2005年02月28日

最終回抄録&目次

 というわけで。
 4年間遊んできたキャンペーンにも、終わりが来てしまいました。

 始まったお話は、いずれは終わるもの、というのは分かっているのですけれど……いろんなふうに思い出すことが多すぎて、今はまだどういっていいのか分かりません。
 正直、最後に「旅人の宿 山形 千客万来」って書いてアップしたときは、なんかもう泣きそうになっちゃいましたし。

 とはいえ、先ほどまで書いたレポート、ほんとに「ゲーム直後のテンションを引っ張り続けて勢いで書きまくった」シロモノなので、見落としもいっぱいあります。ってか、事実垂れ流し式なんで、一番面白かったとこは拾い切れていません。
 ので、コメント等で各自情報を追加してっていただければな、と思っています。
 あ、あと、感想とかももらえると嬉しい。「ここをこうすればもっとよくなるよ」ってのも大歓迎。

 ただその……しれっとそう言うには、えらい膨大な下書きを書いちゃってるので、さすがにこれ全部読んで探しながらコメントしてくれはアレだと思いますんで、抄録付きの目次をつけておきますです。

そゆわけで、2月26日セッションで起こったこと抄録。

その1:明け方
10月6日明け方。沈黙したままAquillaを取り囲む砂嵐の軍勢。大半は死んだようになっている街。
クラーレ、城門前で歌い、声の届く限りに砂嵐への憎しみを喚起して命の火をもう一度ともしてみたり。

その2:五花会幕屋
早朝、アルカンはクラーレを伴って五花会の老師のもとへ。
老師たちは、『神殺しの剣』の行方を確認した上で、カナートを通って街を去ろうという。
アルカンは自分の任務が完遂したことを確かめると、自分は砂嵐の軍勢に大いに含むところがあるので、私闘をもちかけたい、よって個人的に街に残ることにすると答える。

その3:扉のいわく
同じ頃ピーウィーは昨夜カセツァート邸の蔵の中で見つけた怪しい門扉の由来を調べにアガーツィア神殿へ。
どうやら門扉は「第五の門」らしい……?

その4:カセツァート邸
謎の門扉のいわれと、それからAquillaと砂嵐の確執を知るため、一行カセツァート邸へ。
カセツァートは今回はちゃんと話のできる状態。
門扉のいわれ、及び公と二人の姫と砂嵐の因縁を説明してくれる。
どうでもいいがいちいちバラの香りの枕に顔をうずめて泣き出されても……
アラブ風の王侯だから、といくら言われても、なんか妙なイメージが<こら

その5:開門!
とか言っているうちに、西の空に黒雲が湧き出し、『暴虐の嵐』が吹き荒れる。
西方修道会に、危機を知らせに走る一行。アルカン(with担ぎ上げられたピーウィー)はどうにか間に合ったが、しかし実質的に何かできたわけもなく、むざむざAquillaの1/4を泥海に沈めてのけられてしまう。
こうなっては、と謎の門扉を開くピーウィー。門の向こうからは大道およびアガーツィアの誓願者たちが隊伍を組んでやってくる。
……ってか、このシーン映画にしたら、なんかもう握り拳必至!だと思うんだけど。

その6:西門の戦い
別名テンペスト30秒。むちゃくちゃなドンのクリーブの炸裂とか。
雲巨人x4、悪のクレリックを15秒弱で片付け、そのあと煙のエレメンタルx3、あと名前持ちの嵐を片付けるのに15秒弱。
雲巨人のフィギュアを並べ始めたDMに、みんなが「ふざけんななんだそりゃボケ!」とか言い始めたとき、DMがこっちを見て「いや、こっちも必死ですから。ってかあんたら自分をなめすぎちゃいませんか」とかのたもうたのが妙に印象的。

その7:シリウスの帰還
テレポートがなんか妙な具合になっていたシリウス、どうやらAquillaに帰還。そうして、「ウジャガトクを迎えに来た」という「東からの使者」と言葉を交わす。
その会話の中で、ウジャガトクと砂嵐の因縁が明らかにされる。
ってか、ウジャガトクがなんであんな複雑怪奇な状態にあったのか、ウジャガトクをひっぱると砂嵐が出てきちゃったのか、ということなどなど。

その8:東からの使者
シリウスが妙な感じに「東からの使者」に丸め込まれかけたところへ西門の戦いを終えた一同なだれ込んでくる。シリウスほど純粋でなくシリウスの5倍ぐらい単純な美笛、話を聞いたとたん「シリウス、あんた騙されてる!」と絶叫。
というわけで、東からの使者とガチで殴りあいに。
ドンとか美笛とか、相当な犠牲を出しながらどうやら使者を倒す。

その9:フレイの帰還
次にAquillaに帰還したのはフレイ。
なにやら浦波−アリエンに、「ちゃんと私を娶ってくださるのですか」と詰め寄られ、えらい勢いで困惑。ってか、目の前にはAquillaに迫る砂嵐の騎竜、だというのに、「あれを倒すためには私を娶って神になるべきではないのですか」とさえ取れるような迫り方をするアリエン。……こわいって。
話がこんぐらがりかけたところへ、ガーシュウィン卿登場、西方修道会が大分削られたことを説明。こうしてはいられぬ、とアリエンとの話をうやむやにし、駆け出すフレイ。

その10:最後の血戦
というわけで、総勢七人(ドンも美笛も蘇生してもらいました)で、砂嵐の騎竜とヘンウェンに戦いを挑む。
辛くも騎竜を切り倒し、ヘンウェンからは砂嵐のファルシオンのディザームに成功。
というわけで、最後に神剣浦波がひらめき、ファルシオンを両断。

その11:決着
『神殺しを恐れよ』と絶叫しつつ、滅びてゆく砂嵐。
フレイは神を切ったのみならず、あろうことか女神に説教。
和解と、そして新しい神格の誕生。
――すべては再生に向けて動き出してゆく。

エピローグ

……と、こんな感じです。
さすがに……かなり頑張ったかな。どうにか下地は作ったと思います。

 ともあれ、これまで一緒に遊んできたDM、PL仲間、そしてPC&NPC達に感謝、です。
 ありがとう。すっごく楽しかった。
 そして、これからもよろしく。

 ……あ、いや、その前に色々コメントもらわないと、このレポート自体仕上がりの形にならんのだけど。
posted by たきのはら at 16:37| Comment(0) | TrackBack(1) | レポート目次(Aquilla) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

エピローグ――2005年2月26日

 こうしてAquillaはようやくその姿を砂漠の中に留め得たのだった。

 となると、辻の街のこと、復興は早かった。街を離れた人々も、砂嵐撃破の報を聞くや、今は清らかな水が滔々と流れるカナートを伝って街に戻ってきた。崩れた建物は建て直され、城壁も修復された。そうして、街の四方には堂々たる門が開き、それは決して閉ざされることはなかった。

 アガーツィア神殿はAquillaの指導者としてのみならず、砂漠の首長としてもその影響を及ぼすようになった。
 エィリーノア神殿はAquillaを守りはぐくむものとして、またカナートの女神として、Aquillaを中心に水路の届く全てに恵みをもたらした。
 大道神殿はというと、これはあいかわらずだった。さすがに「東からの使者」とやらが迷惑極まりない魔界の大鎌を置き捨てにしたまま消えてしまったのはどうしようもなく、そこを二重三重に封印して別に建物を造らざるを得なかったのだが、ともあれ辻には良いもの悪いものふくめていろいろ出るものだという教訓くらいにはなろうと鷹揚に構えているのだから、それもさほど深刻にも思っていないようだった。

 西方修道会も、東方旅団もAquillaを守ったものとして、Aquillaの議会に相応の地位を占めた。
 そう、アリエン姫はAquillaの王政を廃し、共和制としたのである。それを期にカセツァート公は引退し、そうして議会の長の初代は選ばれてアリエンが勤めることとなった。

 一度砂漠の中に潰えるかとさえ思われたAquillaは、戦火と灰燼の中から見事に蘇ろうとしていた。四方の国から行商人や冒険者が訪れ、街はかつてよりも活気に満ち溢れていった。そうして、街を守った冒険者たちはというと、残るべきものはAquillaに留まったし、立ち去るべきものは立ち去ったとしか言いようがない。あとの物語はそれぞれの話なのだ。
 ともあれ、留まったものはいよいよ賑やかに華やかになってゆく街を見ていたし、立ち去ったものが再び辻の街を訪れるならば、記憶よりもずっと育った街の姿を見るだろうことは確実なのだった。

 もちろん、変わらないものもある。
 砂嵐の脅威は去ったとはいえ、相変わらず砂埃は舞い、そのたびに旅人たちは憎まれ口をたたいた。大きく開いた南門から吹き込むのは、やはり砂交じりの風で、南門前広場には砂の吹き溜まりができている。
 そうして、その吹き溜まりに半ば埋もれるようにして立つ古い酒場。
 その軒先には真っ二つに折れたものを荒っぽく修繕した旗ざおが、蒼空向けて立てられ、砂交じりの風にはためいている。そうしてその旗には、懲りもせず上は天上語から下は奈落語、世界中のありとあらゆる言語でこう書いてあるのだった。

 「旅人の宿 山形 千客万来」
 
posted by たきのはら at 15:29| Comment(0) | TrackBack(0) | Aquilla血風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

