2004年12月17日

山形の酒場にて――2002年2月6-8日


 9月19日午後、山形の酒場にて。
 思い思いに一休みしたり、一時はこのまま妖精界の塵になるかと思われたクラーレをもう一度この世に引っ張り出すための蘇りの祭儀の準備に追われたりしている一同。何があったと問われて小娘剣士がしゃべりだす。

――何があったって?そらもう酷い目に。

 初手はさ、ここの軍曹さんの依頼でオルシントン村で見えたとかいう怪火の火元とやらを調べに行ったのよね。なんか、滅びたはずの村が改めて燃えていたから怪しいとかいうんで。
 そしたらさー、悪魔の大将さん含めデーモン御一行様に遭遇だわよ。
 そのときあたしらあんまり人数いなかったんで逃げ帰ってきちゃったわけ。

 で、報告もするかしないか(<してないよ)ってうちに、メイさんにつきあって赤馬ガ丘まで出かけたの。何でも運河の水が紅くなったら赤馬が丘を守れ、みたいな伝承があるんだとかで。
 そしたら、ついさっきあたしらを追い返してくれたデーモン御一行の片割れらしき人たちに先行されちゃってさ、あたしよく知らないんだけど、ほかのみんなは恨みあるみたいね?えーと、ダイソンさんとかいう人たち。

 で、何だかしらないけどとりあえず先行させちゃまずいんだろう、ってので取るものも取り敢えず追い掛けたら、異界への抜け穴をくぐっちゃってさ、妖精界とやらに行ってしまったの。
 そこで、ダイソンさんたち御一行のうち半分はぶっちらばったんだけど、連中、斬られる前にあたしらの帰り道しっかり壊してくれちゃってさ、(あれ、連中がやったんだっけ?違う?)立ち往生してたら、アルハンドラさんとかアルカンさんとかが助けに来てくれたの。

 けっこう情けなかったけどさ。グンディグートさんが、首から「助けてくれ」って書いた札ぶらさげて、「これで連中がこちらを調べてくれなかったらただの阿呆だな」とかいって。

 あ、そだ。話がいっこ飛んだわ。
 ダイソンさん御一行が狙ってたのが、どうもあっちにいるシリウスさんって浮き世離れしたお兄さんらしいんだわ。
 で、あのお兄さん、実は例の地下墳墓の主の太守様の近衛兵、なんだそうな。
 件の太守様、ギルシアスとやらが側近に入ったあたりから悪趣味が度を越すようになって、目玉お化けとか炎巨人とかと友達付き合い始めたんだって。
 で、ついには自分の身の回りの人間を全員殉死させて、「私が蘇る時にはお前達もまた蘇って私に使えるのだ」とかほざくようになったんで、シリウスさんは「わたしは生きて太守様にお仕えしたい」っていったら、妖精界に飛ばされて今まで眠り続けるはめになったんだと。
 そこを、あたしたちが一緒にこっちに連れて来たって訳。
 あ、いっとくけど、彼を起こしたのはあたしらじゃないよ。「目覚めるべき時だったから」とかなんとか、これはダイソンさん御一行が何やら云ってたんで、あたし自身は詳しいことわかんないけど。

 てーことはさ、つまりぃ、お墓の中であの超悪趣味太守様がそろそろお目覚めになっちゃうんじゃないか、とか、目覚めた時にはなんかとんでもない武器とか抱えてるんじゃないかとかね。
 んー、なんかさ、シリウスさんが妖精界に飛ばされる時に、相当の技モノらしいカタ……剣で宝玉を斬ったらその勢いで別世界に飛んだとか、そういう経緯があるっぽいからさぁ……
 太守様、復活するつもりだったらまさか丸腰で寝てやしないよなぁ、とか思うわけ。
 あ、シリウスさん、その剣持って落ちて来たわけじゃあ、ないよね?それとも持ってる?

 あと、赤水ってのが赤馬が丘を守れという警告になる、ってのはつまりシリウスさんが目覚めた後無事に出て来れるようにしとけ、ってことかもしれないよね。
 てーことは、太守様の復活のきっかけ、もしくは復活がきっかけとなって赤水が出たってことかもしれなくて。かなりヤバくない?

 ヤバいっていやあ、あの第七層、やったらヤバいもんばっかりあったわよね。
 首だけ内臓お化けとか目玉お化けとか。
 で、最近あのお墓の中に出るものが凶悪化してて、さらにどこぞが封印されてるってーと、誰かが開けちゃいけない扉でも知らずにあけて、出るもんが飛び出しちゃった後、慌てて封印したあと、とかかな?ほら、あたしら首だけ内臓お化けのドア開けて、そのうえ開けっ放して来ちゃったみたいに。
 あ、だとしても今回はドア閉じてるのか。ドアどころじゃないけど。
 でも、せっかく閉じたんだったらついでに太守様も封印しててくれればいいのに。悪趣味は御免だな。でもそれだと……あ、いや、こっちの話。

 あ、今度は話がずれたわ。
 で、運良くアルカンさんがこっちを見てくれる気になったもんだから、あたしら、助けに来てもらえて、それで、今度は帰ろうってことになったんだけどね。
 その時に、今度は神霊界とやらを通ることになっちゃったんだわ。
 そしたらそこじゃあ神様とデーモンの戦争の最中でね。
 とっとと逐電しようとしたのに巻き込まれて、えらい目にあったわ。砂嵐の精とかにかかってこられちゃって。

 でもまぁ、あたしら、妖精界で砂嵐の精の巫女さんらしきひとぶった斬ってるから、向こうもこっちに恨みがあったかもしれないけど。
 でも、その巫女さん、結局生き返ってどっかに行っちゃったんだから、あたしらに何もかかってこなくったって、ねえ。どうかと思うわ。
 あ、だけど、生き返らせられる時その巫女さん、結構迷惑そうだったからね、ひょっとしたら相当ヤな奴かな、砂嵐の精って。

 その巫女さん?ああ、ヘンウェンさんっていって。ダイソンさん御一行の一人だよ。

 あ、それで、神霊界って、こっちと一部重なってるんだってね。
 それで、そこを通ったらしいんだけど。
 だとしたら、オルシントン村の火元……ああ、火元は結局火を吹くザリガニに似たデーモンだったんだけど、って、つまり迷子デーモンだったのかしらね?

