2011年07月28日

『巨人族の逆襲』第5回:その3

ネタバレ注意!!
このレポートは『シルヴァー・クロークス戦記 巨人族の逆襲』を遊んだものです。
まだ遊んでいない方はこの先はお読みにならないほうがよいと思われます。




























 そうしてついに最上階に出た。
 最上階はなんと、天井のない雨ざらし、そして壁にもいくつも溝……というよりは、人ひとり簡単に放り出せるだけの掃き出し窓ふうの開口部がいくつも設けられている。
 そうして建物本体の屋上部からさらに小塔がせり出しており、本体と小塔とは手すりのない細い通路でつながっている。さらにその通路にはびっしりとルーンが刻まれ、ふるえるように明滅しているのだ。剣呑なことこの上ない。

 そうして、エイヴォンは小塔の一番奥に据えられた天球儀の前に立ち、真紅の瞳でひたとこちらを見据えていた。
 「死なずにここまで来たのね。ならばひとつ褒美をあげましょう。今すぐこの塔から身を投げなさい。そうしたら私がじきじきにおまえたちの肉体を私の配下に加えてあげる」
 「断る」
 「でもおまえたちに勝ち目はないのよ。ここで私の魔法に苛まれて苦しんで死ぬのとここから飛んで一瞬で死ぬのとでは、早く済ませた方がいいでしょう?」
 血の色をした花びらのような唇の端がきゅっとつり上がる。
 「断る。そもそも貴様には私たちは倒せぬのだからな」
 アシュレイがエイヴォンと舌戦を繰り広げている間に、私たちは周囲を見回し戦場の足場を確かめる。螺旋階段の踊り場を埋める石畳のそこここには足を絡め取る魔法がかけられ、そうして渡り廊下に彫り込まれたルーンは力場の檻を紡ぎあげている。そうして小塔に描かれた魔法円は……あれは召喚の儀式の焦点か。

 「考えていても始まらない、参ります!」
 最初に声をあげたのはオーケストラだった。
 「待って、あのルーンの渡り廊下はまだ……」
 「どんな罠かなど、踏み込んでみれば自ずから明らかとなります!」
 自らの声にはじかれたように駆けだしたオーケストラの足は、渡り廊下に踏み込んだ瞬間に止まる。細い肩がのし掛かる重圧に歪む。が、
 「なんのこれしき……!」
 振り向いてオーケストラは叫ぶ。この場所に踏み込めば足は重くなり身体は押しひしがれる、魔法も外には届かなくなる。まぁ、そうはいっても魔法の仕掛けにすぎないから、見るものが見れば仕掛けの“掛けがねを外す”のはたやすいでしょう。でもそれは私の仕事ではありませんので後はお願いします、私はこの、かりそめの美しさに心を惑わされ真に尊ぶべきものを忘れた女に、我が神の愛をもって真の愛というものを思い知らせてやります。

 結局私を除く4人は、エイヴォンの邪法にいっときは塔の縁まで追いつめられたりしながらも渡り廊下を押し渡っていた。私はというと、塔の壁にしっかりと身を隠しておいて、エイヴォンが魔法円から呼び出す化け物を、でてくる端から魔法の矢で吹き飛ばしながら様子をうかがっていた。彼女の唇の動きから呪文を読み取り、何かわかったなら大声を上げれば仲間たちに危険を知らせられる――そう思っていたのだが。

 「……遅い。命あるものの血潮はぬくみがあるだけ鈍いのね。動きなさんな。そのまま立ち止まっていればほんの一瞬の痛みだけでもう死の園に逝けたのに。思い上がった愚かな連中」
 今にも血を滴らせんばかりに赤い唇がぬらりと動き、白い細い指が中空に鋭く印形を刻む。と、エイヴォンの身体が急に歪んだ。違う、彼女の周囲の時空が歪んでいるのだ。自分の周囲だけ時の流れの密度を上げ、誰よりも早く動く魔法――だが。
 「そいつはこっちの3倍早く動いてる、でもたったの3倍です、こっちには4人いるもの、勝ち目はこちらに」
 わざわざ叫んだのがばかばかしくなるような勢いでザンギエフとアシュレイがエイヴォンに打ちかかっていた。女死霊術師から吹き出す死の冷気はパラディグーム卿が全身で受け止め、そしてオーケストラが高らかに叫ぶ。
 「生死をもてあそぶものよ、そなたの凶運は決し勝利の機運は我らに微笑んだ。生きるも死ぬもならずこの世の縁にとどまり続けるがいい!」
 冷たく整ったエイヴォンの頬が引き攣れる。もう一度、時が歪む――が、それまで。

 「殺すなよ」
 打ちかかるザンギエフを見ながら、アシュレイがあざ笑うかのように言った。
 「エイヴォン。殺されたらリッチになるからいい――そう思っているのだろう? だったら無駄だ」
 「そうです、リッチになったら今度こそ完全に葬り去るまで……」
 詰め寄りかけるオーケストラをアシュレイが押さえ
 「そこまではしない。答えは、今から生殺しにするから、だ。ザンギエフ、頼む」