最後の戦その11(10月6日昼前:決着)――2005年2月26日

 その瞬間、世界が震えた。
 砂嵐の断末魔の声だった。

 それは声高に呼ばわった。

 神が、殺されたぞ
 神殺しはこやつ、この男
 世々の神々ども、この男を恐れるがよい

 禍々しくも韻々と声は響き渡り、やがて、消えた。

 声が消えたとき、フレイの前には二人の娘が、不安げな顔をしてたたずんでいた。
 ひとりはアリエン。答えを待つ娘。
 ひとりはヘンウェン。答えを持たない娘。

 ふたりの娘を前に困り果てた顔のフレイに、クラーレが助け舟を出した。

 まぁ、ここでにらめっこしててもしようがあるまい。
 一度親父さんのところに行ってみないか。

 
 そして。
 ――長く失われていた娘が二人とも戻ってくる。玉座を下りて門へと向かえ
 カセツァート公の脳裏に逆らいがたい声が響いた。クラーレの唇から紡がれた魔力は伏せっていた公の目と耳を開いたのであった。
 そうして一行が館の門前に近づいたとき、公は転がるように走り出してきた。そうして、ヘンウェンの手を取り、許してくれ、許してくれとうわごとのように言うと、そのままおいおいと泣いたのだった。
 それでもヘンウェンは困ったように立ち尽くしていた。

 そして、先ほど、砂嵐の呪縛から解き放たれたとき、フレイたちに問われたときに答えた言葉を繰り返した。
 曰く。
 あたしは何も知らないのです。あたしは何もできないのです。
 ものごころついたときから、あたしはあのファルシオンと共に居ました。
 あたしは自分がどうしていいのか、もう何もわからないのです。

 一方、アリエンは父のもとに立つと、もう一度フレイに問うた。
 あのときは戦いの前でした。貴方は戦人、たしかにあのような場であの問いへの答えは探せなかったでしょう。
 ですから、全てが終わり、Aquillaが守り通された今、もう一度貴方に問わせてください。
 貴方は私を娶ってくださいますの?

 ひとつ息を吐き、そうしてフレイは答えた。

 俺は神になるつもりはない。お前を娶るつもりもない。この地に留まるつもりすらない。
 なんという顔を。それが神の顔か。
 お前は何も知らぬのだ。神剣の力、カナートの女神の力はその身に宿しているかも知れぬが、お前自体は何も知らぬのだ。
 この世に神としてあったときから夫の傍にある身であった以上、Aquillaを守るお前には夫が要るものだと言ったが、それが本当かどうか、お前は考えたことがあったのか。
 確かにお前が潤すAquillaの地の力たる神を、お前が嫌っていては話になるまい。だが、その妻としてあることのみがお前の力を繋いだのか。
 お前はそれだけの神なのか。

 それに答えられないならば、俺も答えを返すわけにはゆかぬ。

 アリエンはその美しい瞳を見開き、フレイを見つめ、そうして静かに顔を伏せた。かすかに肩が震えた。だが、フレイは動こうとしなかった。自分の前に立ったままうつむく娘を、ただじっと見つめていた。

 二人の娘を等分に見やっていたシリウスが、静かにヘンウェンに声をかけた。

 あなたはそのように言うが、あなたにはちゃんとあなたというものがある。
 確かに貴方は長いこと砂嵐に縛られていたかもしれない。
 けれど、僕は知っている。妖精界で僕に切りかかってきたとき、あなたは確かに刃を振り下ろす手を一瞬止めた。あなたのあのためらい、あれは、あなただ。

 そうよ、あたしだって知ってる。
 
 美笛が言葉を継いだ。

 あんた、妖精界であたしに一度斬られて死んだ。そして、あたしの目の前で生き返った。
 そのときあんた、泣いてたわ。もう嫌、もう生き返りたくないって泣いてたわ。
 だから……あんたにはちゃんとあんたってものがあるのよ。

 だから、です。

 シリウスが続けて言った。

 あなたは自信を持って生きてゆかれれば良い。
 例えば……あなたのお妹御は、婿君がいなければこの地を潤すことができないのではないかと恐れていらっしゃる。
 だが、婿君がほんとうに婿君である必要もないのでしょう。
 カナートの女神を助け、この地を治めていくだけの力あるものならば。
 どうでしょう。この地に留まり、妹御と一緒にAquillaの地を治められては

 その言葉を聞き、静かにヘンウェンは首を振った。

 いいえ、あたしはこのままこの地にいるわけにはいきません。
 砂嵐の力の中に居たとはいえ、あたしはこの地にあまりに多くの災厄をもたらしてしまいました。
 あたしがこの地に留まること、ましてやこの地を治めることなど、人々が受け入れるはずもありません。
 この地をよく治めることが償い――とおっしゃいますか。
 ならば――いま少し猶予を下さい。必ず戻ってきますから、その日まで、あたしは世界を見て回りたいのです。何も知らずにここまで育ってしまいましたもの。ですからあたしはあたしの目で世界を見たいのです。

 ヘンウェン、ヘンウェン。
 つらい思いをさせた。どうか許してくれ。そうしてこの愚かな父にも償いをさせてくれ。

 カセツァート公が涙声で言った。

 いいえ。
 
 そう、ヘンウェンは答えた。

 あたしとあなたの間は、あまりにも隔たってしまいました。
 あたしは一度、ここを離れます。
 いずれ戻ってくるとしても――あなたの娘としてではなく、砂漠の民の娘として戻ってまいります。
 その時は――

 そこまで言って、急にヘンウェンは泣き崩れた。生まれて初めて泣くもののように、ほろほろと涙をこぼし続けた。

 そうして、どれだけが経ったろう。ふと、アリエンが顔を挙げた。
 その顔は、晴れやかに微笑んでいた。

 「フレイ様」
 アリエンは静かに言った。
 「ありがとうございます。先ほどのお言葉、私なりに考えてみました。私はここに残ります。そうして、共にAquillaを治める者がこの地を訪なう日を待つことにいたします。――エィリーノアの巫女、アリエンとして。この地を永久に潤すものとして。そして、もしアリエンを娶るものがあれば、その方はアリエンの夫となりましょう。けれど、それだけです。
 エィリーノアはこの地を潤し、Aquillaを守ります。
 そして、アガーツィアはAquillaの民、そうして砂漠の民のよき指導者としてこの地に力を及ぼすこととなりましょう。
 エィリーノアとアガーツィアが夫婦神であるかないか――それは、この地のありようとは関わりのないことです。ふた柱の神は、いまやそれぞれに独立してこの地の神なのですから」

 そこまで言うと、アリエンはフレイたち一行のほうに静かに膝をかがめ、一礼した。

 「私がこうして正しい姿にたどりつくまで、多くの人たちの力を借りました。けれど、その多くはこの地に住まいするものではなく、四方の辻たるこの街にやってきて、また立ち去っていく方々。
 流れ水は流れるからこそ命をはぐくみ、清らかでありつづけるのです。
 その命をとどめてはならないと、今ようやく気づきました。
 ですから私は、あなたがたの旅の幸いを祈りこそすれ、この地に縛り付けられるのを望みません。
 ただ、感謝し、祈るだけです。
 あなたたちの幸いを――」



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posted by たきのはら at 15:27| Comment(4) | TrackBack(0) | Aquilla血風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

最後の戦その10(10月6日昼前:最後の血戦)――2005年2月26日

 取るものもとりあえずフレイが駆けつけると、そこには街に残った仲間たち、シリウス、それに死んだはずのカサハ師が集まって、南の空に聳え立つドラゴンの姿を睨んでいた。

 駆け寄るフレイに気づき、一同顔を輝かせて駆け寄ってくる。
 「ありがたい、フレイ。これから最後の決戦だ。まだ戦えるか?」
 「うむ、安心した。そなたがいるということは、アルハンドラも生きているということだからな。そうであろう?」
 そう言ったのはカサハ師である。
 「ところで、『蘇り』の巻物か何か、お持ちではないかな?お仲間の一人がどうやらえらい死に方をされたようで」
 見れば、虎(の姿のドンであろう、と一応フレイは思ったのだったが)の背にぐったりと横たわっているのは美笛である。なにやら仏頂面でその死に顔を覗き込んでいるアルカン。その顔つきは、おおかた死んでほしくないときにだけ死にやがるとでも毒づいているのだろう。

 「いろいろと役に立つのだな、俺は」
 小さく笑うと、フレイは荷の中から一巻の巻物を取り出し、カサハ師に渡した。
 「俺自身には遣いようがなくとも、持っていると便利なものはいろいろあるものだな」
 儀式がほどこされ、美笛の目がぱちりと開く。
 「……短いご帰還になるかもしれんが、生き返った以上もうふた働きばかりしてもらうからな」
 仏頂面をさらにしかめて、アルカンがぼそりと言ったのがフレイの耳にも届き、フレイは思わず肩をすくめた。

 「……では、行くか」
 「行こう」

 しかるべき準備を確かめた後、一行は再びAquillaの空に舞い上がった。
 「ところで、あのファルシオンはいったい何なのだろうな」
 飛びながらフレイは聞いた。
 「あれは……先の大戦に敗れて封印される直前、砂嵐がたったひとつこの世に残した鈎爪だそうだ。それを剣に仕立てたのがあのファルシオンだと……さきほどカサハ師が仰っていた」
 アルカンが答える。
 確かに、しかるべき視力を持つものの目には、竜にまたがったヘンウェンにまつわりつく、小さくとも禍々しい砂嵐のすがたがはっきりと映っていたのだった。