あと、これは全然勝手な憶測なんだけどさ、あたしの生まれたとこじゃ、「神様同士が戦争すると、地上の川がその血で紅く染まる」なんてなことが云われてたりするのよね。ひょっとしたら、赤水って、件の神霊界の戦争が元かなぁ?戦ってた神様って、ほら、ここの主神のアガーツィアさまだったし。

 やー、それにしても、悪趣味太守の復活前にどうにかしないとねえ。
 偉大な人かもしれないけど、あそこまで悪趣味になっちゃ人間終わりよね。
 それがフルパワーフル装備で復活された日にゃあ……それがひょっとしてもうそのへんまで復活しかかってたりしたら、今さら逃げても間に合わないって気ぃするし?
 だってほら、あたしらその墓所をさんざん荒らしまくった後だし、生き返ったあかつきにはすんげえ祟りそうじゃんよ。

 すべての問題は、それをどうにか阻止しなきゃ、ってとこがまず優先するんじゃないかと思うわ。
 だってさ、何するにしろ、生きて帰れなきゃしょうがないもん、ねえ?

 無責任なおしゃべりの途中で、ふとフレイの顔色が変わる。それを目ざとく見つけた誰かがどういうことだと問うと、フレイ、困ったような顔で言葉を継ぎ、

 ――いや、ほら、さっきあの娘が言ったじゃないか。「とんでもないものが出てきちゃったのであわててドアを閉じた」と。事実そうなんだ。実はあの地下墳墓、地下第七層の下にまだ層があってな。そこを開けたらまさに「とんでもないもの」がお出ましになったんで、アルハンドラにそこを封印してもらったわけだが……どうしてあの娘がそれを知っているのやら。
 赤水?いや、水は俺たちは関係ない。さらに下層への道を閉ざして帰ってきたら赤水騒ぎだ。驚いたよ。だいたいこのあたりの水は天山山脈から流れ、砂漠の下をくぐってAquillaのカナートに流れ込んで街を潤し、その水が地下墳墓に流れ込む。水源から街までになにやらがあって赤水があふれ、それが水路を流れ下って地下墳墓をあふれさせたんだと思うが……
 ウルフガー?ああ、奴が言っていたことか。そりゃ言いがかりだろう。何かあったらすべて俺たちの仕業とはな。買いかぶってくれるのはありがたいが。

 一方ではピーウィー、美笛が話し終わるのを待って、おもむろに口を開く。

 ――妖精界!! いやあ私も行ってみたかったですな。
 や、シリウス殿、ピーウィーと申すお初に。
 親父、水を一杯(ちゃりん) …う゛、不味ぅ。

 さて皆さん、私からも一言いいですか。
 この水なんですがね、うちの神殿の方でもちょいと調べてみました。
 有難くも大道の神意の告げ給うところによればざっとこんな感じで(いや、師匠のCommuneなんですが)。

 赤水は自然現象によるものでは…ない。
 自然には回復…しない。
 他の水場にも及ぶか…及ぶ。
 これは、故意によるものか…その通り。
 それは、墓守の一族の手によるものか…その通り。
 その操作は魔術的なものか…その通り

 (これは今日の本題ではないですが、ウジャガトクは生き返っていますか…否。)

 (なに、質問の数が足りない? だって、師匠、まだ内緒とかでこれでけしか教えてくれないだもん)


 で、皆さんご存知我が朋友トレマドック殿の出番です。
 彼が水脈に沿って地中を駆けること往復で五日…彼が見てきたことはこんな感じ。

 このカナートはアクィラ上流の地下で、幾つかの支流が合流している。そのうちの一本、東側から来る支流から赤水が入っている。そいつを辿ってずんずんと…一歩一歩、近づいてゆく、かのモルド…もとい、夜牙塔へ。

 ところで改めて地下から見ると、夜牙塔ってこんな感じ。
 地下150ftまで及ぶ、複雑で塔より遥かにでかい地下構造(洞窟型ダンジョン?)。ひ〜(ピーウィー溜息、水を飲干す)。その最下層、塔の真下から北に200ftくらいのところで
構造物と水脈が交わっており、まさにそこから水は赤くなっている。
 そこまで見取ったあたりで、どうも周りのイセリアルから何かいろいろ染み出てくるっぽいのでトレマドック殿は退散。

 そんなとこです。
 己の分を越えたことを承知で言わせてもらえれば、そろそろギルシアスとやらのやってることは我々の目に余る。
 そうは思いませんかな皆の衆。



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次元を超えて――2002年1月20日

 「あれ?グンディグートは……?」
 「おや?まだ帰っていないのか?」
 山形の酒場に入ってきたイリオスは首をかしげ、親父がいぶかしげな声を返した。
 「帰ってない、って?」
 「ああ、ほら、あんたと同郷のお嬢さんがあの貼紙を出して、で、それを見て一緒に出て行ったよ。それっきりまだ顔を出さないね……クラーレとミテキも一緒だったようだが」
 「帰っていない?出て行ったのはいつのことだ」
 そのやりとりに、二剛が眉をひそめて言う。
 「2-3日前ってところか。出て行ったのが14日、今日が17日だから3日前の話だな」
 「……ふむ」
 二剛、仔細らしくうなずくと部屋に引っ込む。

