んでない方はこの先はお読みにならないほうがよいと思われます。


























 でかぶつどもの足が半ば固まったと見るや、地上の面々は一斉に展開した。ウルリクとパラディグーム卿はそのままクモトカゲを相手取り、オーケストラは丘巨人の相手をしながら仲間の様子を気遣い、そうしてザンギエフはさっきから小うるさい土精の術師のもとへ。生かしておくと地面を泥の海に変えたり土くれを噴水のように吹き上げて叩きつけてきたりと厄介で仕方がないのだ。

 泥の波に煽られながらザンギエフが大斧を振り回しているのを、何か手助けができぬものかと見遣っていると、突然ウルリクのうめき声が聞こえた。あわててそちらを振り向くと、なんとビーヒアがパラディグーム卿をつかみあげ、ひょいとばかりに口に放り込むところ。確かにトカゲどもの足は止めたが手や口を止めるわけにはいかなかったのが災いしたか、それともクモトカゲの大口に比べれば人の身体はいかにも小さく、噛み砕かれることもなく喉の奥に落ちていったのが幸いか。

 放っては置けぬとばかりにザンギエフ、オーケストラと二人がかりで――しかしクモトカゲではなくとりあえずは目の前の術師を滅多打ちにする。ウルリクはビーヒアの腹に一撃を叩き込む。術師が片付いて少しばかり戦場の足場がよくなったところで、卿がビーヒアの牙の間をこじ開けるようにして這いだしてくる。鎧が幾分溶けているように見えるが、まあ、大事ないだろう。でかぶつどもの足は相変わらずのたくたと遅いので、心ばかりの嫌がらせをする。丘巨人とクモトカゲの足もとに、如何な巨体でも飲み込みそうな穴が突然ぽかりと口をあける――が、これは敵にしか見えぬ幻。だが、穴がそこにあると思いこんでしまったものは、平坦な地面を恐れて大回りをする羽目になり、あるいはうっかり踏み込めばそのまま空を踏んだかのように倒れるのだ。

 ころりと騙された丘巨人とクモトカゲ、ただでさえ遅い足をひきずりながらずるずると穴の縁を回り込む。いい気味だ、さっさと殴り殺されてしまえと思っていたら、そうは問屋が下ろさないらしい、ビーヒアはもう一度手を伸ばし、手近にいた人間を――つまり牙の間から抜け出したばかりのパラディグーム卿をごくりと飲み込んだ。

 が。

 突然ビーヒアの喉のあたりで、なにやら妖しい光がほとばしるのが、鱗だらけの皮膚を透かしてはっきりと見えた。
 ――妖法誘蛾光。貴様はこの槍の光から逃れられぬぞ。見えずともこの光に触れた以上、貴様の腹は痛み手足は萎え、ほれ、逃げようとも自分の腹の中身からは逃れられまい

 何ということか、卿がビーヒアの腹の中で槍を掲げると、槍の穂先から放たれた光がそのままビーヒアの肉を焼く。どうやらまずいものを飲み込んでしまったと悟ったビーヒアは、何とか卿を吐き出そうとするが

 ――おお、吐き出されてなぞ、やるものか

 ひくひくと痙攣する喉に、卿は両手両足をつっぱり槍を突き立てて出ていこうとしない。となるとビーヒアは前足で喉をかきむしり残る足で腹を押さえのたうち回るばかり。苦し紛れに手近のザンギエフやウルリクをはたき倒そうとするが、光に焼かれた手足では大した力もなく、

 「おお、可哀想に、食ったものが悪かったなあ」

 半ば笑い混じりの声で言いながら打ちかかる他の面々。ここだけの話、私なぞ誰も見ていないのをいいことに城壁の上で笑い転げていたのだが、それがバレてしまうと人格を疑われるのでこれは厳に伏せねばならない。ともあれ最終的にビーヒアは腹を押さえたままウルリクに引き裂かれ、それを見たザンギエフは「可哀想に、腹を下して死ぬとはなあ」などと宣うたものである。

