2007年05月27日

シリーズ第8回『助けを得た冒険者と謎の盗人の話』目次

 というわけで、シリーズ第8回(キャンペーン内だと9回)レポート、ひとまず一段落。
 シナリオそのものはあんまり落着してないような感じですが……

 そして目次ー。
 なんでいきなり第8回なんだ、って話もありますが、そこはそれ。
 近々間を埋める作業も開始しますので♪

 なお、以下のリンク先の文章は、月刊ゲームギャザ2005年7月号掲載の 「音速の強盗」を遊んだもののレポートです。とりあえず、そのあたりをこれから遊ぶかも、と言う方は、お読みになりませんように。


前口上:
その1:黄昏時の怪
その2:素晴らしき仲間
その3:剣呑な神託
その4:村を通るもの
その5:蛇の輩
その6:汚された祠
その7:蛇神の信徒
その8:目玉の小暴君

こんな感じで。
ご意見ご感想等あったら、書き込みよろしくお願いいたしますー♪」

『助けを得た冒険者と謎の盗人の話』その8:目玉の小暴君

ネタバレ注意!!
以下の文章は、月刊ゲームギャザ2005年7月号掲載の 「音速の強盗」を遊んだもののレポートです。とりあえず、そのあたりをこれから遊ぶかも、と言う方は、お読みになりませんように。














 階段を下りきった場所はホールになっていた。ホールの端には「勇者の台座」と刻まれた台座があり、反対側の端には扉。
 この台座が何かの鍵ではないか、と、台座を調べ、果てはセルディース卿やジムが台座に上っても見たのだが、なにごとも起きない。上の階にあった三聖人の像をここに据えねばならないのではないかとケリィが言ったが、そもそも像は動かせる様子もなかったのである。
 しばらく台座にかかずらわっていたのだが、どうにも埒があかない。やはり扉を開けるしかないようだ。恐らくは、そこに、「目玉」がいる。
 
 いつもどおりフレアが中の様子を伺う。
 何の音もしない。おそらく鳴りを潜めてこちらを待ち構えているに違いない。

 武器を構えて扉を開けた。
 いくつものアルコーブが穿たれた薄暗い室内の中央に柱が一本、柱の表には輝かしい戦士の像が描かれている。が、アルコーブの陰には武器を構えた剣呑な影が、右に二つ、左に二つの都合四つ。そして柱の脇に、ゆらり、と、人一人分の大きさほどもある巨大な目玉が浮かぶ。目玉の上からはゆらゆらと6本の眼柄が伸び、その先にひとつずつ小眼が揺れる。ガウスだ、レッサー・ビホルダーともいう、目玉の暴君とも称される化け物の、小型のものだな、と、誰かの声が言った。小眼からは恐るべき魔法の力線が打ち出され、また巨大な眼は朦朧化の効果を有する。その声にこたえるように、目玉の下に同じく巨大な口が開いた。目玉の幅いっぱいに裂けた口の中に、ぎっしりと鋸状の牙が並ぶ。

 見られなければいいんだろ、と、マークスが呟いた。うん、じゃ、やることはわかってる。
 そうして部屋の中に踏み込むと、呪文を唱えた。マークスを中心に濃い霧が部屋の手前半分に立ち込めた。二足離れればもう何も見えない。その後ろではレクサスがワンドを振って邪悪からの守護の呪を施している。

 そのまま手探りの戦闘となった。
 アルコーブに隠れているのは盲目の種族だ、霧は障害になるまいから、元いた場所から一歩でも動かしてしまえば厄介なことになる。目玉が動けずにいるうちに、まずは、グリムロックを倒せ。
 
 それでも霧を見通してきた視線に射抜かれてロボが急にぐったりと身を折る。同時にイーリアもかすかに呻く。まずいな、と呟くと、マークスはロボを下げておいて霧を抜ける。続いてジムもグリムロックを一匹叩っ斬りざま、霧の向こうがわへ。一方セルディース卿とケリィはガウスの視線に体力を奪われておきながら無謀にも前に出たイーリアに駆け寄って傷を癒した。すみません、とつぶやいておいてイーリアは振り向きもせず目の前のグリムロックに殴りかかる。その後ろからフレアの長槍が繰り出され、過たず、グリムロックの胸板をえぐる。

 と、そのとき、霧が晴れた。
 この場に霧を満たした小うるさいドルイドの小僧を執拗に狙うよりは、魔法の霧ならば解呪して無効化すればよいことに、目玉はやっと気づいたらしかった。

 が、冷たい鉄を無効化できなかったのが目玉の限界だった。ジムとセルディース卿の剣に切り裂かれ、目玉はつぶれて床に落ちた。あとに残ったグリムロックが片付くのは時間の問題だった。

 そうして、三聖人の祠からはようやく邪悪な侵入者どもは放逐されたのだった。

 部屋の中には檻がひとつあって、その中にイセリアル・フィルチャーがとらわれていた。エーテル界と物質界を自由に行き来する生き物を捕らえておくとはどういう檻だ、と、調べたところ、どうやら檻ではなく、部屋全体に相応の呪文がかかっていたようだった。

 檻を壊して部屋からイセリアル・フィルチャーを出してやると(例によってレクサスはなんとかイセリアル・フィルチャーと会話をしようとしたのだが、言葉を持たない相手にはどうしようもなく、そしてボディ・ランゲージでどうにかしようにも、一本足の上に袋のような体、腹に顔があって腕が四本、という生物とはそもそもボディ・ランゲージの形態からして違うのでどうにもならないのだった)、どこからかもう一体、イセリアル・フィルチャーが現れた。
 状況から判断するに、どうやらこのイセリアル・フィルチャーはカップルで、一方が囚われの身になり、もう一方がガウスの邪悪な計画のために働かされていたものらしい。
 一組のイセリアル・」フィルチャーは、一行に恭しく一礼すると、ハーフリングが煮込めそうなほどの大きさの鍋を差し出し、そして虚空に消え去ったのだった。おい、壷は、と誰かが叫んだ声だけがむなしく宙に浮いた。