 「……さて」
 敵の直前まで来て、フレイは手の中の剣を見やった。
 浦波は静かに手の中で光っている。
 「この戦いが済んでからだ。そうしたら答えを言おう」


 美笛がまっすぐ竜に向かって飛び込んでいくのが最終戦闘開始の合図になった。
 「あの馬鹿娘、居合いで竜を両断でもするつもりか」
 アルカンが吐き捨てるように言って後を追う。その脇で、虎の姿のドンがフレイに乗れと一声吼えた。そうして有無を言わさずフレイを背に放り上げるとこれもまたまっすぐ竜へと駆ける。
 「いいか、つかまっとけよフレイ。ちっと荒い早駆けになるぜ、なにしろ奴を抜かなきゃあ俺は南へ帰れねえんだ」
 一撃、二撃……竜のうろこに刃が跳ね返される。そうこうするうちに竜はぐいと首を上げ、その口から砂嵐を吐いた。寄せ手側はたちまち砂に切り裂かれ、押しひしがれる。それを耐えて駆け寄るドンを見るや、竜は一声吼え、そうしていきなり騎乗したフレイごとドンにつかみかかった。
 「面白い、組み打ちか!?」
 背からフレイがなんとか滑り降りるや否や、ドンの身体がまた姿を変え始めた。しなやかな身体がごつごつと膨れ上がり、見る間にその口から熊の咆哮が轟いた。

 のしかかってくる竜の身体を、熊はがっしと受け止めた。と見るや、体を返し、見る間に体勢を入れ替える。熊に押さえつけられ、もがくもならず尾を打ち振る竜。

 「いいですよ、ドンさん、そのまま抑えこんでて下さい!!」
 シリウスの剣がうなる。フレイの剣、美笛の居合い、アルカンの棍……ようやく熊を振りほどいて起き直った竜を、さらに死に物狂いの打ち込みが襲う。振り下ろした爪をようよう熊に叩き込みはしたものの、さしもの竜もたまらずのけぞり、ついには熊ともつれ合うようにしながら地上へと落ちていったのだった。

 残るはヘンウェンのみ。だが、この子は……
 『いやだ、もう生き返りたくない!』
 叩き斬ろうと手を柄にかけた瞬間、美笛の頭の中にヘンウェンのか細い悲鳴がこだました。あれは……そう、妖精界で一度戦ったとき。美笛は一度ヘンウェンを斬っている。そうして死んだはずの娘の手の中で、ファルシオンが怪しく光ったかと思うと娘は目を開けたのだった。そうして……涙声で悲鳴を挙げた。違う、この子そのものは悪じゃない。
 剣の軌道をわずかに変える。その隙に打ち込まれてくる斬撃にどうやら耐えて、美笛は剣を振りぬいた。ファルシオンはヘンウェンの手を離れ、飛んだ。返す刀で今度は剣に斬りつける。だが
 「ダメだ、あたしの剣じゃ『これ』には歯がたたない、フレイ、お願い!」

 そう叫んだ美笛の脇を、ピーウィーが凄まじい勢いで駆け抜けていった。すり抜けざま、殆ど体当たりのようにしてヘンウェンの肩を無理矢理ひっつかもうとする。反射的に身をよじるヘンウェン。
 「ヘンウェン、『母神』のもとへ……」
 声だけが残り、次の瞬間、ピーウィーの姿はなかった。かすかに次元が歪む。ヘンウェンとファルシオンをなんとか引き離そうとしてか、彼女もろとも谷母の神殿に飛ぼうとしたらしいが……

 呆然と立ち尽くすヘンウェンの足元に、砂嵐のファルシオンは光りながら浮いていた。ヘンウェンはとみると、かすかに顔をゆがめたまま、剣を拾おうとはしない。ほっとした瞬間、美笛の脳裏を何かがよぎった。
 ……そうだ、浦波はフレイが持っているからどうしようもないにしても……このファルシオンだって神を殺せそうなものだわ……
 思わず手を伸ばしそうになったが、危ういところで思いとどまる。冗談ではないわ。こんなとんでもない代物を持ち帰ったら、今度は扶桑がどんなことになることやら。

 そう思った次の瞬間には、美笛は勢いで数歩後ろに吹き飛ばされていた。
 飛び込んできた傷だらけのフレイが、渾身の力を篭めて、ファルシオンを叩き斬ったのだった。


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最後の戦その9(10月6日午前:フレイの帰還)――2005年2月26日

 また一方――
 砂嵐の次元を後にして、フレイもやはり他の四人と別れてしまったのだった。しかし、浦波−アリエンが彼の手を取り、こう言ったのだった。
 アストラル界は今は危険です。私の統べる世界、水の次元界を通って帰りましょう。
 「私の統べる世界?」
 「そうです。申し上げたではありませんか。わたしは浦波にしてアリエン。そしてカナートの女神エィリーノアと。私を正しい姿に戻してくれたのは貴方です。ですから私は貴方を夫と定めたのです、と」
 「夫と定めた……?」
 「そうです。私は貴方を夫と定めました。ですからあなたがアガーツィアの主神となるのです。これは太古の昔から定まっていたこと。
 ……ですが」
 そこまで言って、ふと姫は言葉を止め、わずかに顔を曇らせた。
 「お伺いしたいのです、あなたに。
 そういえば私は貴方から、私を娶るとの言葉を伺っておりません。
 あなたは私を妻として娶ってくださるのでしょうか。
 それとも私を一振りの剣とのみみなすのでしょうか?」
 「……お前を娶れば、どうなるのだ」
 「貴方はアガーツィアの神になります。今すぐにでも。私は私の夫を神と定める女なのですから。あなたは神の力をもって、今あるAquillaの危機を救うことになりましょう。そうしてあなたはこの地に留まるのです。Aquillaの主神として、私と共に、永劫に」
 「一振りの剣とのみみなすのなら」
 「……そのときは、私はエィリーノアとしての神格を失います。アガーツィアも神としての力を失いましょう。私が居ないのですから。神を失い、水を失い、この地はかつてはあった都をその胎内に沈めた砂漠となりましょう」
 「では、私がお前を娶るとして、そうしてこの地を立ち去ればどうなる」
 「ならばアガーツィアのみはこの地に力弱き神として留まりましょう。けれど私の守りを失ったカナートはやはり涸れてしまいましょう」
 そうして、と言葉を継ぎ、浦波−アリエン−エィリーノアはフレイを物質界のAquillaの噴水の中に連れ出したのだった。エィリーノアが再びこの世に姿を現したためだろうか、噴水からは水が溢れ出していた。災いがこの地を襲う前の清らかな水が、こんこんと湧き出していた。
 その中に、フレイとアリエンは向き合って立っていたのだ。
 ――幸せな恋人同士には程遠い様相だったが。

 「ごらんなさい、あの南の空を。……あれが今まさにAquillaを襲わんとしている災い。私を娶り、神となってあのものを討つべきではないのですか」

 指し示すほうには、巨大な竜が今にも街を押しひしがんとでもするかのように立ち上がっていた。その背には、砂嵐のファルシオンを構えたヘンウェン。
 「――さあ、どうかお答えを」

 フレイは言葉を吐こうとし、息を吐き――アリエンの顔を見つめた。こんなときにはどう言えばいいのだろう。仲間たちの誰かならどう言うだろう。だいたいこれは脅迫ではないのか、それとも……

 そのとき、フレイの名を呼ぶものがあった。
 振り向くと、西方修道会のガーシュイン卿である。泥にまみれ、剣を杖につきながら、従う騎士たちを励まし励まし進んでいるところなのだった。
 「卿、ご無事で?」
 「生き恥をさらして居るわ」
 そういって、ガーシュイン卿はにっと笑った。
 「他の皆々様は」
 「カルヴェイン卿は見事本懐を遂げられた。二の翼とやら称する大悪魔と刺し違えられたのだから本望であろう。私もご一緒するつもりだったが、若い者は苦労するものだといわれて残された。だが……」
 「だが?」
 「もはやこの世に残された我らの取り分は、名のみであろうな。伝えるものがあればだが」
 「名が残れば十分なのではありませんか」
 かすかにフレイは笑みを浮かべた。そうだ、この御方はいつもこんなふうであった。ただに残る名なら要らぬ、悪しきものをこの世からどれだけ片付けたと誇れる勲がなければなんになろう、と、およそ俗人めいたことを口走る、暴れ足りぬ子供のような御方と有名であったが。
 そう思っていると、ふいにガーシュイン卿は言葉を継いだ。
 「済まぬな、フレイ。一番若い兄弟は守ってやれなんだ。カーウィンは……」
 「満足しておりましょう、彼も」
 「……済まぬ。
 街の人間は随分逃げ出したようだ。五花会の李老師が、カナート伝いに安全な道を確保し、街に伝えてくださったのでな。シェーラ殿が先導し、戦えぬものから順にこの地を離れている」
 「……そうですか。それは重畳……
 ところで俺の仲間は」