 翌朝早く、二剛は朝課の祈りをささげているアルハンドラをまず捕まえ、それから来合わせたフレイにも声をかけた。
 「どうやらグンディたちを助けに行ってやらねばならんようだ」
 「……なんだって?」
 「なんでも妖精界に行ったきり、戻れなくなっているようだ。妙に帰りが遅いと思ったので水晶球に姿を映してみたら、奇妙に色鮮やかな風景の中で首に『助けてくれ』と書いた札を下げて、所在無げに座っていたよ」
 情景を想像するとなにやら珍妙だが、しかし実際のところはのっぴきならない状況であるわけで。

 というわけでその場に居合わせた三人で助けに行くことにした。
 妖精界へ通ずる道というのが他に見当たらなかったので、次元界の重なりを抜けて移動する。まずは神霊界へ。そうして、神霊界と重なる妖精界へ。

 首に札をかけて座り込んでいた一行を回収し、シリウスに引き合わされ、クラーレの遺体を抱えあげると、同じ道を通ってもといた世界へ帰る。
 ところが、神霊界でとんだものにでくわした。
 二柱の神の軍が相争っているのである。見れば一方はAquillaの主神たる英雄神アガーツィア、もう一方は荒ぶる沙漠の神『砂嵐』の軍である。そうしてアルハンドラをアガーツィアの神官と知ったか、そこを通り抜けようとする一行に『砂嵐』の眷属が猛然と襲い掛かってきたのだった。

 こちらは定命の身、神の戦になどかかわるわけにもいかないが、降りかかった火の粉は払わないわけにもいかない。どうやら斬り抜けてようやくもと居た世界に帰り着いたのだった。

 とはいえ、事態はあまりにも錯綜している。
 そろそろ状況を確認しなければならないようだった。


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2004年12月14日

妖精境の冒険――2002年1月18日

 思えば騒がしい数日だった。

 ここ暫くAquillaの街を離れていたドルイドのメイ・フェルマールが、「山形」の壁の片隅にこんな紙を張り出したのが最初だった。


 故あって、オルシントン北西に位置するRed Horse Hillで調べものをする必要が
 ありますので同行してくださる方を募集いたします。
 詳細は直接お会いした上でお話しいたします。
 しばらくはこちらに滞在しますのでよろしくお願いいたします。

                              May Felmor

 そもそもは赤水であった。Aquillaを潤すはずのカナートが赤水になったときいて、ドルイドの彼女は不吉なものを感じ、そうして師匠から伝えられた伝承の中に、こんな一節があったのをふと思い出したのだった――水が赤く染まるときは、赤馬が丘を探れ――。
 というわけで彼女は昔なじみの宿にやってきたのだった。

 折りよく顔なじみも含めて三人ばかり、すぐに同行を申し出てくれた。クラーレにグンディグート、それに東方からやってきたという剣士の美笛。なんでもシェーラ軍曹に頼まれた用事を済ませてきて、ちょうど身体が空いたところだという。

 早速赤馬が丘に出向くと、何やらこの世ならぬものが先を行くのが見えた。三人の顔が急にこわばり、急げ急げと彼女を急かしだす。こちらに気づいているのやらいないのやら、先を行く人々は丘の中腹にぽっかりと口を開けた石組みの洞穴の入り口に飛び込んでいく。
 「ためらっている暇はない、追うんだ!」
 なぜかクラーレが怖い眼で言い、一行もその石組みの中に飛び込んだ。飛び込むと同時に何やらおかしな感覚に襲われた。どうやらここは――異世界への入り口だったらしい。

 「奴らはDemonだ」
 追いながら、三人はメイにそう説明した。
 「ついでに言うなら、あいつらのうちの何人かはとんでもない裏切り者だ」
 どうやらクラーレ、それにグンディグートは本気で先行する一行に激しい恨みを抱いているようだった。
 「ここで会ったが百年目だ、忍び寄って首を刎ねてやる」
 そういう先に、連中は丘の辺に口を開けた洞窟にはいっていく。一行も後を追った。伺っていると、洞窟の中には石の寝台があって、一人の若い男が眠っていた。「Demonたち」は若い男を起こし――そうして物も言わさずにその胸を切り裂こうとした。あっと思ったときにはクラーレが叫び声をあげながら飛び出していた。

 戦端が切られた。
 相手は四人――鳥の姿のDemon、どうやら魔術師らしい男、大刀使いの女、そうしてファルシオンを構えた神官か何かのような娘。Demonは美笛が一撃で斬り飛ばし、魔術師らしい男も戦いのうちに(クラーレがそれは執拗にその男の喉首を狙い、挙句、倒れたクラーレのなきがらをも巻き込んでグンディグートが放った火球の呪文の前に消し炭になったのだった)倒れた。眠っていた少年もメイたちの加勢をし、追い詰められて大刀使いの女は魔法を使ったか何かで消えうせた。
 