 結局、どこを探しても壷はみつからなかった。
 このまま帰るわけにはいかないから、もう少しこの祠の中を改めていこう、という話になった。一度街に引き上げようという声もあった。

 どちらにしろさ、と、レクサスがいった。
 僕たちは何もしなかったわけじゃない。少なくともトログロダイトの神殿になりかけていた三聖人の祠を取り戻したじゃないか。その証拠だけはちゃんと持って帰らないとね。

 証拠といっても、と誰かがいいかけたが、それにはレクサスが「うん、そのへんはちゃんと心得ているから」と返した。その一方でマークスとなにやら目配せをしあっていたのだが。
 
 ともあれ、トログロダイトの一派と目玉の小暴君は倒し、急を要する話はひとまず片付いた。
 このまま探索を続けるか、まずは街に戻って聖堂にしかるべき報告を行い、体勢を立て直して臨むか。

 それはまた別の話ということになるのだった。





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『助けを得た冒険者と謎の盗人の話』その7:蛇神の信徒

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 わざわざ祭壇を清めただけのことはあった。

 マークスが8ガロンの水できれいさっぱり洗い流した聖カスバートの祭壇の下からは、りっぱな造りの棍棒が出てきたし、ケリィがアローナの祭壇の陰を覗くと木製の聖印が落ちていた。レクサスがもう一度祭壇跡を良く調べると、崩れた祭壇には銀輪山を挟んで戦う銀竜と黒竜の姿が描かれており、銀竜の傍らには戦装束に身をかためた三聖人の姿もあった(……が、銀竜が戦ったのは赤竜ではなかったっけ? と、レクサスは不審げに首をひねった)。イーリアだけは何も見つけきれずに、それでもここだけ何もないはずがない、と(そう真っ正直に言ったものだから、周囲には随分呆れられた)フレアに祭壇周りを調べてもらった。ペイロアの祭壇の下にはかすかに光を帯びた真珠がひとつ落ちていた。レクサスが調べたところ、見つかった三つの品はいずれも強い魔力を帯びていた。

 他にも、フレアとジムが掘り出したチェストからは金貨銀貨銅貨が取り混ぜて千数百枚出てきたし(もちろん千数百枚は銅貨で200枚と少しが銀貨で、金貨は25枚だった)、チェストの傍からは、柄に雷雲と稲光をかたどった黄金作りの櫛も見つかった。雷といえばハイローニアス神の紋章にも描かれている。これもきっと何か来歴のある品に違いないと思えた。
 さらにふと思い立って、さきほど倒したトログロダイトの死体を改めると、皆相応に金貨を隠し持っていた。ではさっき、外であった連中もそれなりに小金持ちだったのではないかと思い至りはしたのだが、このご時勢、仕事を終えてここから引き返す頃には、いかにトログロダイトの死体とはいえ、外に倒れているものが身包みはがれていないわけはないのだった。

  そうこうしているうちに、瓦礫の間からムカデがぞろぞろと這い出してきて一行を囲んだ。やはり捨てられた建物の中はなんにせよ剣呑、ということのようだったが、放っておくわけにもいかないので一匹残らず片付けた。その後は、この階はほぼ改め終わったと思われたので、ハイローニアス神の内陣から、地下へと降りた。トログロダイトが階段下で待ち受けていはしないかと警戒したが、そういうこともなく、あたりは静まり返っている。階段下には左右に伸びる廊下、そして目の前に扉。おおかた扉の向こうで待ち構えているのだろう。

 で、ケリィとイーリアがそれぞれ脇の廊下から新手が来ないかどうか見張り、ジムとセルディース卿が先頭に立って部屋に踏み込んだ。狭い部屋の中はやはりトログロダイトとオオトカゲが待ちうけていたうえに左右の扉からもなだれ込んできたが、これもことごとく切り伏せた。どうやら先ほど聖カスバートの祭壇下から出てきた棍棒が、えらく使い勝手が良くて不思議なほど敵を殴りやすいとかで、マークスは嬉しそうだった。

 そこを片付けてしまうと、ひとまず新手はいないようだったので、先に脇の廊下の様子を見ることにした。左右に伸びる廊下は鍵の手に折れており、その先にはデュークの像とマルグリートの像がそれぞれ祀られていた。廊下を探索する途中でずいぶん深い落とし穴が口を開け、あやうくフレアが飲み込まれかけた。穴の底を照らしつけてみると、アンケグが叩きつけられて折り重なるように死んでいるのが見えた。そのあとは随分注意深く調べて回った。落とし穴の先にも廊下は続き、さらに鍵の手に折れていた。その先に祀られているのはパイロス卿の像であった。

 フレアとケリィが二人して像を散々改めたが、特に何か隠されているふうでもない。
 仕方ないので神殿の内陣をさらに改めることにした。

 わずかに開いた扉からフレアが様子を伺うと、奥の部屋には何やらカエルとトカゲのあいのこのような形をかたどった聖印を腰に下げたトログロダイト。これが恐らくトログロダイトの一団を率いるハラグだろう。オオトカゲもいる。聞きだした話からすればそろそろオオトカゲは打ち止めのはずだったのだが。
 部屋の外にもトログロダイトどもが隠れている。が、先ほどからの戦いで連中の力の程はまあ知れている、狭い部屋で入り乱れて戦うよりは廊下と室内でそれぞれに相手取ったほうがよいだろう。幸い、敵方はこちらがここまで来ているのに気付いていないようだ。