 ガーシュイン卿はかすかに目を細めると、南のほうを指差した。
 見慣れた南門前広場。そこに、さらに見慣れたものを目にして、フレイは息を呑んだ。
 山形の旗ざおが、真っ二つに折れたのを修繕したその姿のまま、千切れそうになりながら砂色の空を突き刺すように立ち、ばたついていたのだった。


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posted by たきのはら at 14:57| Comment(2) | TrackBack(0) | Aquilla血風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

最後の戦その8(10月6日午前:東からの使者)――2005年2月26日

 「仲間たち」はちょうど神殿の入り口に来かかっていた。が、出てきた人影に、驚いたように足を止めた。
 「!シリウス!!どうだったんだ、奴は……」
 「奴は、斬った。……奴の復活は阻止した。そして……」
 「そうか。
 ……じゃこっちは残党狩りだか残党に狩られてるんだかで大わらわ、というわけだ。とにかくさっき、神殿の中でなきゃ治せないような傷を負っちまったしな、話は中で……」
 「ああ待て、中には実は……東の国からの御使者が」
 言った瞬間、アルカンと美笛の顔色が変わった。
 「東!?どこの国だ。帝国か、扶桑か!?」
 「……?そのどちらでもない。黄泉からの御使者だが……」
 え、と思わずアルカンが一瞬引き、同時に美笛が、こちらは反対に神殿に踏み込む。その勢いでシリウスが押しのけられ、その向こうの位置のちょうどエーテル界側に「東からの使者」が座っているのが、何人かの目には映った。
 色めき立つ一同。人間たちのあわてぶりをなにやら興味深そうに見ていたが、ピーウィーが神殿の中に踏み込んだ途端、「東からの使者」は一同の目の前に実体化した。――そう、ウジャガトクのフィラクタリを持っていたのはピーウィーだったのだ。

 「何なのこれは!?」
 使者を指差し、美笛がシリウスに言う。うちの国にはこんなのいないわよ、アルカン、これあんたのとこの?
 「いや、だから――この方は黄泉の国からいらした。どうもウジャガトク公を黄泉の軍門に迎えに見えられたらしい。だが、僕にはウジャガトク公が誰かの下につくとは思えない。それで陛下のご意思を伺いたいと……」
 なんということだ、これは本当にシリウスか、敵の回し者か操られているかのどっちかじゃないのか。誰かが叫ぶ。
 「何ですって、黄泉!?さっぱりわからないわ、だからなんでそんなものがここに居て、あんたはそんなものと話をしようなんてしているの!?」
 待てそのシリウスもどきに触るな、と阻止する声もどこへやら、美笛、シリウスの腕をがっしとつかんで叫ぶ。
 「つまり何、こいつとウジャガトクのフィラクタリに会話をさせたいということ?」
 「そういうことだ、人間ども、そのフィラクタリを寄越せ」
 シリウスの代わりに答えたのはナイトウォーカー。
 その瞬間、美笛の眉がつりあがった。
 「シリウス、あんただまされてるわ。こいつ今、『寄越せ』って言ったわよ!?会話するだけならピーウィーの懐の中のフィラクタリに呼びかければいいだけのはず。あんたの大事な陛下を受け取ったら、こいつとっとと逃げ出すつもりだわ!」
 「……賢いな、小娘。ならば言い直そう、そのフィラクタリを俺に渡せ。でなければこの場で死ね」
 ゆらり、と、ナイトウォーカーは立ち上がった。
 思わず後ずさったピーウィーは、胸元に何か不気味な脈動を感じた。胸元が、いや、懐に収めたウジャガトクのフィラクタリが輝き、どくどくと脈動していた。
 ピーウィーの全身から脂汗がふき出した。昨日この石から何かが抜け出したのを感じたとき、彼はこれでウジャガトクはすっかり成仏したものだと勝手に思い込んで、そのまま胸の隠しに放り込んでおいたのだ。
 刺客なる魔人がまっすぐに自分にむかって襲いかかってくるという想像も恐ろしかったが、物凄い形相でピーウィーの胸元を凝視しているシリウスも、かなり怖かった。
 それにはまったく気づかぬふうで美笛が叫ぶ。
 「シリウス、何をやっているの、あんたの大事な陛下のご意思とやらをこいつの前ではっきりさせてやらなきゃ!」
 はっと息を呑み、それからあらん限りの声を放って、シリウスは問うた。
 「陛下、ウジャガトク陛下、御身は黄泉の軍門に下ることを望まれるか否か!?」
 「おお、ウジャガトクよ、今こそ諾と答えよ。そなたこそは黄泉の朝廷にふさわしい魔人、いずれは位人臣を極め、黄泉の左大臣の地位も約束されようぞ!」
 フィラクタリの明滅はいっそう激しくなり、その場にぼんやりとウジャガトクの姿さえ浮かび上がった。声がこだました。
 ――我こそは最初にして最後の皇帝
   なんぞ黄泉ごときに臣従しよう
   シリウス、最後の命を下す
   今こそ我を砕け、音高く砕け!!

 何事か叫ぶや否や、美笛が使者に向かってまっすぐに走り出す。戦端が切られた。
 使者との戦いは熾烈を極めた。美笛は死の魔術で命を絶たれ、ドンも倒れた。だが、最後に立っていたのはこちら側の人間。ならば十分。
 
 ピーウィーはフィラクタリをそっと祭壇に置いた。
 「……シリウス、あとはあんたの仕事だ」
 シリウスはフィラクタリの前にひざまずき、しばらく頭をたれていたが、やおら立ち上がった。
 「陛下、では、お言葉通りに」
 そうして、セスナー卿から譲り受けた大剣を掲げ、まっすぐにそれを振り下ろした。

 宝玉の欠片は粉々に砕け散った。
 膝をつき、その破片のひとつにそっと手を触れ、それから首を振ってシリウスは立ち上がった。
 「ピーウィー殿、感謝いたします。……それでは、僕らはこの街の周りにまだ残っている軍勢を片付けにいかねばなりませんね。その前にドンさんと美笛さんを生き返らせないといけない。……ドンさんはなんとかなるとして、美笛さんは……」
 「まぁ、なんとかなるだろうよ。生き返りさえしてくれりゃ、もうふた働きはさせられる。連れて行こう」
 というわけで、ドンに復活の儀式を施した後、虎の姿のドンに美笛を担がせ、一行は南門を目指したのだった。


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最後の戦その7(10月6日午前:シリウスの帰還)――2005年2月26日

 一方。
 砂嵐の次元界にて最後の「瞬間移動」の呪を紡ぎ、一路Aquillaを目指したはずのフレイ・シリウス・アルハンドラ・グンディグート・イリオスの五人だったが……

 砂嵐の復活こそ阻まれたとはいえ――いや、だからこそ――一度は現世に城を出現させるまでになった砂の次元界は荒れ狂い、次元嵐の中で一行はばらばらになってしまったのだった。
 そうして――

 はっと気がついたとき、シリウスは自分が物質界と隣り合ったエーテル界に来ているのに気がついた。どうやらここはエーテル界のAquillaらしい。しかもここは――大道神殿の中か。
 では、うまくいったわけだな。
 そうつぶやいて次元を切り開き、現世に出ようとして、シリウスははっと身構えた。覚えのある、骨まで染みとおるような黒い冷気を感じたのだった。
 振り向けば、彼のすぐ脇に歩み寄ってきたのは人型の巨大な黒い影。闇の冷気を振りまき、大鎌を担ぎ、そうしてシリウスを認め、足を止めた。
 さて、どうしたものか。
 しばらく考えたが、どうもここでは分が悪そうだと思い至り、シリウスはおもむろに次元の壁を切り開いた。
 「僕に用があるのか。だったらついてこい」
 ナイトウォーカーはおとなしくシリウスに従い、次元の壁を抜け、共に大道神殿の内陣に降り立ったのだった。

 「僕に用か?」
 「……ウジャガトクを迎えに来た」
 ナイトウォーカーはその歩みと同様、ゆっくりと言葉を紡いだ。
 「しかし、興味深いな、シリウス。お前は500年前にウジャガトクの配下であり、今なお配下であり続けながら、しかもウジャガトクとは正反対の属性を保ち続けている」
 「……世迷言を!」
 シリウスの顔がこわばるのと反対に、どうやら夜の怪物は薄く笑んだらしい。
 「……私は“東からの刺客”」
 「それが何をしに来た」
 「ウジャガトクの望みをかなえてやろうというのだ」

 ――ウジャガトクは世に並びなき太守、戦士にして魔術師であり、その力は強大、その知恵は深く、そうして己を誇ること限りなかった。そのような男であったからして、当然のように神となることを願った。が、いかなウジャガトクとて運だけは支配することができなかったとみえ、その試みはことごとく潰えた。
 そうして、奴の最後の試みが、広大なネクロポリスの王となり、そのまま年を経ることによって神となるというものだったのだ。砂嵐の宝玉を欠き、その欠片を自らのフィラクタリとすることによって、ウジャガトクはリッチとして永遠の時を許されようとした。――何、なぜ欠片に、だと?砂嵐が封じ込められた宝玉そのものでは、あまりにも砂嵐の影響が大きすぎる。奴は常に自らの唯一の主であろうと望んでいたから、砂嵐の力そのものに触れ、砂嵐の支配下に置かれることを嫌ったのだ。実際のところ、嫌ったはずの状況に陥ってしまってはいたようだったがな。奴は欠片となった砂嵐の力を利用し、支配するつもりだった。が、実際には砂嵐がウジャガトクを支配し利用してこの世への足がかりとしたのだったが。