 あと一撃、あと一撃……美笛はファルシオン使いの娘に随分てこずっていた。剣筋を一度見せてしまえば、あとはむしろそのあたりにごろごろいる野太刀を振り回すやからよりも見劣りがするような非力さ加減なのだ。振り下ろした太刀がようやく娘の首筋を捕らえたと思った瞬間、娘の手にしたファルシオンが妖しく光るのを眼にした。
 「もういや、もう蘇らせないで……!!」
 娘の姿は消えていた。悲鳴のような、懇願のような娘のかすれ声だけが美笛の耳に残っていた。

 どうやら敵は討ち果たしたかに思えた。
 敵もろとも消し炭になったクラーレの遺体を魔法で「命が宿っていないだけの完全な形」にまで整えてやり、一方で敵の身体は砕いて砂に混ぜて吹き散らしてやってから、「眠っていた少年」を伴い、一同は帰途に……

 もとの世界への道はいつのまにか閉ざされていた。あの大刀使いの女の仕業だろうと誰もが思った。
 誰の仕業だったとしても同じだ。もと居た世界に帰れないのでは。

 しばし頭を抱えた後、グンディグートがこういった。
 ――俺たちが帰らなければ誰かが心配して探してくれるさ。

 そうして、一同、首に「助けてくれ」と書いた札を下げて、とりあえず助けを待つことにしたのだった。



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落ちてきた少年――2002年1月18日

 オルシントンの塚のなかでシリウスという若者が眠っていた。ドルイドのメイの一行に助けられた彼は、自分はウジャガトクの近衛騎士であると言い、次のように語った。その場にはメイとグンディグートと美笛、李二剛とアルハンドラとフレイ、およびクラーレの死体があった。

 ぼくは南の遊牧部族の出身です。
 一族が隣の一族との戦に負け、子供だったぼくは奴隷として、のちにアクイラを築く太守ウジャガトクに売られました。太守は奴隷に教育を授け、解放して騎士や官人として使うのが常でした。ぼくは両手剣の名手セスナー卿に剣を教わり、騎士として育てられました。
 太守は近くの色々な部族と戦をしましたが、戦のやりかたは他の誰とも違っており、決して集落を掠奪しませんでした。というのも彼はこの一帯を支配しようとしていたのです。そうして彼は交通の要衝であるこの地にアクイラという都を築きました。
 「その都は巨大でなければならぬ、」と太守は言いました。「遊牧民どもがはるかな遠くからこれを仰ぎ見ることができるように。それは夢に似ておらねばならぬ。夢に似て壮麗で、悪夢に似て巨大でなければならぬ」
 けれども太守は段々に人が変ってゆきました。すばらしい魔法の力を使うギルシアス卿が騎士団に入ったころからでしょうか。太守は都の南東に巨大な墓所を築きはじめ、やがて地の底から出てきた火の巨人や、大きな一つ目と無数の目でできたような怪物と話をするようになりました。そして側近たちに殉死を命じて
 「おまえたちはやがて復活し、ふたたび余の配下となるだろう」
 と言いました。
 ぼくは生きて太守にお仕えしたいと言いました。するとある夜、太守とギルシアス卿に呼び出され、連れてゆかれた先は広い広い洞窟でした。祭壇に砂埃色の宝玉が据えられていました。
 ぼくはひとふりの剣を渡され、宝玉を両断せよと命じられました。かすかに反りのついた、すばらしい異国の剣でした。騎士ならばたれもがあのような剣を持つことを夢見るでしょう。宝玉を切ったとたん、ぼくは砂嵐の吹く広大な世界に落ちていました。
 そこをのがれて長いこと歩くと、やがて月のあかるさにみちた土地に着きました。そこでは何もかもが色鮮やかでした。いくたりかの親切な「もの」が現れて、おまえはずいぶん疲れたのだからずいぶん眠るがいいと言って、ぼくを石の床に横たえました。
 どれだけ眠ったでしょうか、美しい女の人がぼくを起こし、そして切りかかってきました。ぼくはとっさに防ぎました。そこへ美笛さんとメイさんとグンディグートさんとクラーレさんが入ってきて、ぼくを助けてくれたのです。



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噂話の裏側で。――2002年1月13日

 『災厄』がはっきりしたのは、9月の9日だったか。10日だったか

 沙漠の街の水路は、すなわち命あるものの血管に等しい。
 だが、その水に異変が起こった。女神エイリーノアの手に守られていたはずのカナートの水が、大地と人の喉を潤すことを拒んだのだった。
 それはAquillaの街に限ったことではなかった。墳墓でも異変は起こっていた。蠍人に封鎖されていた街道にようやく人が通い始め、品物の相場も元に戻って人々がついた安堵の息が吐き終わらないうちに、『それ』は訪れたのだった。

――9月10日、山形の親父曰く。
「あ、水だ?一杯1spになるぜ。高い?しかたねぇだろ。カナートの水が塩水になっちまったんだから。ここのは蒸留した湯冷ましだから、割る以外に水なんか飲まずにエールでも飲みな。
 理由?さぁてね。エイリーノアの神殿は大変らしいぜ。何でも、奥のほうじゃ、赤水が出たって言うしな。この調子でカナートの水が塩水になっちまったら、この町も大変だ。
 人事みたいに言うなって?俺に何か出来る話でもないからな。
 いつ頃からだって?9月に入ってすぐだ。お前ら潜ってたから気がつかなかったんだろ」