 というわけで、こちらから戦端を切った。
 廊下が片付かないうちに、部屋の中ではセルディース卿とジムがハラグとその親衛隊を叩っ斬っていた。

 そのほかに廊下にいた分が片付くのも時間の問題で、あとはトログロダイトどもの懐と、それからすっかり静まり返ったこの階を改める。
 嫌になるほど何もなかったが――ということは、内陣に進む途中にあった螺旋階段を降りてゆかねば埒があかぬということなのだろうが――ひとつだけ、奇妙な石像を見つけた。両手両膝をついた男の像で、腰に巻かれたベルトには「力を求めし者イヴェレフ」と銘らしきものが刻まれていた。
 レクサスが、そういえばそんな名を聞いたことがあるような気がしなくもない、と呟きはしたのだが、この像に何の意味があるのかはいくら溜めつ眇めつしてもわからないのだった。

 ということは、もうひとつ階段を下りねばやはり埒はあくまい。
 そして、この下にはこの祠の仮の主、ナップとやらいう「目玉」がいるにちがいないのだった。





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posted by たきのはら at 23:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 不揃いな冒険者たち | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『助けを得た冒険者と謎の盗人の話』その6:汚された祠

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 哀れなトログロダイトの書いた地図はおおむね正しく、目の前に続く道の向こうには古びて崩れ落ちかけた祠、そして祠の前には道の両側に3組、つまり6本の石柱が立っている。あの6本の柱から祠の聖域が始まるということのはずだ。
 祠の前の石柱には、遠目にも激しい刀傷がいく筋も刻まれており、かつてはここで激しい戦闘があったことを忍ばせた。一番祠に近い柱の組には、いかめしい顔つきの彫像が門番よろしく刻まれていた。

 が。
 「ふむ、あれは本物の門番だな」
 ケリィが呟いて矢をつがえる。狙い過たず矢が奥の石柱に突き立つと、両方の柱から、これはたまらんとばかりに二匹のガーゴイルが飛び立ち、逃げていった。柱の飾りと見せかけてこちらを待ち受けていたものらしい。

 ガーゴイルに門番を任せて安心しきっているものか、他には特に見張りのようなものもみあたらず、一行は崩れかけた祠に足を踏み入れた。天井はすっかり落ち、壁の一部も崩れている。そういえばあのトログロダイトは親切にも「祠は崩れやすいから気をつけろ」と言っていたのだったが。

 祠の中には祭壇が三つ、祭壇のあとがひとつ、そして小部屋がふたつ仕切られている。原始的な万神殿といったところ……ヒルガ聖堂の原型となった、というのも頷ける。
 入ってすぐ見える壁際には聖カスバートの像が半分打ち砕かれているのが見えた。そして入口と向かい合わせには台座以外はきれいさっぱり叩き壊された祭壇があって、これは確かにペイロアのもの。入口のすぐ脇の壁には森の女神アローナの像が、これは壊されずに立っていたが、どうやらトログロダイトどもはここをゴミ捨て場兼便所に使っていたようで、近づくとすさまじい悪臭が鼻をついた。部屋の真ん中にも瓦礫がひとやまあって、これもやはり祭壇の跡ではないかと思われた。

 一同はしばらく神殿内を見回した。
 トログロダイトどもが潜んでいる気配はない。

 では、と、踏み込み、各々自分に近しい神の祭壇へと散る。
 ケリィはアローナの祭壇に、イーリアはペイロアの祭壇に。あまりのことにケリィはここが敵の住処であることをさておいても祭壇の掃除をはじめ、イーリアもまずはそちらを手伝う(ペイロアの祭壇も酷いことになってはいたのだが、お姿が全きまま汚されているアローナ神像はあまりにも痛ましかったので)。祭壇周りと神像をすっかり清めてしまうと、仕上げとばかりにケリィは聖水を注いで祭壇を洗い流した。そのときにはイーリアはもうせっせとペイロア神の祭壇の掃除にかかっている。
 セルディース卿はというと、しばらく神殿内を見回していたが、急に顔色を変えて奥の小部屋に入っていった。どうやら神殿の構造上、あの小部屋は内陣にあたり、そこにこそハイローニアス神がおわすらしい。

 神ごとにそう熱心なわけではないフレアとジムは、入口近くの小部屋を調べに入っていった。すると倒れて崩れかかったチェストがあって、その中には何かが詰まっているもののようだ。石と土くれと言うわけではないらしい。というわけで、こちらは掘り起こし作業にかかっている。
 レクサスは中央の祭壇跡に歩み寄った。崩れきってはいるが、残された瓦礫から、これはひょっとしたら魔法の神ボカブを祀ったものではないかと推察されたのだ。瓦礫の間にまっぷたつに割れた石版が埋もれていて、「今月の黒竜 死者 負傷者」という字が読めたのだが、それが何を意味するものだかレクサスには考えもつかなかった。

と、急に、セルディース卿が入っていった小部屋の中から卿の怒号が聞こえた。聖カスバートの祭壇周りをうろうろしていたマークスがそちらへかけていく。

 見ると、ハイローニアス神像は祭壇の下に倒れ、そのうえにはカエルとトカゲのあいのこのような醜い粘土の像がべちゃりと据えられている。で、怒り狂った卿がその粘土像を叩き潰したところ。粘土の残骸を卿がこそげ落としていると、ハイローニアスの像から急に光があふれ出し、セルディース卿を包み込む。邪神の像が除かれたことを喜んだ神の恩寵であろう。

 ところが。
 おお、すばらしい、と言う間もなく、祭壇の奥から急に騒がしい声が聴こえた。トログロダイトとモニター・リザードが祭壇の後ろから顔を出した。そういえば、地図によれば確かにこの小部屋には地下に通じる螺旋階段があったはずなのだった。

 「敵襲ー!!」
 マークスの叫びで祠じゅうに散っていた一行はわらわらと小部屋に駆け込んできた。矢が飛び剣と拳がうなり、トログロダイト一行が片付くまでものの数十秒。

 そこが片付いてしまうと、一行はまた祠じゅうに散って、作業を続けた。地下への階段はとりあえずセルディース卿が見張っていてくれるはずだったし、それに、放っておくには、善の神々はあまりにもないがしろにされすぎているのだった。





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posted by たきのはら at 22:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 不揃いな冒険者たち | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月26日