 ともあれ、奴はお前に砂嵐の宝玉を斬らせ、望むフィラクタリを得た。
 それから地下墳墓を基点として広大なネクロポリスを建設し、殉死させた配下をその住人とした。そうして自分が神として熟するのを待とうとしたのだ。

 ……だが、此度も奴はしくじった。
 砂嵐に利用され、そうして捨てられた。その奴に我らは再び手を差し出そうというのだ。ひとり神になってなんの益があろう。我らが黄泉の軍門に降れ、さすれば黄泉の大臣としての位人臣は思いのままぞ、と。

 そもそも、シリウスよ。
 お前はお前という存在に疑問を感じないのか。ウジャガトクはそこまでして神になろうとした。そうして死者の配下を求めた。だがお前はそれを拒み、ひとりこの世に生き延び、そうしておきながら自分はウジャガトクの配下だという。ウジャガトクはお前の行動を喜ぶか。むしろ我々の申し出を選ぶのではないか。
 我らはウジャガトクを高く買っている。よって奴に黄泉へ下れと説くのだ。お前もウジャガトクの臣下と称するなら我らに従うべきではないのか。

 シリウスはしばらく口を引き結んでいたが、やがて硬い声で言った。
 「あなたがたの軍門に降って、陛下になんの得があるというのか」
 使者は子供に諭すような口調で言った。
 「おお、得はあるとも。奴は黄泉の重鎮として永遠の存在を許されるのだ。奴は何者かになろうとしていた。だが何者にもなれなかった。このままではそのまま滅び、その命の緒はいずれほつれ解け、四散し、無に帰る。何者にもならぬまま、無に帰るのだ。それは奴の一番恐れるところではあるまいか。
 これまでも我らは何度も奴に呼びかけてきた。東に降れ、と。そしてそのたびに断られてきた。無理もない、奴はそういう男であった。そうしてそのころ、奴は力ある王だったのだからな。
 が、ひとたびリッチとなり、その上で力を失い、このままでは無に帰すと知った今なら、奴は我らの申し出を喜んで受け入れるであろうよ」

 シリウスは小さくため息をついた。
 「……僕は、陛下が決して『善き』人ではなかったと知っている。だが、陛下は僕の行いを喜んでいた。だから僕は陛下の配下として間違ったことをしてはいない。
 それからもうひとつ、僕は知っている。陛下は決して誰にも仕えないだろうと。……だが、今なら黄泉に降ることが陛下の望みかもしれないと貴方は言う。ならば、僕は陛下にお伺いしてみたい。陛下のご意思はどこにあるのかと。……仲間に説いてみよう。だから、貴方はもう一度陛下にご意思を問うてみてほしい。陛下が否と言えばそれは今までどおり。もと居た黄泉に帰ってほしい。諾といえば……」

 そのとき、急に表が騒がしくなった。
 風精の爪でやられた傷を癒すために、神殿の聖域を求めてやってきたピーウィー一行だった。
 「とりあえず話はここまでだ。いったん隠れてくれ、仲間たちと話してみる」
 あわてて「黄泉の使者」をエーテル空間に隠すと、シリウスは足早に表に出たのだった。


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最後の戦その6(10月5日午前:西門の戦い)――2005年2月26日

 というわけで、ドンが投げたコインのお告げとは逆の西門の敵に向かうことにした。なにしろ目の前で西方修道会を半壊状態にされた恨みがある。

 しかるべき準備をしかるべきように施して、街を飛び立った。
 目の前に現れたのは4人の雲巨人に守られた一人の術者。どうやら砂嵐の神官といったところ。雲巨人の残りの三人はいざ弔い合戦よといきまく西方修道会だの、雄たけびを上げるカサハ師を先頭に攻め寄せてきたアガーツィアの軍勢だのにかかりきりになっているらしい。

 「へ、さっさとカタぁつけてやるぜ、このくそ坊主!」
 ものすごい勢いでドンが突っ込んだ。その姿は巨大な半人半虎、背丈は雲巨人と比べても遜色はないどころか上回る勢い。そしてその姿にふさわしい、もう呆れるほどの長さの槍があっというまもなく術者の胸を突き通す。が、手応えあり、と思った瞬間、なぜか術者と巨人の一人の位置が入れ替わっていた。しかもその一撃を胸に受けて魂を黄泉に飛ばしたはずの巨人は、一瞬後、それが幻であったかのように傷ひとつなく立ち上がり、身構えている。
 「洒落た真似を!」
 続いてアルカン。美笛。そのたびに術者と巨人が入れ替わる。
 「ええいしゃらくさい!」
 ドンの怒号が咆哮に変わった。とみるや。
 巨人が倒れ、続いて術者が倒れた。その勢いで隣の巨人もなぎ払われる。次の一発でよろめいたそいつにもう一撃。たまらず倒れる二人目の巨人の腹を突き破り、次の巨人の横腹をドンの刃が薙ぐ。あとずさるそいつののど笛を食いきる巨大虎男の牙。

 「……ああ、何かの冗談かねぇ」
 最後に残った巨人を殴り倒してアルカンがつぶやく。とはいえ、こちらも背丈5mをゆうに越す相手を三節棍ひとつで殴り倒してのけているのだから、これもまた別種の冗談に見えても仕方がないのだが。――ともあれ、巨人四人と術者が目の前から消えるまで、ものの十秒かかったかどうか。
 術者の一段の後ろに控えていた風精の一団も――人間と同じ表情の持ち合わせがあれば、おそらくそんな顔をしていたのだろう。ともあれ、煙の風精と『破壊の紡ぎ手』が霧消するまでさらに十数秒。不浄なる風精の爪に引き裂かれ、通常の手段では治りそうにない傷もいくつか蒙ったが、誰一人命を落とすものもなく一行は風の急に弱まった空に立っていた。挙句、地上に倒れた術者の身包みに何か役に立つものが入っていたら大変だ、ピーウィーお前奴の懐を検めろ、俺が手伝ってやるなどととんでもないことをクラーレが言い出すのをどやしつけたりしながら、飛び出した三十秒後には一行、街へ舞い戻っていたのだった。

 「どうだ、レッドディガー。なんとかなったろうが」
 なにやらいきなりすっきりしてしまった西の空を見やって、ドワーフの大将軍閣下はつぶやいたのだった。
 「なぁドンよ、あんたがモンスターだと名乗ったところで俺ぁ驚きやせんが」

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posted by たきのはら at 14:32| Comment(7) | TrackBack(0) | Aquilla血風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

最後の戦その5(10月6日午前:開門!)――2005年2月26日

 窓から身を乗り出すようにした一同の目に映ったのは、西門――西方修道会のキャンプを中心とするあたり一帯に立ち込める黒雲。四方閉ざす空の中からまるで命あるもののように黒雲が湧き出してくる。

 「『暴虐の嵐』だ!!」
 掠れた悲鳴のように誰かが叫んでいた。
 「雷鳴は耳を聾し、酸の雨が降り注ぎ、その次は六本の稲妻、たたきつける拳大の雹、そして車軸を流すような雨が……」
 あっという間に一同は窓から飛び出し、街中を走り始めていた。何をどうできるものでもないかもしれない、間に合えば助けられるかもしれない。アルカンなぞ有無を言わさずピーウィーを担ぎ上げると、あろうことか屋根伝いに走り出した。それこそ無人の平原をゆく勢いで。

 アルカンが修道会のキャンプにたどり着いたときには、ちょうど六本目の稲妻が落ちきったところ。雷鳴の轟音に耳を潰された騎士たちが右往左往している。逃げろ逃げろと家屋の扉を指差すと、それに気づいたカルヴェイン卿が剣を打ち振る。とはいえAquillaの家には板屋根や日干し煉瓦の壁で造られたものも多い。そこここから悲鳴や怒号が鋭く響く。
 それが止むと――あとは雨である。
 打ち砕いたすべてを泥に埋め、流しつくすような雨――

 残りの三人がその場にたどり着いたのは、もう全てが砕け流れ始めてからだった。やがてその雨も上がる。
 最初の稲光がひらめいてからわずか1分。
 それだけの時間で、かつては壮麗を誇ったAquillaの四分の一が血と泥の海の中に沈んでしまったのだった。
 「――見たか?」
 立ち尽くす仲間たちの姿を認めて歩み寄ってきたアルカンが、最初に発したのはその言葉だった。
 「何を」
 「今の雨の元凶だ。――ああ、あんたたちが着いたときはもう雨になっていたのか。では仕方ないが……どうやら術者がいるようだ。7人の雲巨人に守られて、なにやら一匹ろくでもなさそうなのが呪文を唱えている姿を、ちらりとだが、確かに、見た」

 ……やれやれ、やっかいなことになったな。これでは一般人をまもることすらできないじゃないか。
 ピーウィーはつぶやくと、やおら顔を挙げ、神に伺いを立てた。
 ――大道神よ、あなたの御名の刻まれたあの門扉、今こそ開こうと思うがその良しや悪しや
 ――良し
 
 おい、どうするんだって?
 誰かが聞いた。
 どうするかわからないから開けるんだよ。城の中に居さえすれば一般人は安全というのならまだやりようはある。だが、今みたいなのをあと三回ぶちかまされりゃぁ……戦いの技を持っていたって歯が立つもんじゃない。できることはやっちまおう。これより悪くなりゃあしないだろうさ。