 そうして残ったのは丘巨人一匹。
 やぶれかぶれになって殴りかかるところへ、ちょうど魔法障壁の修理が完成した。アシュレイがひどく満足げな顔をしてやってくると

 「あれ、撃っていい?」

 と尋ねて寄越した。なんでも魔法障壁の修理ついでに大砲のような装置も組み込んだらしい。ええ、どうぞと言うまでもなく既に瀕死だった丘巨人は吹き飛び。

 そうして私たちは防衛都市の綻びを繕い終えたわけだが、しかしこうやってただ守りを固めてばかりいても仕方がない。巨人族を追い返さねばならぬ以上は――

 「討って出てください。今、アージェントの前に陣を構えているのは侵攻軍の中でも相当の勢力を誇る一団。これを討ち払えば戦局はひとまず落ち着きましょう」

 そう、オバナーは言ったのだった。




文章がごたつくので書かなかったこと。
posted by たきのはら at 00:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 巨人族オンセ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月21日

『巨人族の逆襲』第7回:その1

ネタバレ注意!
このレポートは「シルヴァー・クロークス戦記 巨人族の逆襲」を遊んだものです。
まだ遊んでない方はこの先はお読みにならないほうがよいと思われます。



























 門前の空挺部隊を追い払ったのでひとまずは安心だろう、と思った。
 が、私たちが趣味の偏りすぎた死霊術師と殴り合っている間にアージェントの魔法障壁が蒙った被害は思ったよりも大きいもののようだった。ガーディアンズ・タワーに戻るとオバナーは塔の床中を螺子と部品と金属のコードだらけにしながら、あと一箇所、城塞の表玄関たる正門の障壁が完全に破られており、城壁と門がむき出しになっているのだと叫んだ。

 そこで正門に急行すると、そこにいたのは丘巨人に土精の術師、それにまだ若くて暴れ盛りのビーヒア、通称クモトカゲであった。ビーヒアは蜘蛛というよりは百足とドラゴンが混ざったような、爬虫類とも巨大な蟲ともつかぬ生物なのだが、これは雷精を体内に宿しており、電撃を喰らわしても蛙の面に水をかけたほどにも感じない。そいつが門前にとぐろをまいているのを見た瞬間、アシュレイは「なんだ、これでは私の出番はないではないか」と不満げに言って立ち去ってしまった。それなら塔でオバナーの手伝いをして魔法障壁の修復に当たったほうが役に立つという。

 そんなわけで門前に残ったのはザンギエフとパラディグーム卿、オーケストラとウルリク、そして私。でかぶつどもは今にも門をぶちやぶらんと突っ込んできそうな勢いだ。無理に倒す必要はない、とオバナーは言った。魔法障壁発生装置の修理を終え、障壁に空いた穴を新たに紡ぎだされた力場が完全に塞いでしまうまで、連中を城塞の外に食い止めて置ければいい。

 空挺部隊のときと同じく、私は城壁の上に上り、残りの四人は打って出ることになった。私ばかり敵から遠く離れていてなにやら申し訳ないようでもあるが、とはいえ魔術師の肉体は脆い。下手に荒事に立ち混じって死にでもしたらかえって足手まといになるのも事実。
 というわけで私は最初から最後まで、銃眼の影から戦場を見渡していたのである。

 もちろん油断はできない。こちらが奴らを見、奴らに魔法をたたきつけられるのであれば、奴らも私を見、私に魔法や炎や矢弾や岩塊をあびせかけられるのだ。



 とはいえ、最初の一手はこちらが取った。
 まず私が雷避けの呪いを紡いで全員に守りを施す。
 次にウルリクが、でかぶつどもの足を止めるぞと叫びざま、オーケストラが開いた門から飛び出していく。
 その拳が丘巨人とビーヒアに一撃ずつ叩きこまれるのを確認して、それから私はおもむろに呪文を唱え、2本の稲妻を叩き出す。
 当然、ビーヒアは何の痛痒も感じないとばかりに鼻を鳴らし……そうして驚愕するのだ。魔法の電撃は痛みを覚えさせることはなくとも確かにその肌を裂き、そうしてそこからはウルリクの放った蛇王憤怒拳の極意、バシリスクの毒が肉を骨を神経を侵していく。痛みさえろくに覚えぬのに、ビーヒアの足は重く固まり、思うようにその身体を前へ進めてはくれないのだった。ましてやただ大きいばかりの丘巨人においてをや。

 

 
 
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2011年09月20日

『巨人族の逆襲』第7回:前口上とダンジョン・デルヴのこと

 実際に遊んだのは9月のアタマなんですが、今頃レポート更新。
 あれこれと手が回らなくて、帰宅して仕事済ませたら、ばったり倒れて寝ている状態だったのです(それでも1度はオフラインで遊んだりもしてはいるので、もうちょっとうまくやればなんとかなるに違いない……><)。