『助けを得た冒険者と謎の盗人の話』その5:蛇の輩

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 ともあれ、祠に行ってみればわかることなのであろう、とばかり、夜明けを待って村を後にした。トログロダイトが出るというので(最初の冒険で、その酷い悪臭に懲りていた)マークスが、鼻栓代わりにと人数分の洗濯ばさみを村から借りてきていて、道の途中でそれぞれに配ったりしながら行く。
 祠まではもう数時間の距離のはず。
 
 と、村が見えなくなった頃のこと、ばさばさと翼の音がしたかと思うと上空からガーゴイルが一匹、馬上のセルディース卿につかみかかってきた。そして前方にはモニター・リザードを引き連れたトログロダイトが四匹。せっかくの準備の洗濯ばさみを使うまもなく戦いになる。

 が、呆れるほどの長弓から撃ちだすケリィの矢に――恐ろしいことにここ数週間の薪割り稽古が奏功したものらしい――ジムの剣がことのほか冴え渡り、あっという間にガーゴイルもオオトカゲも切り伏せられ、じきに敵はトログロダイト2体がようやっと立っているのみとなる。

 「一人は残しとけ、中の情報が知りたい!!」
 ガーゴイルを片付け終わったところからフレアが叫び、同時にレクサスにちらりと視線を投げる。奴は共通語は話さないだろうがお前ならなんとかなるだろう。通訳を頼む。
 レクサスが唇をかすかに引いて答えるのと、フレアの声が届いたか届かなかったか、セルディース卿の剣がトログロダイトの一体を斬り飛ばすのが同時、残るはイーリアの前の一体のみ。
 生かしておくだけなら叩き伏せれば用は済むが、気絶させてしまっては後々面倒だ、そしてこちらは先を急ぐ。相手がトログロダイトとあってさすがに一瞬逡巡したが、イーリアはいきなり間合いに踏み込むと目の前の敵に組み付いた。しばらくもみ合った揚句、どうにか暴れる相手をイーリアが取り押さえてしまうと、ケリィが鮮やかな手つきでトログロダイトを縛り上げた。

 何でも話すから命だけは助けてくれ、と、竜語できぃきぃ叫ぶトログロダイトの言葉がわかるのはやはりレクサスのみ。助けてくれ、というのに、うん、じゃあ仲間にそう話すよ、だから聞くことに答えてね、と、頷く。

 で、トログロダイトの言ったことによると、祠の中にはあと二十体ほどのトログロダイトが巣食っているらしい。それにモニター・リザードが三匹、ガーゴイルがさらに3−4体。この一団を統括しているのが「ラオグゼドの神(トカゲとカエルを足して二で割ったような見掛けをした邪神で、トログロダイトどもの神だ、と、ケリィが言った)に仕えるハラグ」という「強いトログロダイト」らしい。
 さらに問うと、このハラグはナップという名の「目の怪物」と交流があるらしい。ナップの力を借りているとかいないとか、ナップは強い魔法の力を持つとても危険な存在であるとか、さらにナップは四本腕の奇妙な生物を使役しているとか、他にも盲目の獰猛な戦士を親衛隊として抱えているとか。

 なにしろとらえたトログロダイトはどうやら下っ端らしく、ナップにあったこともなければナップの親衛隊が何者であるかも知らないようなので、どうも要領を得ない。それでも話を継ぎ合わせてみると、ナップが何者であるかはともかくとして、盲目の親衛隊のほうはおそらくグリムロックであろうとか、トログロダイトどもはイセリアル・フィルチャーやグリムロックと特に親しいわけではなく、ともにそのナップに仕えるなりナップと交流があるなりするためにひとつところにいるのであろうということは推察できた。

 さらに、トログロダイトどもは3−4人組の哨戒部隊を仕立てて祠周りを見張っているらしいのだが、今回出会った一団は、冒険者一行の襲撃を予見したハラグによって迎撃部隊として出されたものだとか。

 ――ますますもって剣呑極まりない。

 命の代償に、とさらに言って祠の地図も書かせる。
 その後、助けてやるようなことを言ったのを、嘘を好まぬ聖騎士殿がわからないのを幸いに(竜語がわかるのはレクサスだけだったのだ)、レクサスはトログロダイトをそのあたりの立ち木に縛り付けさせてしまった――確かに命を取ってはいないのだから嘘ではないのだが、正しい扱いともあまり言えまい――。

 そして、祠から戻ってきたら解いてやるということにすると、一行は少し先にもう見え始めてきた目的地を目指したのだった。





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『助けを得た冒険者と謎の盗人の話』その4:村を通るもの

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 目に気をつけよ、といわれても、何をどうしたものやら。

 ともあれ、剣呑には違いあるまい、さらにアルベルティーネも今日明日起きられるというものでもない、というので、まずは心して準備を整えることにした。巻物にワンド、さらには「使った分だけ買い取るから」というので、聖堂から聖水の瓶をありったけ(と言っても余分は3本しかないとのことではあったが)借り出し、そのうえにセルディース卿も聖堂から銀の長剣を借り受け、購える以上の準備を整えて、一行は出発したのだった。

 3日間の行程を何事もなくこなすと、小さな村に行き着いた。この村で一泊すれば明日朝早いうちに「三聖人のほこら」へ入れるだろう、そう思いながら近づくと、なにやら様子がおかしい。
 村の柵は引き歪んだり壊されたりしており、人の気配がない。警戒しながら近づくと、村の入口ではいかにも慣れない風の村人がありあわせの武装をしてへっぴり腰で構えている。

 「何かあったな、痛ましいことだ」
 呟くと、セルディース卿は、君達はしばらく待っているようにと一行の残りに言い渡し、即席の番人のほうへと近づく。
 「物々しい様子だが、何かあったのかね」

 効果は覿面で、村人は持ちつけない槍をとっとと放り出し、助かった、騎士様が来てくださったと殆どすがりつくようにしてセルディース卿を村の中へと案内する。そこで卿が残りの一行を手招きすると、それ騎士様のお仲間だというので残りもまとめて村へと招きいれられたのだった。