 というわけで、蔵に戻る。
 呪文をかけて少しばかり腕力に上乗せしたドンが巨大な門扉に手をかけると、それはあっさりと動き出し、そうして蔵の向かいの壁にあっというまに二枚の門扉が立てかけられたのだった。
 ――さて、普通ならここでこいつを開けようとすれば倒れてきちまうが、もしこれが本当に魔法の門なら、蝶番で止められた扉のように開くはず。
 そうつぶやくとピーウィーは高らかに大道神殿の「日々の祈り」を唱え始めた。
 「……それでいいのか?」
 問うアルカンに、目だけでにやりとわらって答える――アガーツィアならいざ知らず、どうせうちのカミサマだ。めんどうくさい儀式などもとより決めているわけもないんでな。とっとと開けちまってくれ。俺は手が届かんのだ。

 その様子を見た美笛とドンが、これまた無造作に門を開けると、門はかすかに軋んで開き、その向こうに開けた茫々たる空間から鬨の声と馬蹄の響き――ではなく、街道をゆく行商人たちの歌声が聞こえてきた。そうして、手に手に得物を持ってこの世へと踏み出してきたのは、なんと大道の信徒たる行商人たち。あっけにとられた一同の目の前を、その列は延々と通過してゆき、ついには1000人になんなんとする大キャラバンが荒れ果てたAquillaの広場に姿を現したのだった。キャラバンがすっかりこの世に姿を現してしまうと、駱駝の背に乗ったキャラバンマスターらしき男は声高く呼ばわったのであった。曰く。
 ――我らはこの地を四方の辻と定め、市を開くことに決めた。市となる地ならば守らねばならぬ。皆心してかかれ!
 おう、と答える1000人の声。
 呆然としていると、扉の向こうの空気の流れが変わり、今度は別の姿がこの世に姿を現し、そして「ふぅ、どうやら間に合ったな」とつぶやいた。
 純白の駱駝にまたがり、純白の鎧を身に付けた男。
 「……カサハ師?」
 なんとも形容のつかない調子で、誰かがアルハンドラの師匠の名を口にした。
 「おう、しばらく留守にした。このことありと知っていたから、俺は言ったのだ。次は我を生き返らせるな、と。
 今はアガーツィアの膝元にて過ごしている。まだ同じようなのがいくらも来るぞ。先に到着したキャラバンもそうだ。大道の次元界にて過ごす誓願者たちだよ。我らはAquillaの主神の軍として訪れた。彼らもまた辻を守るためにやってきている。悪魔どもも手を焼くだろうよ。なにしろ我らはそれぞれの神の元で過ごしているのだからな、現世の迷い多かったころとは一味もふた味も違っている」
 そう言うと、カサハは笑みを浮かべ、次々と広場に流れ出してくるアガーツィアの軍勢を見やって目を細めた。
 「小物たちは我らが一手に引き受ける。御身らの足手まといはもう居らぬぞ。安心して大将どものみを狙え」


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最後の戦その4(10月6日朝:カセツァート邸)――2005年2月26日

 館の門前を守っていたのは馴染みの女戦士、シェーラだった。
 一行を認め、考え得る限りの戦装備に身を固めた異様な風体に一瞬眉を顰め……そうして口を開いた。
 「……フレイは?」

 「おお?開口一番それか」
 クラーレの笑みが口元から顔全体に広がる。
 「名声が高いってなぁ、すごいもんだな。そらそうとあの男はこの次元界にゃあもういないぜ」
 「なんだって!?」
 「ここに座り込んでお出ましになった敵をたたき返しているだけじゃあ埒があかねえ。アルハンドラやグンディも一緒に、砂嵐の次元界にご本尊を叩き斬りに行った。だからここにはいない」
 「……どうして止めなかった!?」
 「何を勘違いしてるんだ。奴は砂嵐を斬りにいったんだぜ?攻められる奴は攻め手に回る。そうして俺たちは街の守り。ああ、俺たちじゃ不安かい?」
 シェーラ、一瞬言葉に詰まるが、無理やりのように唇を笑みの形に曲げた。
 「いいや?一流どころが最大の防御をやってくれてるというのだから、何の不安もあるものか。前線の後ろに半端ものが残るのは理の当然、というわけで……で、公に面会だって?」

 通されたのはカセツァート公の寝室だった。
 公は香料の焚き染められた寝具に横たわっていたが、一同が入ってゆくと病み衰えた顔をこちらに向けた。やつれているとはいえ、確かにその目には西と東の間でAquillaの地位を守り、世界の辻を維持してきた政治家としての力が戻ってきていた。

 「……お前たちか……儂に何の用だ」
 一同の中に見知った顔――あのとき公はその連中を謀反人として追放したのだったが――を認め、公が最初に発したのはその一言だった。
 「太守殿、まぁお心静かに。私は大道神殿Aquilla管区長マイヤンツの後を告いだピーウィーと申すものにござります……」
 答えてピーウィーが口上を述べだした瞬間、公はがばりと寝具を跳ね除け、身を起こした。
 「マイヤンツ、マイヤンツ、奴が、ああ、あ奴めが儂の言いつけにしたがっていたなら、さもなくば言いつけを違えた旨を儂に伝えていたなら、それとも……そのような罪は犯せぬと儂を諌め、娘を連れ帰ってくれていたなら……このような災いは起こらなかったものを。よしんば起こったとしても、親としてこのような悲しい思いはせずに済んだものを!!」
 ほえるように叫び、そうしてぼろぼろと涙をこぼし、声を放って公は泣き始めたのである。おもわず後ずさる一行。一人、クラーレは心得顔でうなずいて静かに竪琴を構える。
 「太守殿、どうかお心静かに。この世に心を乱すものは多く、心を悲しませるものもまた多い。だが楽の音は心の雲を払い、悲しみを鎮め、正しい思いを導きましょう。どうかお心静かに……」
 あのクラーレが奏でているとも思えない清らかな音楽が流れ出し――ややあって、公はまた寝台に静かに身を横たえた。
 「――すまぬ。Aquilla太守ともあろうものが、つい取り乱した。ピーウィー殿とやら、急な訪ないの訳を聞かせてはくれまいか」
 「……公にお伺いしたいことがございます。大きく分けて二つ。ひとつには、昨日お開けいただきました蔵の中にあった門扉のことでございます。あれはいったい何で、どのような目的で用いるものなのか。ふたつめは――公の昔語りをお伺いしたい」
 ピーウィーが言葉を継ぐ後ろで、アルカンが横目でクラーレを睨んでいる。――こいつ、こともあろうに呪歌で公の心を鎮めおったな。そのうえ……なんだね、ひょっとしてついでに心を操っていはしないか?
 その視線に気づいたか気づかぬか、クラーレの口元には人の悪い笑いがこっそり張り付いている。

 「門扉か。あれはAquilla建国のときに鋳造された「次元の門」だと伝えられている。
 Aquillaが諸王の軍勢に取り囲まれ、我らに与する軍の到来の兆しなく、座して飢えるのみとなったとき、この門を開けよと。この門は『千の交差点』と称される大道の次元界へと開き、アガーツィアの大天幕から我らの父祖たる英雄たちが輝ける甲冑に身を包み、時と次元を超えて我らのもとに現れると言われている。
 そうして……昔語り?」
 「順を追ってお伺いいたしますので、お答えいただきたいのです。
 まず、砂嵐がはじめて貴方の夢に現れたのはいつか――ああその」
 公の表情が急にこわばったのを見て、ピーウィーはあわてて言葉を継いだ。
 「申し訳ありません、公がその……ご病気の間に、私どもは私どもであれこれと情報を集め、考えなければならない状態に陥っておりました……それでその、ここにいる者たち全てに、マイヤンツから聞いたことを私は話してしまっているのです。ですから……本来は包むべきことと承知してはおりますが……その」
 「……そうか、ならば今更隠し立てもできまい。皆で聞くがいい」
 病身の太守は啜り泣きにも似た吐息をつき、そうして語り始めた。

――あれは祝いの宴の晩だった。Aquillaを訪なうばかりでなく、この地に住まいを構えるものも増え、そうして子供の誕生も間近とあって、近年まれに見る賑やかさだった15年前の収穫祭の晩だった。
 夢に禍々しい姿が立ち、砂嵐と名乗って告げたのだ。
 お前には双子の娘が誕生しよう、そのうち一人をわがもとに差し出せ、さもなくばお前の命も街の運命もこれまで、と。
 娘をわがもとに差し出せとはすなわち砂嵐の生贄とせよとのことだと儂は聞いた。恐怖にさいなまれた挙句、儂はマイヤンツにその役を命じた。だが、儂は願っていたのだ。マイヤンツが生きたまま娘を砂漠から連れ帰ることを。娘がいずれ砂嵐に取られるのであろうと構わぬ。Aquillaが滅びようとそのときは構わぬ。少なくともその日まで、儂は娘を娘とし、娘は親を親として暮らせたろうに。
 だがマイヤンツは儂をたばかり、娘を砂漠に置き捨てておきながら、そうは言わなかった。結局のところ、砂嵐にとっては娘が生きていようが死んでいようが構わなかったのであろう。ひょっとしたら生きたまま置き捨てにされて、奴にとっては手間が省けて幸いだったのやも知れぬ。
 あの子は砂漠の民に拾われ、育てられたと聞く。
 願わくば……せめて砂漠の民として幸せであってほしかったが……だがそれも適わなかった。いつごろからか砂嵐がまた私の夢に立ち、儂を嘲った。その意味が知れたのは、あの子が暗殺者として私の目の前に現れた、あの日だ。あの子は儂に直面し、儂を罵ったのだ。お前は偉大なる父祖の築いたAquillaの街を灰燼に帰し、歴史に類なき愚か者よと永劫に罵られ、さげすまれ、侮られるがよいと。言葉はわからなかったが意味は不思議と知れた。あれは思えば砂漠に古くから伝わるねじくれた闇の呪いの言葉だったのだろう。
 思えば砂嵐がただに手をこまねいているはずがない。奴は何も知らぬ娘に吹き込んだのだ。お前は本当はAquillaの姫であったのだと。父親の怯惰のゆえに砂漠に置き捨てにされたのだと。それから15年、あの子がどんなおもいではるか砂漠の風の中からAquillaの灯火を眺めていたかと思うと……