 『巨人族の逆襲』第7回、この間オフでご一緒した方たち(やはり『巨人族』を遊んでいらっしゃるとのこと)のご様子からするとまだ序盤のようなのですが……

 で、キャンペーンのほうは間が空いたり1セッションに1遭遇だったりとわりとのんびりペースで進んでいるのですが、実は私らそれなりに遊んでる。人数が揃わなかったり、DMの都合が悪くて1週飛んじゃったりしたときにはダンジョン・デルヴが走るからです。

 フローター・スタイルのキャンペーンのメンツでデルヴを走らせるというの、実は結構有用で、というのもデルヴはそのまま新作PCの運用やPC同士の組み合わせの相性の確認に使えるので。うちとこでは、フローター・スタイルなのはPLだけじゃなくPCもなのです。そりゃあれだけサプリが出ればいろんなPCを使ってみたいし、とはいえそんなにシナリオとっかえひっかえして遊ぶだけの余裕はなし。一方でみんな遊んでみたいPCを好き放題作るので、これが本当に“PT内で上手く回せる”かどうかは使ってみないとわからない……
 他にも、PC同士のコンボや立ち位置確認にも使ってみたり。ちなみにこないだは、さすがに13レベルともなるとウィザードは前線に出たら死ぬというのを思い知らされました^^;;;

 というわけで、キャンペーン本編隙間のデルヴでまず運用して確かめてみたりしてるのです。なのでデルヴは基本夢オチ、経験点もアイテムも“現実世界”たる本編のほうには持ち越さない感じで。

 ……まぁ、せっかく時間開けたんだから遊びたいってのが一番の理由だったりもしますが。
posted by たきのはら at 23:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 巨人族オンセ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月20日

『巨人族の逆襲』第6回:その2

ネタバレ注意!
このレポートは「シルヴァー・クロークス戦記 巨人族の逆襲」を遊んだものです。
まだ遊んでない方はこの先はお読みにならないほうがよいと思われます。



























 どれだけしごかれたのか、生傷だらけになって――まあ一晩も寝れば治るだろうが――村長の屋敷から戻ってきたザンギエフを連れ、急ぎアージェントに飛んだ。
 着くと、発つ前から時々は響いていた、砦の魔法障壁に岩のぶつかる音が、それこそひっきりなしに響きわたっている。巨人たちの攻勢が激しくなっているのですかと訊くとその通りだとオバナー(どこかから飛び出してきて、慌ただしくガーディアンズ・タワーめざして駆けていくところだった)は走りながら答えた。この攻勢に魔法障壁は耐えられるのですかと重ねて訊くと、いやもう危ない、何カ所か破られたとオバナーはいっそう足を早めながら叫んでよこした。仰天して後を追った。

 ガーディアンズ・タワーに駆け上ると、オバナーは自信の身体の胸を開き、中から歯車だの鎖だのその他あれこれの装置をつぎつぎと取り出し、塔の中にびっしり組み上げられた魔法装置にあれこれとつないでいるところだった。
 「連中の投石の衝撃でついに装置のいくつかが故障したのです。ご安心を、すぐに直します、が、」
 砦の北側、本来なら空を道とする人々のための門としてしつらえられていた張り出しの障壁が完全に破られ、現在、石の門がむき出しになっているという。ほかにも危ないところはいくつかあるが、そこはウルリクやガーリン、それにトリアンが当たっているということもあり、あの張り出しの対処がもっとも急を要する、このままでは魔法障壁を張り直す前に門が物理的に破られてしまう、これまでも障壁の隙間を抜けて潜入してきた連中はいたが、ああやって大門が破られればひとたまりもない。

 それ以上は言葉を待たずに私たちは走り出した。
 ザンギエフと私が北の張り出し門の前に来ると、そこにはパラディグーム卿とオーケストラが居た。アシュレイは他に回したという。

 アージェントの北側は断崖絶壁になっており、翼ある種族の面々は、専らそこに設けられた張り出しから出入りしていた、だが今は招かざる客が押し掛けてきているというわけだ。
 悠々と我が物顔に空を舞うロック鳥の群。見れば、おお、その背には巨人どもがうちまたがり、門が破られるのを今か今かと待ちかまえている。まさに巨人族の空挺部隊、あんなものになだれ込まれたらただでは済まない。
 が、今は連中の身体の巨大さが私たちに味方している。あの巨体を乗せて飛べるのはロック鳥ぐらい、そうしてロック鳥は形ばかり大きくて曲芸飛行には向かぬのだ。宙に浮いてその場にとどまっていることはできず、ということはさほど大型の客人を迎え入れるようには作られていない張り出しに乗り込んでこられる巨人の数は限られるのである。先遣隊さえ潰してしまえば、後はオバナーが魔法障壁を張ってくれるだろう。