――9月11日、シェーラ軍曹曰く
「久しぶりだな。街道の掃討、墓所の掃討などで噂話に活躍は聞いている。
 正直、街の治安の維持に精一杯で操作、探索、掃討に関して外部の力を借りなきゃいけない事態がいらだたしくてならないよ。
 九月に入ってからのカナートの変化に関しては、エイリーノア神殿の方で何かつかんでるはずだが、詳しいことは知らされていない。アルハンドラ師に話を伺いたかったが、留守か。
 変わったことか?治安が悪くなった。食い詰めと無法者とごろつきが街にやってくるようになったからな。
 結局オルシントン村の事件は、墓守の一族の手によるものらしいとうわさが流れている。詳しいことはここの生き残りから聞いたが、要点を得ない。なぜ、あそこがというのが疑問に思うが……。
 わからないことだらけだが、『頬髯の』カセツァート候は相変わらず部屋に閉じこもって出てこようとなさらない。アリエン様のことはおいたわしいが、何とかならないものか」

――9月12日、HolySmites(これは墳墓の奥が掃討されるに従い湧き出してくるアンデッドが凶悪化していくのに対処すべく、西方修道会の高位の聖職者たちで組んだ一団であった。白い僧衣、銀の鎧に身を包んだ彼らは、『癒しの家の献身者』や『神の猟犬』等々、そうそうたる顔ぶれであった)カーウィン曰く、
「ええ、そうです。前回に限って言えば出てくるアンデッドに変化が生じました。
 これまでの処理をされたマミーやスペクターではなく、もっとグロテスクな骸骨に絡みついたものです。われわれはMohrgと呼んでいます。
 正直戸惑っています。なぜこの場において出てくるものが変わったのか。あと、途中で回収した冒険者たちの変わり果てた姿のワイトは確実に急所を一突きで殺されていました。これも初めてのケースです」

――9月13日、BattleDiggersのRedDiggerことウルフガー曰く、
「おい、フレイ!お前ら奥で何しやがった!何もしなかったとは言わせねぇぞ。危うく俺たちは溺れ死ぬところだった。
 何言ってるかわからないだと?
 いいか、耳の穴かっぽじってよく聞きやがれ。地下第七層が3フィート近く塩水、それも真っ赤な赤水であふれ返ってやがるんだ。
 おまけに、玄室の最深部への門が石壁で封鎖されてやがる。
 お前達じゃないってんなら誰なのか、教えてもらおうじゃないか。

 手前らが俺たちの後をついて潜ってこぼし物拾うのは勝手だが、俺たちの邪魔すんじゃねぇ。わかったな!次に穴であったときは、ただじゃおかねぇ。
 覚悟しやがれ!!」

 ウルフガーたちにやいのやいの言われているフレイ一行はと言うと、これは9月の8日に墳墓へと出かけ、帰ってきたのが11日だっ。Aquillaの街の赤水さわぎとは関係なかったのかもしれないし、それともこの騒ぎの発端が本当に墳墓に端を発しているのだとすれば、ウルフガーの言うとおり何やらとんでもないことをしでかしたのかもしれなかった。

 ――少なくとも、そのとき『潜った』一行、つまりフレイ、イリオス、アルハンドラ、二剛の4人は、「俺たちはいつもどおり墳墓に潜り、炎巨人のミイラだのアンバーハルクだの、その他もろもろを片付けて帰ってきた、今回はちっとばかし手間が取れたな」としか言わない……仲間たちに向かってもそうとしか言わず、ウルフガーがいくら息巻こうともただただ迷惑そうな顔をするばかりだったのだが……




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2004年12月13日

異種格闘。――2002年1月12日

 だからさ、いくら腕が立とうが何だろうが嫁入り前のちっちゃなお嬢さんに野郎が飲むような酒飲ませちゃいかんよ、と誰かが言った。

 で、「ちっちゃなお嬢さん」こと美笛はというと、お代わりと言って出したコップを取り上げられてホットミルクのマグをおしつけられ、極めて不満そうに膨れていたのだった。
 ともあれ、酒場でこんな話をする奴がいたら、誰だってそいつから酒を取り上げて寝床に叩き込むだろうというのは、まぁ道理といえば道理なのだが。

――ねーねーおやじさん、ちょっと聞いてよ。今日ねえ、凄いモン見ちゃったの。
熊と目玉お化けのレスリングなんてそうそう見られるモンじゃないって。

ほら、前はふつーにドア開けたら偉いモンがわらわらでてきちゃって大変だったって云ったじゃない?
だからさぁ、今回は隣の部屋から壁切り開いて入っちゃった。
石壁の中に鉄格子が埋まってて結構めんどかったんだけどぉ。

そしたらさぁ、ばかでっかい一つ目にちっちゃい目が十個くらいくっついた
なんかとんでもないバケモノがいるわけ。
しかも、そのうえそれ、包帯でぐるぐる巻きでさぁ、マミーなのよぉ。
これって超反則じゃない?

どうしようって思ったら、こっちのドンにーさんが熊にヘンシンして組み付いてさ、
その隙にピーウィーさんが「癒し」叩き込んでー、なんとか落としたわよぉ。
もー、どーしようかと思っちゃったぁ。生きててよかったよぉ、ホントに。
そのバケモノがバタバタ暴れながらちっちゃい目から怪光線撃つから
もう部屋中穴だらけだしー。

なんかさー、そのバケモノ、どうも生前はあそこのお墓の太守様の
大の親友だったみたい。やっぱ王様が亡くなったから殉死−とかいって
マミーになっちゃったのかなー。でも王様も友達のシュミ悪いよねー。

え?あ、酔ってないよ。いや、呑んでるけどさ、法螺吹いてるんじゃないって。
信じてないなぁもう……

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2004年12月10日

紫地虫。――2002年1月5日

 蠍人の砦から戻ってきた面々の話からすると――
 つまりフレイ一行は早々に地下墳墓に潜り、第7層を掃討し、夜の牙の塔へと続くポータルを確保しなければならないのだった。