 状況を聞くに、どうやら村はトログロダイトの一群に襲われたものらしい。襲撃は5日前、奪われたものは金品に食料。襲ってきたのはトログロダイトが5匹、それに巨大なトカゲもいたという。トカゲ、と聞いてなにやら背中の寒い気分に一瞬なったのだが――まさかそのトカゲ氏は羽が生えていて火や氷や酸や、その他剣呑なものを吐き出すトカゲじゃなかろうな――ケリィがすぐに「それはモニター・リザードだろう。トログロダイトはよくあのオオトカゲをペットにしているから」と言ったので、少しばかりほっとし、だからといって事態が好転したわけでもないことに気づいてまた顔を引き締めたのだった。

 さて、この村を救うのが先か、それともヒルガ聖堂の依頼を先に片付けるか。聖堂の依頼は重要だが、まさか村の惨状を見過ごすわけにも行かぬ。困っていたのだが、まずは、と訳を話すと、事態はあっさりと解決した。どうやらこの村を襲ったトログロダイトどもは、まさに「三聖人の祠」に住み着いているらしい。では、三聖人の祠に行って、祠を汚す不逞の輩を切り伏せたあと壷を持ち帰れば、そのまま村人を救うことにもなる。
 ならば話は早い、明日我々はさっそく三聖人の祠を清めに行く、とセルディース卿が言うと、村長は泣かんばかりに喜んで、少ないが報酬を支払いたいと小さな金袋を押し付けてきた。
 が、さすがにそれは受け取れない。村の復旧のために使ってくれ、と卿が言えば、レクサスも「お金はいいよ、ただ、僕達を今晩ひとばん泊めてくれれば」と言い、マークスも「成功報酬だ!! だから今は要らない」と言う。
 何が何だかわからない騒ぎになる前に、イーリアがすいと金袋を取り上げ、村長の手に乗せて返した。
 「ともあれ、このお金は受け取らないことになりました。私たちは既に教会からの報酬を受けることになっていますので、お気遣いは無用です」

 ということで、そのようになった。

 さて、では状況を把握せねばなるまい。 
 「ほかに盗まれたものは」
 とセルディース卿が問うと、そういえば珍妙なものが盗まれたというよ、と誰かが答えた。イリばあさんのところで鍋が盗まれたらしい。それも随分おぞましいシロモノに。

 鍋はともかく、おぞましいシロモノ、というのが気になったのでばあさんのところに行って詳しく聞くと、やはり鍋をさらっていったのはイセリアル・フィルチャーであるらしい。ではこちらも例の壷と同様、何か来歴のある鍋かというと、それはさすがにそうでない。が、(ケリィの言い方を借りると)ハーフリングが煮込めそうなほど馬鹿馬鹿しく大きな鍋であるという。トログロダイトどもの住処に雨漏りでもし始めたのかと誰かが言った。が、おかしなことがあって、盗まれたのはトログロダイトの襲撃よりも後で、ちょうど2日前だというのだ。あの一本足のシロモノが人間の一行と同じ速度で道を行くものなら、神殿の壷をさらって逃げて、そしてこの村まで来てさらに行きがけの駄賃を掠めたとするとちょうど計算が合うという仕組み。さらに、鍋をさらっていったシロモノは、そういえば4本ある腕の一本に壷を抱えていたようにも思う、との話。

 ……おかしい、では、あの一本足とトログロダイトは別口なのか?





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『助けを得た冒険者と謎の盗人の話』その3:剣呑な神託

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 というわけで翌日になった。

 イライジャ師より冒険者一行に語られた話では、神託によると、壷はトーチ・ポートから川沿いに3日ほど北上した場所にある「三聖人の祠」なる廃墟にあるということであった。

 「三聖人とはいかなる御方でしょうか」とケリィが問うと、師の応えて曰く、遠い昔にこの地域一帯を邪悪の勢力より守り抜いた三人の英雄を指しているとのことであった。いずれもハイローニアス神を篤く信仰し、不滅の軍団と称された軍を指揮してスカル・ウォー――このあたり一帯を戦場として銀竜と赤竜、そしてそれぞれを取り巻く軍勢がぶつかり合った熾烈な戦であったという――を戦い抜いたものたちだという。盗まれた壷にもその三聖人が描かれていたのだとか。

 ひとりは柔和な顔立ちに描かれ、輝かしい鎧をまとった戦士で、パイロス・ハーランド・ブレンダンという。これはアバ・オーズに住む銀竜と接触し、かの竜が邪悪なる赤竜を撃つ助けとなったのであるという。

 ひとりは袖なしのローブをまとった美しい女ウィザードで、名をマルグリート・マインデフェルと称する。戦の先頭に立って雷を操るといわれ、最も激しい戦闘のときでもその身に傷ひとつ負うことはなかったという。

 最後の一人はハイローニアス神の司祭で名をデューク・マンフェング・ゴルドヘルグ。上半身裸のハーフオークで、剣を振り上げ雄叫びを上げる勇ましい姿で描かれていたという。この司祭は神の意志を己が力によって示すことを好み、そのようなものとして敵にも恐れられていたという。

 この三聖人がいかにして神に召されたかは語り継がれてはいないのだが、少なくとも三人ともスカル・ウォーを戦い抜いており、「不滅の軍団」の指揮者であり、死後その功績をたたえられ、正義の守り手として祠に祀られるようになったということだけは確かなのだという。

 が、その祠もやがて長い年月のうちに朽ち、250年前、トーチ・ポートがこの地に原型をなしたころには既に廃墟と化していたのだとか。

 「が、その『祠』が、今のヒルガ聖堂の原型ともいえるのだ。その祠が三聖人とともに多くの善なる神を祀る聖所であったのは確かで、それがこのあたり一帯の伝統的な信仰のあり方でもあったということなのだろうな」