 というわけで私は城壁に上り、ロック鳥に見つからないように気をつけながらあたりを伺った。
 倒さねばならないのは巨人が3人、うち1人は呪い師。それにロック鳥が一羽。

 まずロック鳥の翼を魔法で縛り、そうしておいて巨人どもを片づける。最初、門のなかに1人ずつおびき寄せては門を閉ざし、押し包んで殴り殺そうという話もでたが、なにしろあの巨体である、殺しきれないうちに内と外から門を破ろうとでもされてはたまらない。一気に門を開いて打ってでようということになった。私だけは城壁の上に残り、そこから鳥なり巨人なりを狙い討つという寸法。

 ザンギエフとパラディグーム卿が身構えたところで、オーケストラが門を開け放った。早すぎる。腹の中だけで舌打ちした。秘術の呪文は紡ぎあげるまでに時間がかかるのだ。言わないことではない。私の呪文が完成する前に、真っ先に飛び出したザンギエフが飛来したロック鳥に上空につかみあげられ、張り出しの上にたたきつけられた。張り出しの外まで連れ去られなかったのがまだしもの幸いだった。張り出しは断崖絶壁から突きだしているのだ。巨人どもが倒れたザンギエフめがけて棍棒を振り下ろし始めたところでようやっと呪文が完成した。いきなり翼を硬直させられたロック鳥はザンギエフ同様に空から張り出しにたたきつけられた。張り出しの外に放り出してやれなかったのが残念ではあった。

 鳥に再び舞い上がられてはやっかいだ。皆して巨人の棍棒をかいくぐりながら、まずロック鳥を片づけにかかった。ザンギエフが打ちかかり、パラディグーム卿の妖法が巨人の目を眩ませては隙を作る。そこにザンギエフが再び打ちかかる。オーケストラはザンギエフの傷をいやし、戦神に祈っては刃の軌跡を予言する。敵の棍棒は明後日の地面を殴るように。ザンギエフの大戦斧は巨人の急所を過たず捉えるように。鳥がどうやら身を起こして再び空に浮き上がりそうになったので、私は再び呪文を唱えた。翼の次は心を縛る。敵の目に映るのは、さっきから自分たちの膝を砕きに飛びかかってくるやっかいな筋肉達磨とは違うひ弱なドワーフが城門からよろめきでてくる光景。思わずそちらにつっこみ、思うさま幻の嗜虐の喜びに浸る。その瞬間、思わずそちらに延びたロック鳥の首をザンギエフの大戦斧がばさりと斬りおとした。そのまま振り抜いた斧の軌跡に巨人の屈めた腰があった。胴体の真ん中からまっぷたつになって巨人は張り出しから落ちていった。

 後には飛ぶ術をなくした呪い師と、巨人がもう1体。オーケストラの祈りが彼らの運を殺ぐ。パラディグーム卿の妖法に惑わされ、目の前の小うるさいドワーフを殴れども手応えがあったと思ったらかえって我が身が斧に削がれ、いい加減巨人どもの頭に血が上ったころを見計らってもう一度呪文を唱えた。総身に知恵の回りかねる巨人はすぐに術にかかり、呪い師をドワーフと間違えて思い切りたたき潰した。いきなり味方に殴られて呪い師は情けない声をあげながらよろよろと後ずさったと思ったらもう死んでいた。これで、さっきから恐るべき呪いをまき散らしては張り出しにいる3人を血塗れにしてきた返礼ができたというわけだ。
 残る1人も3人に押し包まれて斬り殺された。死体を改めると、さすが正規軍に所属しているだけあって追い剥ぎとは異なり、相応のものを蓄えているようだったのですっかりこちらに取って軍資金とした。

 そうこうするうちにガーディアンズ・タワーから白い光がほとばしり、みるみるうちに淡く光る魔法障壁が張り出しを包み込んだ。そうなってもロック鳥にまたがった巨人どもはこちらに再度攻め寄せるでもなく、遠巻きにして時々岩をなげつけてくるだけだった。どうやら急場は凌ぎきったらしかった。


(第6回はこんなところでした)
posted by たきのはら at 01:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 巨人族オンセ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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