 墳墓に潜る、というので今回腰を上げたのはフレイにグンディグート、(黒いトゲトゲ団の「東方の兜」発言を二剛と同様に気にしていた)美笛、そして「東方の芸人さんが行くんでしたら僕も行きましょうかね」と、イリオス。あと一人、できれば癒しの業が使える人間が欲しいところだと話していると、きぃと扉が軋んで、細身の男が一人、影のように入ってきた。一行には目もくれずカウンターの親父のところに行き、手に持ったチェインシャツを示す。
 「ここでは物の売買はできるだろうか。不要になったのでこれを売りたいのだが」

 どこか冷ややかな声。人間離れのした空気をまとったその男に、ふと美笛が目をやった。
 「どうした?」
 「ううん、故郷のなまりと似ているなと思ったから……」
 その声に、青年もこちらを向く。ぞっとするほど整った顔。しなやかな身のこなし。このあたりのエルフよりももっと精霊に近い東方の種族の人だわ、と小さな声で美笛が言った。そういっているうちに男は一行のほうにつかつかと近づいてきた。
 「『潜り』に、出かけるのか?」
 「……ああ、そうだが……」
 「では、私も加わってかまわないか?私は全羅道の布教のためにこの地まで来た東方の道士で、暫くここにとどまるつもりなのだが……」

 全羅道、とは聞きなれない教えだが、布教だの道士だのいうのならこの男は癒しの技の使い手であろうと思った一行、喜んで同行を頼む(その実、癒しの技は結局一度も必要にならなかったし、男自身、癒しよりももっと別の技を身につけているもののようだった。ともあれ、生きて戻れた以上、まったく何の文句もつけようがないのではあるが)。その男はニートと名乗り、全羅道とは森羅万象との合一を目指す修行と瞑想の道であり、その道を究めたものは全羅漢と称して何一つその身を鎧うことなく命とその身を全くするのであると述べたのであった。

 といっているうちに、また「山形」の扉が、今度は随分乱暴に引き開けられた。
 入ってきたのは黒いトゲトゲ団……いや、BattleDiggersの一員のクレリックである。青い僧衣をまとっているところから、呼び名はブルーディガー。何やら憔悴した顔をして、「親父、昼間からで何だが一杯くれ」と言う。聞けば、墳墓第七層で仲間を失ったらしい。なんでも紫地虫が沸いて出て、ウィザードのホワイトディガーが喰われてしまったとか。
 「レッドディガーは今、新しい仲間を探しているが……」
 そう言って首を振る。
 「紫地虫は倒し損ねたよ。ホワイトはそのまま奴の腹の中だ。癒すどころか、命を呼び戻すどころか……葬ってすらやれなかった。その上新しい仲間は見つからん。……次に潜れるのはいつになることやら」
 「それは……ホワイトディガー殿には気の毒なことをしたな」
 フレイが静かに言う。
 「俺たちもこれから第七層へ潜るが……」
 「……」
 「形見でも見つけたら……」
 「……」
 「……早く、仲間がみつかるといいな」
 「……武運を祈るぜ」
 ブルーディガーはこちらに背を向けたまま言い、グラスを開けた。
 
 その背中に小さく目礼しながら、出立した。
 第三層まで一気に下り、BattleDiggersの発見したエレベーターでそのまま第七層に降りる。エレベーターを出ると目の前はちょっとした広場になっていた。その向こうには何本かの廊下が続き、それぞれに玄室の扉がいくつも並んでいる。
 「……『あれ』が居ると分かっている場所で広場か。あまりいい気分はしないな」
 「とはいえ、ここで足止めされているわけにもいくまい。行くぞ」

 一面砂地の広場に足を踏み出し、一歩、二歩、歩いたところで……

 砂を吹き上げ、出るはずのものが出た。足元からの最初の一撃で誰一人飲み込まれなかったのは幸いだった。
 美笛の剣が鞘走る。が、紫地虫は机やマミーどものようにはいかない。
 「……ごめん、一度剣筋見られたら、あとはもう話になんないのよあたし!」
 そのあとは暫く防戦一方になった。剣や弓を構えた連中が有利な位置を占めようと砂地の上を駆け回る。沈み込み伸び上がりのたうつようにそのあとを追う紫地虫。追わせまいと次々と力場の壁を張るグンディグート。結局広場の真ん中の地表に張った「壁」の上に一同が集結し、そこめがけて「壁の縁」から蟲が身体を伸ばしてきたところを全員で叩き斬って、ようやくホワイトディガーの仇をとったのだった。

 広場を探索するうちに、蠍人たちが言っていたとおりのポータルを見つけた。第7層まで下り、広場についてさえしまえばポータルは目の前。地虫殿さえお出ましにならなければ特に危険なこともなく夜の牙の塔へ飛べそうな按配であった。

 それから廊下に踏み込み、玄室を開けてゆく。ざっとみたところ、第七層は最下層のようで、ここから下に続く階段は見当たらない。そして、扉は随分と豪奢に飾り立てられ、どうやらここが本命の太守殿の眠る階であるようだった。
 一つ目の玄室の扉には、骨の刻印があった。扉の中には骸骨戦士がぎっしりと詰まっていた。ひとつ残らず破壊し、山ほどの副葬品を手に入れた。
 二つ目の玄室の扉にも骨の刻印があった。同様に骸骨戦士がぎっしりと詰まっていた。生前は一軍を率いていたらしいミイラが指揮を執っていたが、ミイラともどもひとつ残らず破壊し、山ほどの副葬品を手に入れた。
 三つ目の部屋の扉には、壷の刻印があった。
 剣を構え、三つ目の部屋の扉に手をかけ、開けた。
 部屋の中には壷がぎっしりと詰まっていた。手前の二室が護衛の部屋、ここは副葬品を詰め込んだ部屋かと踏み込もうとしたとき、美笛が悲鳴を上げた。
 部屋の天井には、内臓をぶら下げた生首が、壷の数だけ浮いていた。扉を閉めようとしたときには遅く、首は開いた扉から雪崩れだした。