 イライジャ師はそのように祠の来歴について話を結んだ。さらに今度は盗まれた壷の来歴について問うと、これはまったく不明とのこと。が、壷に描かれているのは「三聖人のさいごの戦い」の図であることはわかっているのだった。とはいえそれはかのスカル・ウォーとは別の戦いであるということ以外、史実上のどの戦いであるかは明らかではなく、さらにその戦いの結果三聖人がどうなったかも不明であるというのだった。そして、壷には強い死霊術の魔法がかかっていたという。

 こちらはまったくもって冗談ではない話だった。

 ともあれ、目的地、そしてするべきことがわかったのだから、あとは行動に移すのみである。
 まず、祠までの道程を乗り切らねばならないというので、出くわしそうな怪物どもについて問うと、「ひととおり出そうなものは出る」とのこと。ゴブリン、ホブゴブリンから始まってオーガまでがひとわたり。たまにはアバ・オーズの奥からトロルが迷って出てくることもあるという。
 また、川沿いの湿地帯ということで、リザードフォークとトログロダイトもうろついている。ついでに大イタチにアンケグ、剣呑なところではアウルベアにミノタウロスにヒポグリフ。

 「つまりは何が出てもおかしくはあるまい、ということだ」
 そう言ってから、おお、とイライジャ師は言い足した。
 「もうひとつ神託があったのだ。『目に気をつけろ』とな」




このシーンの裏側
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『助けを得た冒険者と謎の盗人の話』その2:素晴らしき仲間

ネタバレ注意!!
以下の文章は、月刊ゲームギャザ2005年7月号掲載の 「音速の強盗」を遊んだもののレポートです。とりあえず、そのあたりをこれから遊ぶかも、と言う方は、お読みになりませんように。











 僧院に赴いたセルディース卿が、イーリアという娘に会いたいと告げると、出てきたのは思いもかけずひっそりとした娘だった。僧院の修行者だけあって鍛えた身体をしてはいるが、なんというか、いまみっつほど、影が薄い。この娘でほんとうに大丈夫なのかと思いながら用件を告げると、娘は頷いて、わかりました、では、西街の港湾地区の『勇敢な船乗り』亭という酒場兼宿屋にいらしてください、そこにジム・コナーズという戦士とレクサスというエルフのウィザードがいます、それにこの時間ならヒルガ聖堂に匿われているローグのフレアもそこにいるはずでしょう、私は街の外の宿屋にいるドルイドのマークスを呼んできます、それにアルベルティーネにも仔細は手紙にでも書いて知らせておきますからご心配なく、と、よどみなく答えたので、まあ役に立たなくはないのだろうとは思えた。そこで卿はこの場はイーリアに任せることにして『勇敢な船乗り』亭に向かったのだった。

 卿を『勇敢な船乗り』亭に送った後、イーリアはトーチ・ポート門外の『オークの木陰』亭に向かった。オオカミのロボは街中には連れて行けないからというので、マークスはここを常宿にしている。

 マークスは『オークの木陰』亭にいて、そしてどうやら新しい遊びに夢中らしかった。

 食堂の隅に男がひとり座っている。
 着込んだチェインシャツにスパイクを取り付け、身の丈ほどもある長弓を傍らに立てかけている。俯いたまま、時折強い酒を煽るほかはじっと視線を落とし、なにやら考え事に夢中のよう。
 そしてマークスは、男がまるで構わないのをいいことに、その男の鎧から生えた長い棘にリンゴを投げつけて遊んでいるのだった。

 イーリアが呆れて眺めていると、リンゴを投げつけ終わったマークスは、今度はミカンを投げ始めた。上手いもので男の鎧の棘にすっかり赤か黄色の飾りがついてしまうと、マークスは今度はスイカに手を伸ばした。
 さすがにこれはただでは済むまいと思ったので、イーリアは踏み込んでマークスの手からスイカを取り上げた。
 「やめなさいマークス。話があるので『勇敢な船乗り』亭まで来てください。……それから、この方は?」
 「……しらないひと」
 「知らない人にあなたはリンゴやミカンを投げつけたりするのですか」
 「イーリアだって知らない人を殴ったりするじゃないか」
 スイカを取り上げられたマークスは思い切り不機嫌な顔をしていたが、ひょいと、(リンゴとミカンだらけの)男のほうを向いて
 「あんた何しに来たんだ?」
 と言った。
 「俺か。俺は、とある巨人を探している。片足の親指のない巨人だ」
 男は顔をかすかに上げると唸るように言った。子どもの相手をする気はない、とも言外に言っていたが、それを聞くとマークスの顔が、ふ、と引き締まった。
 「巨人、か。わかった、よし、行こう」
 なに、と男の目が光を帯びた。上げた視界に、まるでいままで道化を装っていただけだ、とでもいうような、きりりとした少年の顔が映った。
 「知っているのか?」
 「うむ!!」
 そこで男はごとりと立ち上がり、マークスと一緒に歩き出した。慌ててイーリアはマークスにスイカを押し付けたのだが、どうやらそのスイカはというとマークスがそのへんの露天商から勝手に持ってきてしまっていたもののようだった。スイカを露天商に返しに行ったイーリアは、結局マークスがこれまた勝手に持ってきていたリンゴとミカンの代を払うことになった。

 そのころ。
 セルディース卿は微妙にほほを引きつらせながら、目の前の有象無象(……卿にはそう見えた)に状況を説明していた。

 ええと、とりあえず可笑しくないのはフレアとかいう青年だけか。ウィザードのレクサスは、どうやら高貴なるグレイエルフのようではあるのだが、ええとまぁ、人を血筋や何かで差別するのがよくないのと同様に(セルディース卿には人の血とエルフの血が半分ずつ流れており、それで随分面白くない思いもしてはきているのだった)血筋では評価はできないということだろう。
 戦士のジムもとりあえず善人だが……だがその、修行と銘打って剣で薪を200本叩き割った揚句宿屋のオヤジにいい加減にしろとかいわれているのはやっぱり何かまともではないのではあるまいか。