 あとは言葉にならない。
 クラーレの奏でる音の力でさえ、もはや支えきれぬのか。公は寝具に突っ伏し、またおうおうと泣き始めたのであった。

 「だがそれは……」
 誰かが言葉を継ごうとしたとき、中庭から突然シェーラの叫びが響いた。
 「あれを、西の空を!!」


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最後の戦その3(10月6日朝:扉のいわく)――2005年2月26日

 一方、ピーウィーはというと、アガーツィア神殿を訪ねていたのだった。
 開かせた蔵の中には、たいへんなものが鎮座していた。――門扉である。麻布でしっかりと包まれ、アガーツィア神殿名代と大道神殿名代の名において、と遥か昔の日付を添えて封印を施された巨大なものが壁に立てかけられていたのでほどいてみれば、なんと片側にアガーツィア、片側に大道神殿の紋章が記された両開きの門扉ではないか。
 これに由来のないわけがない、と思ったピーウィー、神殿の歴代の記録を紐解いては見たが、なにしろ大道神殿のやること、たいしたものは残っていない。というわけでアガーツィア神殿にかけこんだのだった。

 神殿の書庫係はその話を聞くと、すぐに書庫の奥からAquilla全史・第零巻と記された巨大な本を持って戻ってきた。そうして慣れた手つきで頁をめくる。
 「……おそらくは、これのことかと」
 第零巻、最終章。そこに記されていたのは、一篇の詩であった。

 われらこの地に壁をめぐらし、街を築くものなり
 四方の壁に門を開き、この街を世界の辻と定めん
 門は常に開かれてあるべし
 この街の辻たる姿を保つべし
 もし門が失われ、さらに門を開かんとするならば
 この門を開くべし

 「……なんだ、こりゃあ」
 ピーウィーは首をひねった。大道神殿の神官たるもの、書庫に眠らせるべき記憶などとは相性が悪くあるべきなのであるからして、よってピーウィーにはこの詩が何を言わんとしているのかさっぱりちんぷんかんぷんなのであった。
 「つまり、なんだな。
 もうちょっと俗世の言葉でものを言ってくれそうなお方に会いに行くとするか」

 というわけで街に残っているはずの仲間をかき集めにいく。
 なに、集めるまでもない。山形の宿の前の広場で四人はせっせと戦の準備をしていた。
 「おい、あんたら何をしてるんだ」
 「何って、見てのとおりじゃねえか。アルカンが師匠の猿殿からそれぞれの敵の面つきを聞いてきたっていうから、どっちからぶっ潰しに行くか相談してたところだ」
 「……で、どうすることにしたんだよ?」
 「どっちも厄介にゃちげえねえ。こりゃ単に好みの問題だろうってんで、さっきコインの裏表に聞いてみたら、南からつぶしやがれとよ。そしたら通りがかりのレッドディガー将軍殿が俺たちのことを気違い呼ばわりしやがる。だったら何か、ここで首でもくくろうってのかよ、腰抜けめ」
 「……まぁ、待て、ドン。幸い悪魔どもは今は攻め寄せてくる気はないらしい。で、だ。時間があるうちにカセツァート公にいろいろと問いただしておきたいことがあるんだが……できればみんなにも聞いておいてほしいんだがな」

 というわけで、一行五人、Aqulla領主の館を訪なったのだった。


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最後の戦その2(10月6日朝:五花会幕屋)――2005年2月26日

 ひとわたり歌い終わったあたりで、クラーレに声をかけたものがある。アルカンだった。
 「老師たちにご意見を伺いに行く。一人よりは二人のほうがこの際、なにかとよかろう。来ないか」
 「意見?」
 「帰国しようとする旅団が全滅してから、老師たちは街のそこここの戦闘を『観』つづけているはずだ。――あの方々は本来そういう役目が主であったのだからな。だから、てっとりばやく様子を知るには老師たちのもとに伺うのが一番よかろう、というわけだ」

 荒れ果てた東門の内側、壁の下に五花会の仮幕屋は設けられていた。
 ――敵か。敵は、西門の彼方と南門の彼方に陣を張っている。
 アルカンの問いに答えて、サルのような顔の老人、桂花老は語り始めた。

 ――西門の敵は『嵐』だ。見遥かせば門の彼方には竜巻が荒れ狂い、もうもうと立ち込めた砂埃の中に時折顔のようなものが浮かぶ。あれは悪しき風精の輩に違いない。属性はおそらく『風』と『煙』。斬れば手ごたえはあるが、なにしろ精霊のこと、急所などは持ち合わせない。そやつらを統べるのは悪意ある大嵐(テンペスト)。自らを砂嵐の五の翼と称し、『破壊を紡ぐもの』と名乗る。
 ――南は。
 ――南は天駆けるけだものどもの軍勢だ。黒いルフ鳥の群れ、そして、かつてここよりさらに西の古代王国を滅ぼしたと称される、垂れ下がったくちばしを持つ寧猛なる怪鳥、ペルトン。これを率いるは黒いスフィンクス。その名をリグジットと名乗り、砂嵐三の翼と称する。
 ――スフィンクス。……何か洒落た魔法でも使って寄越しますか。
 ――あからさまに使いはしないがな。奴は歌うのだ。戦いに荒れ狂いながら、砂嵐の名を讃えたからかに空に叫ぶのだ。その声をまともに耳にしたものはあまりの禍々しさにその場に倒れ伏し、そのまま息絶えてしまう。なにより、奴らは……まごう事なき我らの仇。
 ――それは……旅団の?
 アルカンの声が、ふ、と刃を帯びる。
 ――そうだ。東から攻め寄せ、帰国する我らの同胞を一人残らず砂漠の芥に変えてのけた。その勢いをかって東門をひと渡り荒らした後は、この場によく敵とすべきものなしと見てこの門を打ち捨て、南門に陣取った。
 ――ほう。では特に心してかからねばなりませんな。
 ――特に、ということもなかろうよ。あの時奴らと行き会った同胞は、ほとんどが戦いを生業とせぬものばかり。奴らにとってはAquillaまでの速駆けの最中に、爪先にまつわった小鼠を踏み潰したほどにも感じられなかったやも知れぬ。
 答える桂花老の声は、苦い思いを飲み込みすぎたか、しん、と冷たい。

 「だが、お前たちも随分と活躍したようではないか」
 戸口から気配もなく入ってきて割り込んできたのは李韓愈。
 「二の翼とやら名乗る大層な押し出しの堂々たる大悪魔、片手に大剣、片手に燃える鞭を振り回し無数の悪魔を従えた大将軍殿が頑張っていたが――どうやらこの間から出てこない。おかげで戦線から悪魔の姿が消えてそれなりに風通しがよくなったよ。なんでも……ほれ、扶桑から来た小娘にずいぶん手ひどくやられて自信喪失したのだとか」
 「……ああ、あれですか。実際に奴を半殺しにしたのは俺の仲間の虎熊男なのですが、小娘のほうがいけませんでしたか。誇り高い悪魔殿も難儀なことですな」
 クラーレが言ってのけ、アルカンに睨まれる。それを小さく笑って流すと、李老師は懐から一枚の紙を出してクラーレとアルカンの前に示した。
 「これは」
 「Aquilla全地下水道図。私が調べ、そうして泣き女の信徒もエィリーノアの信徒も知らぬ道筋を繋いだ。守りの呪符もおいてある。おそらくまだ敵の手には落ちていまい。これを使えば――逃げられる」
 「出口は」
 「カナートを遥か東にたどり、街からおよそ10マイルの地点に出る。そこからなら砂嵐の軍勢ともかかわることなくこの地を離れられよう」
 「では、行かれますか」
 「留まっても我らに益はあるまい。ただひとつ気がかりなのは『神殺しの剣』のゆくえ。その剣は本当にあるのか。あるとしたらどこにあり、そうしてその剣はどこへ行くのか――」
 「ならば心配はご無用。剣は存在し、発見され、ある男の手にあります。その男は現在砂嵐を斬りに次元の彼方に飛んでおります。そうして……その男の望みはおそらくAquillaを守ることである以上、剣は、どこにも行きますまい」
 アルカンの答えに、李老師は静かに頷いた。
 「わかった。ならばこの地における我らの使命は果たされた。行こう」