 めちゃめちゃに剣を振り回しながら廊下を走った。勢いで首のいくつかは叩き落したが、数十を数える生首、相手にしきれるものではない。逃げる道を開くだけでせいいっぱいである。ようやく廊下を抜けたところでグンディグートは振り返った。本日最後の『壁』の呪文で廊下と広場を隔ててしまうつもりだった。が、美笛がまだ廊下の中ほどで生首に囲まれ、進むも退くもならなくなってしまっている。見捨てるわけにはいかない。が、このままでは全員が雪崩れだしてくる首の餌食になってしまう――仕方ないのか。首はとりあえず美笛にかかりきりで、まだ広場へは飛び出してきていない。
 「壁を張ってしまってください」
 後ろでイリオスが言った。
 「……だが」
 「見捨てやしませんよ、今の僕なら『扉』を開けられます」
 にっこり笑って言うと、そのまま廊下へと突っ込んでいく。透明な壁の向こうでイリオスは群がってくる首を払い落としながら今にもくずおれそうな美笛の手を掴むと、『次元の扉』を開け、グンディグートが張った力場の壁を越えて『跳ん』だ。
 「……た、助かったのか……?」
 喰い殺すのも時間の問題だったはずの小娘にも、突然飛び込んできた獲物にも逃げられ、透明な壁の向こうでがちがちと歯を鳴らしているはらわたをぶら下げた生首を見据えながら、誰かが言う。
 「……いや、この壁はいずれ消える。そうすれば……」
 グンディグートは答え……それから一同は弾かれたようにエレベーターに向かって駆け出した。エレベーターの扉を開け、転がり込み、扉をたたきつけるように閉め、首が見えなくなり、移動するエレベーターの振動が伝わり始めて、ようやく一同は息をついた。

 「どうする?」
 「……どうするって」
 「奴らをばら撒いちまったことを正直に言うか?」
 「……まさか。だいたいここは墓ん中だ。何がどう出たって、そりゃ墓の主の気まぐれかもしれん。俺たちのしくじりだとは……黙っていれば誰も思わん」
 美笛はすっかりおびえたようで口も利かない。囲まれた恐怖からだけではないようだ。問いただしてみると、あの首は東方の怪物でペナンガランといい、なんでも随分とたちの悪いシロモノのようだった。

 ため息ひとつ。
 手柄話はポータルの確保、それにホワイトディガーの仇討ちだけを持って一同、ほうほうのていで「山形」にたどり着いたのだった。宿に着いたときにはいったん暮れた日があけていた。随分長い時間を墳墓で過ごしたもののようだった。

 8月22日から23日のことである。


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posted by たきのはら at 17:47| Comment(5) | TrackBack(0) | Aquilla血風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年12月08日

沙漠から塔へ――2001年12月28日

 「山形」の酒場は今日も今日とて賑やかしい。
 冒険者、探検家、流れ者、墓荒らし……いや、どれも似たようなものなのだが。中でも威勢のいいのは黒いトゲトゲの鎧を盛大に着込んだご一行様。それを束ねるのは鎧兜の縁を毒々しい赤に塗りたてたこわもてドワーフで。

 威勢のいいのの周りに人が集まるのはいつものこと。何、集まらなかったら景気よく大声を上げて集めるのだから同じこと、そうして都合よく誰かの口からこぼれたひとことをさらって独演会が始まる。

 ――おい、テメェら聞いてんのか、そこ、そこのお前だよ!!
 このTeam Battle Diggersのウルフガー様がしゃべってんだ。潜ること考えてんなら、耳かっぽじって聞いておくんだな。
 なに?聞くなら一番の「潜り屋」のことを聞く?

 はぁ、テメェ脳みそにオークの糞でも詰まってんのか?
 
 俺たちが一番だ、俺たちが一番深くまで潜った、そして帰ってきたんだ。
 ちっとばかし名が売れたところで潜るのをやめちまった、”サー”フレイとその取り巻き連中なんかと一緒にするんじゃねぇや。

 俺たちは潜った。
 ほかの連中がほっくり返して、CPひとつ落ちていないような地下一階、二階なんざ足を止めもしねぇ。より深く、もっと深く、だ!
(おい、イリオスこのフレーズ俺たちのサガに使っていいぜ。いいフレーズだろ、
「より深く、もっと深く」違うかよ、ハッハァ!!)

 3層目にあるのは砂の回廊だってのは俺たちが発見したんだ。この砂の中には毒針を突き立てたくてうずうずしてる、サソリどもがぎっしりだ。
 けどな、その奥に俺たちはサソリ人の祠を見つけた。
 ファルシオンを構えたサソリ人たちが砂の中から襲い掛かってきやがった。
 
 おら、イリオスそん時の歌だ景気よくやりやがれ!!

 俺たちはやつらをぐしゃぐしゃのペーストに変えたあと、サソリの形をした鍵をみつけたのさ。
 そしてその鍵が導いたのが、「玄室の間」だ。

 そして、そこで抹香くさいマミーどもを焼き倒して持ってきたのがこの、東方の兜だ。どぉでぇ、似合うだろ?
 