 かてて加えてさっきのイーリアが、服の全面にひらひらと色とりどりの布を色彩感覚に何か難がある感じでぎっしりと縫いつけたものを着込んだ少年と、トゲトゲの鎧を着こんで長弓を担いだ男(さすがにリンゴとミカンは取り外されていた)――身のこなしからして恐らくレンジャーであろうかと思われたが――を連れて来たあたりで卿は少しくうんざりし始め、さらにそのトゲトゲの男はマークスが宿から連れて来てしまったまったく初対面の人間であるということが判明するにあたって、外れそうになった顎を押さえる破目になった。さらにマークスとレクサスが話をほったらかして騒ぎ始めるにいたっては、とうとう我慢ならなくなってイーリアに「あの二人はどうにかならんのかね」と聞いたのだが「子どものいうこと、どうか大目に見てやってください」と恐縮されるに及んではいろいろと諦めざるを得なかった。

 ちなみに初対面だというその男はというと、名はケリィ、アーンスト伯国領のとある村出身で、若い頃は斥候兵として軍務に服していたが、先だって休暇で故郷に帰ると村は壊滅、そして足の親指のない巨人の足跡だけが残っていたことから、巨人探しの旅に出たところだったのだという。
 
 一行はしばしセルディース卿をほったらかして男の身の上を聞き、自分達はちょうど今仕事を引き受けかけているのだが斥候ができるものが少ない、よければ同行してくれないかと頼み始めた。男は男で、なにしろ親指のない巨人といっても雲を掴むような話、そもそも故郷の村を壊滅させたのが本当にその巨人であるのかすら実は定かではない、ひとりで情報を探るのは何やらおぼつかない話、君達が私に協力してくれるのであれば私も君達に協力しよう、と言い始める。

 どうやら話がまとまり、6人になった一行は改めてセルディース卿のほうに目を向けた。

 いささかどころでなくげんなりしながら、しかしそれを表には出さず、卿は神殿から受け取った金貨500枚に加えて自分からも金貨100枚を支度金として冒険者達に渡した。そして、エーテル界と物質界を自由に行き来する盗人に盗まれたものを探すといっても雲を掴むような話というので、明朝神殿のほうで神に伺いを立て、その後出発することになるからそのつもりで、と言い置き、宿を後にした。

 その後一時間ほど、卿は何で俺は着任早々あんな連中ととわめきたてながら郊外を狂ったように馬を駆けさせたのだが、まぁそれは人の知るところではない。





このシーンの裏側
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『助けを得た冒険者と謎の盗人の話』その1:黄昏時の怪

ネタバレ注意!!
以下の文章は、月刊ゲームギャザ2005年7月号掲載の 「音速の強盗」を遊んだもののレポートです。とりあえず、そのあたりをこれから遊ぶかも、と言う方は、お読みになりませんように。











 591年6月。第2星曜日。
 
 トーチ・ポートへ向かう街道を、一人の聖騎士が馬を急がせていた。騎士の名はセルディース卿。ハイローニアス神の教会に仕えるものであったが、このほど中央から命じられて南方の港町トーチ・ポートへ赴任するところである。騎士長閣下の曰く、南のほうでアイウーズの間諜が暗躍している。さらには緋色団の活動も活発化しているという。その地の守りの拠点となるべき街にはヒルガ聖堂という万神殿があり、相応に騎士団も抱えてはいるが、本当に神格からの召命を受けた聖騎士は6名に過ぎぬ。そなたは七人目の聖騎士としてトーチ・ポートに赴き、正義の拠点を守らねばならぬ。そこでセルディース卿は愛馬アーク号を駆ってその港町を目指しているのであった。

 日はもう暮れかけて、夜の気配がゆっくりと濃くなってきていた。
 と、卿は道の先でなにやら珍妙なものがひょこりと跳ねたのに気がついた。怪しい奴、邪悪なものなら捨て置けぬと馬を急がせたが、届かない。一方でその珍妙なもの――まさにそうとしか言いようがない。一本足の上に歪んだ袋のようなものが乗っかり、そこから四本の腕が生え、その袋の中ほど、見ようによっては生物の腹部にあたるかにも思える部分に切れ込みのような口と二対の目がついたそれ――も卿の姿に気づいたようで、一瞬立ち止まって卿をまじまじと見る風であったが、卿がさらに馬を駆けさせようとすると、卿に向かってうやうやしく一礼したかとと思うと、虚空に溶け込むように消えてなくなった。
 その腕にはなにやら壷の様なものがかかえられていたようだ、と、珍妙なものが消えてしまってから、卿はようやく思った。

 その少し前、ヒルガ聖堂。
 緋色団に命を狙われているから、というのでせっかく購入した自宅に住めずに聖堂に保護される羽目になったフレアの耳に、とんでもない大騒ぎの喧騒が飛び込んでくる。曰く、レリックが盗まれた。
 待て、そりゃこの間あまりにも危険だからって俺らがわざわざ持ち帰って聖堂に納めたアレがもう盗まれたってのかと青ざめて与えられた部屋を飛び出すと、宝物庫のまわりはすっかりてんやわんや。泡を食ってただただ駆け回る侍祭たちの言い草はさっぱり要領を得ないが――ああ、とりあえず盗まれたのは壷で、「あの」ゴブレットじゃないらしい。おや、何だか、みるからにご立派な騎士様がいらしてあっという間に事態を収拾していくじゃないか。レリックったって「アレ」でもないみたいだし、俺の出る幕じゃないか。

 「みるからにご立派な騎士様」は当然セルディース卿。
 事態の何事かもわからないまま騒ぎまわる人々からいかなる手段をもってしてかなだめ倒して的確に情報を収集し、コトの第一発見者だという宝物庫係が問いただされている部屋に乗り込む。宝物庫係は、怪しい奴が出た、一本足に四本腕、目が四つに口がひとつ、袋のような腹にぽかりと空いていて、と、盗人についてウワゴトのような説明を必死でまくし立てているのだが、どうやら周囲はかけらも信用していないらしい。
 それも仕方あるまい、件の生物を見ていなければ私も信じられぬやもしれぬ。
 そう心の中だけで一人ごちてから、卿は静かに口を開いた。
 「お待ちなさい、その人は嘘を言ってはおられぬようだ」