 「使命は果たされた、と仰いましたな」
 立ち去りかけた李老師の背中にアルカンが呼びかけた。
 「では、私の務めも済んだと考えてよろしいのですな?」
 「そのとおりだが……では?」
 「では私はここでお別れいたしたく」
 「……なに」
 「このアルカン、この地に未練を残しております。つまり、脳天を打ち砕き、脳味噌をぶちまけ、内臓を引きずり出してやりたい相手が門の外にのさばっておりますゆえ」
 老師たちは言葉もなくアルカンを見やった。最初にため息をついたのは桂花老であった。
 「おお、年をとるのはまったくもってよくないものだな。若い者が自分より先に死んでゆくのを幾度も見ねばならぬ。……アルカン、お前までもこの老骨の先に逝くのではないかとまた心を痛めねばならぬのかの」
 「ご心配無用。このアルカンという男、命汚さにかけては人後に落ちませぬ。幽明の境を越えること数度、そのたびに戻ってきておりますゆえ」
 クラーレが相変わらずの笑みを貼り付けたまま言う。アルカンの頬を一瞬にやりと笑いが翳め、そうして老師たちに一礼。

 「では。お心を痛めぬよう努めますゆえ」
 「待てアルカン。ならばこれを持ってゆけ」
 声をかけたのはどちらの老師だったか。差し出されたのは薬酒に魔法の篭められた指輪、そうして一本の六尺棒。
 「銘は『竜行天下』。悪しきものを打つならただならぬ真価を発揮しよう。……では。生きて帰れ、『東方不敗』よ」



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posted by たきのはら at 11:19| Comment(4) | TrackBack(0) | Aquilla血風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

最後の戦その1(10月6日:明け方)――2005年2月26日

 押し殺したような沈黙の向こうから、夜が明けてこようとしていた。

 ――沈黙。そう、沈黙だった。10月5日の午後、姿を現した砂塵城にフレイたち五人が吶喊をかけ、しばらくしたと思うと、今まで悪意を持った津波のようにAquillaの街を押し包んでいた砂嵐の軍勢が何を思ったか急に城門から数マイル程の場所まで退いていったのだった。
 魔界の軍勢は、そのまま、去っていくでもなく、攻めてくるでもなく、ただAquillaをねめつけていた。黒い不浄な質量がAquillaを取り囲み、その煮えたぎるような悪意だけがひしひしと街に押し寄せ、街の生き残りの心をしめあげていた。

 突如、風琴に導かれるように歌声が起こった。
 西門。
 西方修道会の修道騎士たちの歌声だった。今ぞわれらの時の来たれり。今ぞわれらの輝かしき験しの時来たれり。われらが信仰のよって立つ大いなる御力よ、いまこそわれらにそのみわざを示したまえ。われらの行くべき道を示したまえ。われらかりそめの死を恐れず、わざわいの地にわが身を遣わしたる御力をよろこびもて讃えん……

 その歌に気づいたか、道端で、崩れた建物の影で、人影らしきものたちはようよう顔をあげ、しかしまたうつむいてしまう。……だめだ、神の名の下に戦って死ぬのが何よりの喜びだなんて連中は勝手に歌わせておけばいいが……俺たちはどうなるんだ。死ぬのか。ここで死ぬのか。死ぬんだな。ああ、ほかに道などあるものか。
 
 そんな彼らの絶望を意にも介さぬ勢いで駆け回っている数人の男たち――いや、小娘もひとり混じっているか。
 大道神殿の名代がカセツァート公に掛け合って王家の蔵を開かせたという。
 その名代の一党――どうやらフレイ一党のうち砂塵城攻めに行かなかった半端ものばかりらしいが――が嬉々として蔵に入り、いまさら何の役に立つとも知れぬような代物をせっせと装備しているとか。

 ……ああ、気が違ったのは修道騎士どもばかりじゃないってことか。
 重苦しいため息が街を覆う。

 「……お前らばかりが元気そうだな」
 ピーウィー、アルカン、ドンにクラーレ、それに美笛が忙しく走り回っているところへ、憔悴しきった顔のレッドディガーがやってきた。なんとか生き残りで戦えるものたちを取りまとめようと努めてはいるが、皆一様に逃げ腰でどうにもならないのだという。
 「どういうことなのよ。いまさらどこに逃げようというの?」
 「カナートだよ。Aquillaを捨て、カナートの水脈を通って山に逃げようとみんな話している」
 「……逃げられるとでも?」
 「戦えるとも思っていないのさ。だったら少しでも生き延びられるかもしれないほうに賭ける。……責められるものか」
 「戦えないと決まったものでもなかろうが」
 言い放つドン。レッドディガーは心底呆れた――というよりは幾分怯えさえ混じった目でその顔を見やった。
 「正気か、あんたは」
 「……なんとかするしかなかろうが」

 はいはい、その前に俺の出番だね、とクラーレがにやりと笑った。
 「いけないねぇ、敵のことを忘れちゃ、さ。連中が何したと思ってるよ?街は壊す、坊さんたちは殺す、随分なめたまねしてくれてるじゃぁないか。それをほっといて怯えてるってなぁ、こりゃ人としてどうかってもんだよな」
 言いながらもうひとつにんまり笑い……歌いだす。

 思い出せ、思い出せ、奴らが俺たちから奪ったものを
 思い出せ、思い出せ、俺たちの力と誇りを
 思い出せ、思い出せ、俺たちの怒りとその行くべき先を
 思い出せ、思い出せ、俺たちの足、俺たちの刃の行くべき先を

 朗々と街路に流れる歌声。
 ようよう、人々の目に光が戻る。――これでいい。こんなときなら怒りや憎しみもいいだろうさ。恐怖をねじ伏せるためなら、さ。



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posted by たきのはら at 10:59| Comment(3) | TrackBack(0) | Aquilla血風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年02月27日

最終回前口上。

というわけで。遊んできましたAquilla最終回。
今回はPL参加しなかった人もギャラリーで顔を揃えて、レギュラーメンバー一室に揃いぶみ。

叫んだり笑い転げていたり、イイ感じの台詞もアレなシーンも満載で(今度は熊とドラゴンががっぷり四つに組んでました。熊がドラゴンをピンしてました。ええ。)、そしてエピローグまでが語られたのはちょうど夜の11時。

ホントはもっとみんなと話していたかったけど、電車もなくなっちゃいそうなので一足先に会場のDM宅を後にして。

今は帰りの電車の中で、せっせと携帯で前口上を作成しているところ。SeeSaaが携帯対応でホントに良かった。

楽しかったですよ。もう、ホントに。

次元の交差点に開かれた門の向こうからやってくる誓願者達の軍隊。
吹き荒れ、Aquillaの四分の一を泥海に変えた『暴虐の嵐』。
対して嵐の軍勢を三十秒で滅ぼし去ったPC。
たったひとつ現世に残った鈎ヅメに最後の望みをかけて戦う神。対するは神殺しの剣を持つ男。


そして。
そして。

まだ『終わった』という感慨は、実のところ、ありません。
まだあの数時間を文章にしてないからかな。
もう一度、展開させ、記録するのが残ってるからかな。

単に反省会せずに離脱したから興奮が残ってるだけ、かもしれないけど。

ともあれ。

大満足のキャンペーン、そしてめちゃめちゃイイ感じのセッションでした。

DMやPL仲間のみんなに感謝。

それじゃ私はもうひと勝負。記憶と演出と記録と…。
こっちのほうも楽しんで書いていくつもりなので、ヘルプのほう、どうぞ、よろしく。
posted by たきのはら at 00:03| Comment(3) | TrackBack(0) | Aquilla血風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年02月23日

そろそろ準備を始めないと……

 というわけで、26日、Aquilla最終回。たぶん。
 長い間、大事に大事に遊んできた、って感じがあるので、最終回が楽しみなようなもったいないような。

 そうして、ホントに「もったいない」ことになっちゃったら悔しいので、これまでの記録を総ざらえして、自分たちが使えるはずの有利な条件は活用したい……のだけれど。自分の書いた記録を読み返してみれば、なんということかアイテムとかのデータは見事にすっとばしているのよね。

 うーむ、キャンペーンはどのように長期化するかわからないので、セッションごとに「物語」「作戦」だけでなく、収支も記録しておかないとなんだねぇ。特に記録者を自任(ひと様はどう思ってるかわからないけど)するつもりなら<何を今更当たり前のことを(汗

 本業がちょっとバタバタなのであんまり時間取るわけにもいかないから、一日一時間。計三時間かけたらなんとか浚えるかなぁ……うあ、これじゃ「ああ、あのときあの試料があったときにあのデータも取っときゃよかった」ってアレと一緒じゃん。よくないよくない。
 ともあれ、今回は頑張っておさらいして、あと、次回からは何か記録フォームでも考えようかな。……どっか参考に出来るところとかないかなぁ。

 そらそうと、こねずみはじめました。
 古いお城のすみっこに棲み付いてるこねずみ、って感じで。エントリとかコメントとかは勝手に書いたりはしませんが、なんというかつつくたびに怪しい台詞を口走りますです。

 ……それにしても、動き方とか隠れっぷりがなんともねずみっぽくてよい感じ。このちまちました感じはBALB/c系かしらん。少なくとも図々しいddYではないわね<をい何の話だ(汗
posted by たきのはら at 14:44| Comment(6) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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