 なに、あやかりたいだと。
 馬鹿いえ、テメェらじゃ3層までも降りられるもんか。

 俺たちだから出来たんだ。
 なぁ、そこのお前聞いてンのか!

 俺たちだから出来たんだよ、いいな、ここでも、どこでも、俺たちがNo.1だ!
 俺たち、Battle Diggersが一番なんだ。わかったな!!!


 ……いやなに、喚きたい連中には喚かせておけばいいだけの話。連中とて喚くに値するだけのことは充分にやってのけているのだから。
 夜の牙の塔に、沙漠に出没する蠍人。様子を知るものとしてみれば、とりあえず墳墓にもぐってばかりもいられないのだ。自慢話の中にちりばめられた墳墓内部の様子だけしっかり頭に叩き込んでおいて――こちらはこちらの仕事。

 というわけで、ウルフガーの喚き声を後ろに山形の宿を出た一行、沙漠に向かう。8月21日の朝のこと。出かけたのはピーウィー、二剛、パラディグーム卿にアルハンドラ師の四名。後のものは前日の疲れを癒すために宿で休息している。連戦の二人のうち、パラディグーム卿は悪しきものを打ち倒すという使命に燃えているから、二剛はというとウルフガーの一言にふと焦りを覚えたからである。
 ――それはともかく、どこかの連中の動向も監視しなければならないな。東方の兜……。目的物は近いか?あの女剣士の動きも見ておかねばならんし、何かと面倒なことだ――「例の小娘剣士」が慣れない土地で戸惑っているうちにこちらとしては先に進んでしまわねばなるまい。ならば、出撃できるときにはしておくことだ。

 収穫は、あった。蠍人の捕虜の口から夜の牙の塔への侵入経路がわかったのだった。
墳墓の地下7階からポータルがあり、ウジャガトクの紋章のついた品物を示せば誰でも通れるとのことだった。紋章つきの品物も手に入れた。
 Battle Diggersの存在が大いに役に立っていたことも知れた。連中、精力的に墳墓もぐりをするうちにどうやら地下3階から7階まで通じるエレベーターを発見していたようで、これならこちらがポータルを探し出すまでの手間はずいぶんと省けるだろう。これでやっと塔に乗り込むのにいちいち塔の上の開口部まで上らなくてすむようになったというものだ。

 代償も払った。
 蠍人の暗殺者に二剛が首を掻き切られたのだ。もちろんアルハンドラ師の祈りの力ですぐにこの世に呼び戻したが。

 出て行ったのは四人。
 しかし、街に帰ってきたのは二剛も入れて三人。

 パラディグーム卿も「代償」にとられたのかと問う仲間たちに、三人は困惑したような顔で首を振った。どうやら卿は卿を嘉したまいし神の御許に生きながらの身にして召されたらしい。あの聖騎士殿にはここよりもふさわしい戦場があるのであろうよと誰かが言った。考えてみればいかなる徳高い僧侶よりも神の恩寵に守られた不思議な御方であったのだし、それも道理といえば道理なのだった。

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posted by たきのはら at 01:06| Comment(2) | TrackBack(0) | Aquilla血風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年12月07日

さて、仕切りなおして♪

 なんかこー、「もうすこし頑張りましょう」って感じの位置にいるのがよくわかった『渡竜第4回』でしたが、まぁとりあえずそれはそれとして。自分の状態がわかれば次はどうしようってのも見えてくるしね。

 私がかかわってるのは『渡竜』ばっかりってわけでもないわけで。

 ……幸か不幸か、年末の舞台の出番がちょっと減ったせいで(私事にわたりますが、よくない下向きスパイラルの原因はコレでございましたですよ……『努力が間に合わない・結果にならなければなんにもならない』っていうのを現実として目の前に見せ付けられちゃうと、それ以外の部分でも「これはまずいんじゃないか」「あれは努力が足りないんじゃないか」って勝手にマイナス思考が暴走しはじめるもので。いや、ようやく後退に歯止めがかかって現在(それ以外の部分に関しても)あれこれとリベンジ画策中なのでいいんですが)、『死ぬほど忙しい』『遊んでもレポート書いてもそれだけでHPにダメージ入ってそう』とかいう状態は脱しました。

 ので、年内いっぱいは遊べない分、Aquillaの回顧録&現状まとめとかやろうかな、と。さすがにね、仕事と稽古でウィークデーと日曜日が埋まってたりすると、これで土曜日に遊んだりしたらマジでヤバそうで。

 ……って、書いておいて過去を振り返ってみると、なんかAquillaの今書いてるあたり、「金曜夜から土曜日朝までセッションと日曜いちんちセッション連続」とか「土曜いちんち遊んだ挙句、略奪品があまりにもイイ感じすぎたからそのまんま潜りなおすことにして、日曜朝まで徹夜でセッション」とかやってんですけど、あたしら。ってか、二つ目に書いたほうは、私その場にいたよ。「せっかくだからこのまんま先行っちゃわない?」とかほざいてたよ(汗

 ……やだなー、年とったなー……(涙

 てなわけで、次からはまたAquillaレポート再開します。
posted by たきのはら at 13:09| Comment(3) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年12月05日

渡竜第4回レポートのこととか

 えーと、レポート書きながら謝り倒してるとなんだかとってもみっともないので(ってか、これじゃなんだかウチがとっても怖いプレイグループに見えちゃってなんかアレだし)、まとめてここで一人反省会。

次はもっとうまくやるぞ、ってことで。


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posted by たきのはら at 11:23| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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