 結局のところ、ヒルガ聖堂の上級司祭であるイライジャ師もその場へ乗り込んできて、確かに聖堂の宝物はそのみるからに怪しい生物――それはイセリアル・フィルチャーであろう、と師は言った――にさらわれたのであり、宝物庫係は嘘をいってはおらず、また相手が相手である以上、ひどく非があったわけでもないであろうということになった。また、騒ぎの解決――つまりは壷の回収を卿に預けるということでその場は落着したのである。なにしろ、卿が、神妙にうなずいて
 「かの宝物庫番はしんじつそのような化け物を見たのでしょう。実は私もこの街へ入る前に、野中の道でそのような珍妙なものが虚空に消えるのを目撃した。怪しい奴、と追うたのだが私の馬の足では追いつけず、取り逃がしてしまった。今思えば、かの化け物は来歴のありそうな壷を抱えていたようにも思う。きっとこの聖堂で盗みを働いてからの帰りだったのでしょう。
 であれば、彼奴めをとりにがした私にも責任の一端はある」
 などと言ったものであるから。

 事態がそう収まったその上で、イライジャ師の曰く。
 おお、七人目の騎士殿よ。あなたをお待ちしていたのだ。なにしろここしばらく、この街には怪異が頻発しており、聖堂にも騎士団はあるとはいえどうにも手が足りぬ。そもそもが最近は街の外の怪物どもが活発化しておって、騎士団はそれら大規模な脅威に対応するので手一杯、市井の怪異の解決には見習い聖騎士やこの神殿の司祭の中でも若い者が当たってはいるのだが、どうにも手が足りぬ(と、司祭殿は繰り返した)。
 そこで卿、着任したばかりで申し訳ないが、今度のレリック――魂の壷というのだが、とても古いもので、使い方も既に知る者はないが、とにかく聖なるもので強い魔力を帯びていたことは確かだ――の奪還をまずはお願いできないだろうか。

 そのための戦力として、現在卿にご紹介できるのは、聖堂の司祭で聖カスバートに仕えるアルベルティーネという女司祭がいるのだが(といってイライジャ師は一瞬口ごもった)、彼女はいま流行り病で寝込んでいる。が、これまで彼女と一緒に事件を解決してきた(と、そこまで言って、師は、もう少し長く沈黙した)冒険者の一味、いや、一団がいる。一人はこの神殿付きの僧院で修行中のモンク、一人は訳あってこの神殿で保護しているローグで、あとはええと戦士とドルイドとウィザードとまぁそんな感じだ(と、師は急に早口になった)。うむ、もちろん腕は悪くない連中だ。そして彼らは冒険者だ、金の話をしないと動かないだろう、報酬は2500gp、前金は500。それだけ、神殿から出そう。この件は是非、卿にお願いしたい。

 500gpの入った袋を受け取ってその場を辞そうとするセルディース卿を、ああそれと、と思い出したようにイライジャ師が呼び止めた。
 「先ほど言ったモンク、イーリアと言うのだが、この娘が聖堂に借金を負っている。以前連中が手がけた事件を、この街の衛兵隊長が手伝っていたのだが、何やら下手を打ったようで死んでしまってな。で、神殿長様にお願いして生き返らせていただくことになったのだが、そのときの費用の借用書を件の娘が肩代わりして署名した。そのことも合わせて言ってやれば、まぁ、冒険者達も断りはすまいよ」

 それを聞いて、どうしたものか、とは思ったのだが、セルディース卿はとりあえずそのモンク娘に話を通しに行くことにした。本来ならその一団を取りまとめているという女司祭のもとに行くべきなのだろうが、流行り病のため会えないというのでは仕方がない。ならば、一番身元がはっきりしているのは僧院で修行しているという娘だろう。





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シリーズ第8回『助けを得た冒険者と謎の盗人の話』前口上

……うわぁ、なんかもう、触るのも怖いぐらい間が空いちゃいましたよ。
なんかもうね、久方ぶりにSeeSaaに書き込みしようと思ってログインしたら、見え方が凄い勢いで違ってて、私これ本当に使いこなせるんだろうかとか怖くなるぐらいで。

ま、そのへんはさておくとして、前口上と言い訳とここまでのいきさつです。

とりあえずシリーズ第8回(キャンペーンとしては第9回)は、2007年6月19日に遊んできました。いつの間にかメンバーもちょっとずつ入れ替わって、

DM:ふぇるでぃんさん

PC/PL
レギュラー
ジム・コナーズ:腐爺さん
フレア:あくあさん
マークス:えでぃさん
レクサス:sakiさん
イーリア:たきのはら

新規レギュラー
ケリィ:ユージさん

ゲスト
セルディース卿:ハイランスさん

の7名。Yu-RIEさんのアルベルティーネは今回お休み。

で、今まで何があったかというと……あ、ネタバレになるからまずいのか。シリーズ第5回で『銀輪山の覇者』の後半を、シリーズ第6回と第7回で『ドルイド麦事件』を遊んでました。とりあえず記録とか仮レポートとかは残っているので、今後こちらにもレポートは上げていく所存。

というか、何とか「よいレポート」を書こうと試行錯誤した挙句、一時期はmixiで仮レポートを書くとかやってたんですが、ダイジェスト書いちゃうとその後更に本レポート書くとかできやしないことに気がつきまして。で、今回は下書きをmixiで書いて直しをもらって、こちらに清書をアップとかにしよう、と。

……まぁ、そんな感じで。
次からはばりばりアップしていく所存ー。
posted by たきのはら at 00:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 不揃いな冒険者たち | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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