 私は、少しだけ、エイヴォンに同情した。
 醜くて乱暴で愚かしいおまえたち、この私を追いつめたつもりか、いざとなればいつでもこの喉を掻き切って、と大見得を切りつつ、のけぞらせた細い首筋に真っ赤に染めて尖らせた爪を押し当て、凄艶な笑みを浮かべかけたエイヴォンは、その一瞬後、こともあろうにザンギエフにつかみかかられ、おそらくは身の危険に怯えるのとは別種のものであろう恐怖の叫びを上げながら締め落とされたのだ。

 ……まぁ、生きていれば筋肉達磨に締め落とされた悪夢を忘れられる日も来るだろう。気を失った耳にそうささやいてやると、私たちはエイヴォンを縛り上げ、栞の騎士アラムから預かってきた口枷を填めた。こうすればもう呪文を唱えることも人の血をすすることもできまい。

 こうして私たちは調子に乗りすぎた死霊術師を懲らしめ、マルドゥーング魔法学院の全面的な支援とスカイメタルの分与を得るに至ったのだった。『帝国史』も学院が買い取ってくれるというし、エイヴォンの塔で見つけた魔法の品々も
 「この女に持っていてもらっても困りますから」
 ということで私たちが持っていって良いことになった。

 というわけで私たちはひとまず仕事を終え、調べもののつても確保して、アージェントに戻ることになったのだった。


(第5回はこんなところでした)



実際はこんな感じでした。

ザンギエフ、エイヴォンに接敵。力場の檻の中からオーケストラ、
「受け入れておしまいなさい。そこには幸せが。……見えないのですか、彼の瞳にある真の愛が」
「おおおおお、俺のまなこに愛が宿るぅぅぅぅ!!!」
「受け入れるのです。彼の抱擁を。そこには新しい世界が」
抱擁とか言っても手番が回ってくるまでは、ザンギエフはそこでポージングしてるだけなのですが。

そこへ持ってきてパラディグーム卿、妖法を駆使してエイヴォンにザンギエフをけしかける。いや、アシュレイだってちゃんとダメージは出るのですが、ザンギエフが突撃したときのダメージは半端ないので。別にエイヴォンへの嫌がらせというわけではない。そうして「ふはははは、わしの美しさに目がくらんだようじゃのう!」とか叫びながら突撃するザンギエフ。そこへもってきてオーケストラがプロフェシー・オヴ・ドゥームで次のザンギエフの突撃をクリティカルにし、グッド・オーメンで「恋愛殺法!阿修羅級功徳兵器!豪運が唸り爆運が炸裂する。その御利益たるや、まさに底無し」とか言いながら出目を底上げ。エイヴォンの攻撃はアシュレイに割りこまれ魔法円から呼び出したばかりの自分の下僕に炸裂させられ……

大変緊迫したカッコいいシーンだった(はず)のですが、妄言濃度が濃すぎて再構成できず。

そしてとうとう

「えーん、もうこんなに筋肉達磨ばっかり寄ってくるんだったら自殺してリッチになってやるー! そうなってから後悔したって遅いんだからね!」
「いや、それ無駄」
「美少年の顔がぜんぶザンギになる呪いをかけてやる」
「だいたい腐ってても美少年っていえるの?」
「美少年は腐れかけがいいんじゃない!」
「腐れかけてるのはあなたの脳味噌だ」
「まだ死んでないもん!」

といういろんな意味で酷い会話の結果、ザンギエフの大斧がエイヴォンをオーバーキル……と思った瞬間「あ、今の峰打ちね……これで非致傷ダメージで意識不明にできるんだよね?」

ということに。

……最初、裏側のほうは全部「本当に口走られた台詞」でシーンを再構成しようかと思ったけど、さすがにこちらの精神が持たないのでパス^^;;;




posted by たきのはら at 21:20| Comment(5) | TrackBack(0) | 巨人族オンセ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
裏表、ともにシーンの再現、お見事です。感謝。
Posted by D16 at 2011年07月28日 22:01
なんか、途中からえらくポンコツなキャラになったんだよなあ。
「ダンピールなんだぞ−!強いんだぞ−!」的な
Posted by D16 at 2011年07月28日 22:49
やっぱり、ザンギエフの
「なに、では村一番の美しい筋肉を持つといわれた儂の危機ではないか!」が
エイヴォン先生のその後の運命を決定した気がします……

Posted by たきのはら at 2011年07月28日 23:04
美しさとは罪・・・
Posted by ざんぎ at 2011年07月29日 01:38
まさに>美しさは罪

そらそうと、表は再現というより半分ぐらい創作のような気が^^;;;
いや、DMの脳内の再現かもだけど。
Posted by たきのはら at 2011年07月29日 12:12
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。